「ジョシュア・オブライエンだ。よろしく頼む」
そう言って会議室に入ってきたのは褐色肌に白髪の女性だった。背丈は俺よりも少し高く貫禄を感じるが、若さも兼ね備えており美人の枠組みに入るだろう。
「日下部里穂だ。よろしく」
そう言って挨拶を交わすとジョシュアは椅子に座る。これで今回戦うISパイロットが揃った。
正確には日本、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ドイツ、からなる合同連合軍のIS部隊は財団、AFを最終目標として周囲に展開して攻撃を開始。
だが、今回のAFの最大の強みは遠距離からの砲撃戦である。そこで、選ばれたパイロットをVOBで突っ込ませて敵AFを無力化させようという話らしい。
ようは使い捨てと言いたのだろう。
できる限り相手の戦力を削いでもらって、あとは自分たちの手柄。という訳であり、こればっかしは俺もイラっとくる話だ。
そして、その選抜メンバーが明日の作戦を前に集まっていた。選抜メンバーの数は俺を含めて四人。いずれも実力者ばかりである。
まず、金髪ポニーテールの女がオッツダルヴァ。美人だが毒舌だ。彼女の乗るIS,ステイシスはオーメル・サイエンス・テクノロジーの新標準機であるが、同社のコンセプトを無視した中距離射撃の武装構成になっている。
その隣にいるのがメイ・グリンフィールド。彼女については説明は不要であろう。緑のロングのおっぱいちゃんだ。
そして、俺とこのジョシュアとなる訳だ。
「それで?貴様らが今回の依頼を引き受けた訳だな?」
オッツダルヴァがそう言う。
「ああ・・そういうことだ」
「ふーん、それで。作戦はどういうふうにするの?」
と、メイが質問して来た。それに答えたのはジョシュアだった。
「私はVOBを使用して四方向からの同時攻撃を提案する。敵、AFの最大の強みはその遠距離砲撃だ。あの遠距離三連装砲が二基とは厄介だ。だが、あのAFの特性上は遠距離砲は背中を守るように左右に装備されている。なので、横からの接近は奴らは攻撃出来ない」
「なるほど、二機が囮になって敵の砲撃の注意をこちらに向かせ、残りの二機が横から特攻すると言いたいんだな?」
「ああ、そういうことだ」
「けどさ、ジョシュア。その弱点を埋めるように敵のISもいるし、ソルディオスもいるんだよ?とてもじゃないけど、それにその作戦だと全員が全員単独行動になるんだよね?私は難しいかな」
ふむ、メイの言うとおりだ。
単騎でソルディオスを撃破し、更に多数のUNACとISを相手にして一体どれだけの力が必要なのか。
いくら凄腕の俺たちでも難しい。
「ふっ、降りたければ降りればいい。増長だな。自分もトップランカーの仲間入りだと思ったか?グリンフィールド?」
「な、なによっ!」
「おいおい、やめろやめろ。オッツダルヴァ、お前も挑発するようなことはするな」
口喧嘩になる前に俺が二人の喧嘩を止めに入る。お互いが大人しくなるとジョシュアが口を開いた。
「仕方がない。ここは、紅蓮と私でVOBで一気に近づく。ソルディオスを二人に任せていいか?」
「・・・ふんっ、まぁいいだろう。今回は大物をお前らにくれてやろう」
「分かったわ。まぁ、確かにあんなデカブツ相手じゃ私には難しいわ」
ふむ、オッツダルヴァとメイは了承してくれた。少々、無謀な作戦であるが所詮は俺たちはただのパイロットに過ぎない。それに今まで個々で戦ってきたのに、四人でなんて到底無理だろう。
全ては己の力にかかっているのだから。
「ならば、これ以上話すこともないだろう。それに、四方向からの同時攻撃なのであれば私はそろそろ移動させてもらう。まぁ、ソルディオスなど私一人で十分なのだがな」
そう言ってオッツダルヴァが先に退場していく。
「全く、ランク一が聞いて呆れる。どう育てばあれ程の毒舌になるのだか・・・兎に角、里穂。そちらは任せた。私も可能な限り全力を尽くす」
「わかっているさ・・・俺たちが人間の未来を作るんだから」
「ああ・・・それじゃぁな。私も場所が場所だけに、そろそろ移動するよ」
「おお、また・・戦場でな」
次はそう言ってジョシュアと別れた。
ジョシュア・オブライエン。なんでも束との関係を持っているらしく、IS適正はかなり高い。ISが登場した頃からずっとISに乗っており、愛機であるホワイト・グリントはその名のとおり白いカラーリングで、軽量機である。
