死神との戦いが終わり、一週間後。俺はIS学園へと帰って来ていた。
「ふぅ・・・戻って来たのか」
久しぶりに見た学園の校舎は相変わらず綺麗で、平和な証でもあるかのように見えてしまう。
連日、テレビやラジオでは財団との戦いの話で持ち切りであった。
ここに来るまでにラジオで聞いた話によれば、財団はまだ死んでおらず、何処かに逃げおおせたらしく、今も財団へ対する追撃が行われている。
それでも今だ財団を拘束する為に辿り着くことは出来なかった。しかし、今現在ある財団の力では到底この世界へ大して抗うことは出来ない。
この戦いで多くの者が消え去った。
死神部隊、IS部隊、傭兵、AF、大量のUNAC。
彼らに何があったのか詳細までは俺は知らない。財団へ対する戦いもやっとその一幕を閉じたが、彼の言う通り俺たちの知らぬ場所で様々な兵器が動き出しているのだろう。
俺がまた出撃するとは限った話ではない。
「り、里穂・・・里穂っ!」
校門付近から俺に気づいた箒がこちらに向かって走り出してきた。その両目には涙が溢れている。
「箒・・・」
彼女は俺の前まで来て立ち止まる。
「あ・・・お前、まだリボン買ってなかったのか」
「うん・・里穂と買いに行く約束をしたからな」
ああ、そういえばしたな。そんな約束を。
「そうだったな。じゃぁ、今度の休みにでも出かけるか」
そう言うと箒は嬉しそうに頷く。そこにいつもの凛とした表情はなく、ただ一人の可愛らしい女の子がそこにいた。
「最後の戦いでさ・・・お前が見えたんだ」
「私が?」
「ああ。辛くて、痛くて、死にそうだった。けど、そんな時お前が助けてくれたんだ。最後の最後で俺を支えてくれたのはお前だった」
そうだ。箒がいてくれたから俺は頑張れた。
「なんだか照れるな・・・」
「だからって訳でもないんだが・・・どうやら俺はお前のことが好きになったらしい」
そう言うと箒は顔を真っ赤にしながら二、三歩後ろに後退する。
「ななっ・・・わ、私のことが好き・・・ってあの・・ライクじゃなくて」
「ああ、違う。俺は箒のことを愛してる。お前を一人の女性として、愛している。誰がなんと言おうと」
嘘偽りのない。
真実の言葉。
箒はプシュゥと頭から煙出しながらこんがらがっている。だが、少し時間が経ち、彼女は今一度俺の方を向いた。
「まぁ・・・色々とあったけどさ」
「ああ・・うん。色々あった」
福音と戦い、死ぬことが嫌で弱気になり、それでも自分に勝って一夏や更識を倒し、乱入者も倒した。すると、財団と戦争になり、一人でAF倒したり、VOB使ったり、色んな人に迷惑をかけて、色んな人に支えてもらった。
俺がしたことをが何を生むのか。
答えはもう出ている。今更迷うだけ無駄だ。ならば、あとはその答えを確かめるだけでいい。
これで本当に良かったのか。いや、例えそれが間違っていたとしても俺はもう後悔しない。
自分で選んで、自分で決めたことだから。
「もう一度言う」
財団の言う人の可能性は俺が持っているんじゃない。この世界にいる一人一人が持っているものだから。
「俺はお前のことが好きだ。お前の隣でずっといたいんだ」
そして、箒はその言葉の答えを言った。
「私も里穂のことが・・・・好きだ。愛してる」
こうして、俺と箒。世界を巻き込んだ物語は一旦その幕を閉じる。正直に言ってしまえば篠ノ之束と財団は対である、正と負なのではなかったかと思う。
人の可能性に賭けてISを作り、人に託した篠ノ之束。
人に可能性などないと信じ、世界を破滅させようとした財団。
この二人が今後どういう関係を表していくのかは俺には分からない。未来を選ぶのは結局のところ俺たちなのだから。
未来は不確定。過去は後戻り不可。だからこそ、この今が大切なのだ。何を選んで、何を選ばないのか。
まぁ、見ていてくれ。紅蓮。俺がしたことが結果何を生むのか。
季節は冬に移ろうとしていた。
と、いうことで無事最終回を迎えることになりました。
お気に入り登録のみなさん、閲覧してくださったみなさん、感想、ご指摘、応援してくださったみなさん、こんな小説に付き合っていただき誠にありがとうございました。
自分でもよく失踪しなかったなと思っています。
今回の『紅に吠える傭兵』は少々AC要素を取り入れすぎ、グダグダになってしまった部分が非常に多いかと思いますが、処女作ということでなんかお見逃しください。
それではみなさん、今までありがとうございました。
ご縁があれば、また何処かでお会いしましょう。