「それじゃっ、私もそろそろ行こっかな」
「ん、分かった。お疲れ様。メイ」
「うん、リオもお疲れ。明日の戦い・・・絶対勝とうね」
メイはこちらに歩きながら拳を軽く作る。俺も拳を軽く作り、彼女とコツンと当て合わせる。
「ああ・・・絶対に勝つ」
「うん、それで十分」
彼女は微笑むと一足先に会議室から出て行った。
今にして思えば本当に短い会議だった。詳細も何もいってないが、概要を言っただけで各自全てを理解して解散した。
これも、同じ立場であるからこそ成せることなのか。
そう思うと俺も三人の後を追うように会議室から出て行った。
旧ピースシティにその巨大な影は歩行していた。廃墟となり半分砂に埋まっているビルを虚しく踏み潰していく。
『はーい、昨日は眠れたかな?これから最後の戦いになるスピリット・マザーウィルとの戦いを始めるよ。この戦いの最終目標はスピリット・マザーウィルの中にいる財団の拘束、もしくは殺害だよ』
『敵AFの主力兵装は、大口径の長距離実弾兵器だね。まぁ、図体ばかり大きな時代遅れの老兵だね。だけど、その威力、射程は、それなり以上の脅威だよ』
『だから、今回もVOBを使っちゃうね。これなら技量次第で容易に懐に入り込むことが出来るね』
『懐に入った後は、敵AFの各所に配置された砲台を狙って。砲台の破壊から、内部に損害が伝わり易いという構造上の欠陥が報告されているからね』
『説明は以上かな。あとは里穂君が思っているとおり、反対側からホワイト・グリント。両翼に展開しているソルディオスをステイシスとメリーゲートが撃破することになっているね・・・これなら全然問題ナッシング!』
俺は機体をセットして背中にVOBを接続する。
接続が完了し、全ての準備が終了した。
「よし、これならいける。ありがとう、束」
『うんっ!こちらこそありがとう!絶対絶対に勝ってよね!』
「分かってる。最初からそのつもりだ」
必ず帰るって、死なないって約束したからな。
『勝って・・・箒ちゃんの元に戻ってあげてよね』
「・・・あ・う・・うむ」
ん?なんでそこで箒の名前が出てくるんだよ。
『私知ってるからね。里穂君が箒ちゃんとイチャイチャしてるの』
「いや、してねーぞ!」
『うっそだーー!まぁ・・冗談はこの辺にして・・・絶対に戻ってきてね』
最後に束とそう約束し、俺は機体を動かした。
「・・・了解だ」
財団は一企業にして最大規模の戦力を持っており、今回連合軍が用意した通常戦力の約三倍以上とも言えよう。
まぁ、正直に言えばそれだけの戦力を生み出した財団を見抜けなったこちらもこちらとしてマヌケだったと言えよう。
この連合軍の作戦上、俺たち四人は確実に捨て駒である。特に俺とジョシュアに至っては勝率、及び生存の可能性はほぼ0に近い。
まぁ、それでも俺はただ約束を果たすだけだ。
『システム超高速モードに移行します。VOB起動開始』
あきらめなければならないのか?そんな風に困惑した
それでも彼女が不安にならないよう俺は声をかけ続けた
その声は遠い
ずっと遠い
これはいつまで続くのだろうか
どんな困難でも立ち向かうことを俺は決して忘れない
例え倒れて亡霊になったとしても
来る日も来る日も俺はそれだけの為に足掻き続ける
それが実現した時、俺はまた一歩前進する
そういえばその道の途中に一人の女の子を見つけたんだ
あの頃のことを絶対に忘れてはならない
過去に取り憑かれた亡霊のようにフラフラと
何度も何度もこの世界に囚われていく
来る日も来る日も俺は足掻き
そして世界は回り続けていくのだ
オッツダルヴァ、ジョシュア・オブライエンが登場しましたが
どうにも話し方がいまいち分からないっ!
ということで、至らない点も少々あります。
ゲームではメイはこの二人に勝る力を持ち合わせてはいませんが、ここで登場してきたのは作者が単に好きだからです。まぁまl、強い設定にしてあります。
それと、最後に出てきたこの詩はVDのday after dayの歌詞を意訳したもので、独自解釈があります。
なので、え?花なのに女の子?という方もいるかもしれませんが
正直、叩かれるの覚悟でございます。
先に謝っておきます。色々とごめんなさい。
何卒よろしくお願いします。