紅に吠える傭兵   作:青野

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学園

 

 

 その日、早速放課後俺は一夏に連れられて第一アリーナに来ていた。アリーナの観客席には一夏や他の専用機持ちたちの訓練を参考にそれなりの生徒たちが見学していた。

 アリーナ自体もかなり大きめであった。

 この学園、かなり金使ってるんだな・・・と、俺は改めて理解した。

 

「なっ、速く見せてくれよ!」

「おいおい、あんまり急かすなよ」

 

 一夏にとっては唯一の男学友の専用機が見たいのだろうが、キラキラした眼差しで俺の紅い首輪を見ている。

 一夏の後ろには既に展開済みの五人がこちらを見ている。彼女らもまた気になるのであろう。

 

「行くぞ・・・・紅蓮」

 

 光ともに俺は紅蓮を身に纏う。

 うむ、問題ない。

 

「おお!すげぇ!黒よりの赤に黒のサブ色が馴染んでかっこいい・・・」

 

 などと一夏は大いに喜んでいた。

 まぁ、そこまで言われれば特に嫌な気分にはならないのだが、どうにも俺はこういう性格の主は苦手である。

 別に一夏自体が嫌いな訳ではない。 

 誰にでも優しく、元気で明るい。皆に平等に接している。

 一夏の周りにいる彼女らも一夏に対して好感を持っているのだろう。それには色々とねじ曲がった事情があるのだろう。

 そこにズカズカと土足で踏み入る真似は流石の俺でもしない。

 誰かを選ぶ、誰かを好きになるということは差別をするということだ。一夏もそこは少し理解しているのであろう。

 一夏は優しいから、だから同じ態度をしているのであろうと、俺は頭の中で推測する。果たしてそれがそう理解しているのか、それもただの鈍感なのか分からない。

 

「一夏、そろそろ模擬戦やろ」

 

 凰が一夏を急かす。一夏は軽く頭を下げなら白式を展開した。白式は前回見た時と同じ第二形態。雪羅。

 通常のビーム兵器を無効化にすると盾と荷電粒子砲付きのクロー。それと、雪片弐型。恐らく最大の難点の雪片弐型が白式を相手にするうえで一番厄介な武器だ。

 

「けど、機体性能を本人が十分に引き出せていない」

 

 俺はピットから一夏と凰の模擬戦を見ながらそう呟いた。

 

「だが、一夏は確実に強くなっている」

 

 そう言って隣に立つのは篠ノ之だった。

 

「そうなのか?」

「ああ、私は一夏を入学当初から知っているからな。当時と比べれば格段に強くなっている」

 

 幼馴染、親友だからこそ言える言葉なのだろう。まぁ、彼女が言うことが本当なら少し昔はこれよりも酷かったのか。

 と思うと俺はため息が出る。

 

「それで、篠ノ之はどれくらい強いんだ?」

「・・・・・・」

「?」

「そのだな・・・その篠ノ之と呼ぶのはやめてくれ。箒でいい」

「そうか?んじゃ、箒。お前は強いのか?」

「・・・分からない。福音の時は自分が如何に浅はかだったのか良く分かる」

「・・・それは、一夏のおかげか?」

 

 と、言ってみると彼女は顔を真っ赤にしながら「一夏は関係ない!」と言うのだ。

 

「はぁ・・一夏ラブなのはいいが、他の奴に負けるなよ?」

「う、うるさい!」

 

 どうやらここ放課後までの行動を見ていると箒だけではなく、デュノアやボーデヴィッヒ、オルコット、凰や他の女子生徒は皆一夏に惚れているようだ。

 一夏の周りにはいつも人垣が出来ている。そう思うと少し一夏に対してムカッというような感情を感じた。

 

「ふっ・・」

 

 自分がこのような感情を持つなど。

 昔は戦うことしか頭の無かったからな。こんな色恋で感情が動くなど・・俺も随分と甘くなったものだな。

 だけど、それはこの世界に馴染んできているということなのかもしれない。

 そう思うと少しだけ嬉しかった。

 

「何か、おかしいのか?」

 

 不敵な笑みに箒が聞いてきた。

 

「・・・そうだな。まぁ、気まぐれウサギの予定通りに運んだからかな?」

「??」

 

 最後まで彼女は?マークが消えることはなかった。

 

 暫くして模擬戦が終わる。次に各自、個人訓練に入る。

 

「へぇ、君もライフル使うんだ」

 

 ライフルを展開して射撃訓練しようと思った時、不意にオレンジ色のラファールを展開したデュノアがやって来た。

 同じ射撃武器を扱う者として若干の興味が沸いたのだろう。

 

「まぁな。主兵装はライフルとマシンガンになる」

「僕と一緒だね」

「んな訳ねーだろう?その盾の後ろにはパイルバンガーという強力な武器をぶら下げているじゃないか?」

「えへへ、お見通しだったか」

 

 そんなことは機体データを見れば一目瞭然だ。それにしてもこのシールドピアス。かなり強そうだな。

 

「じゃぁ、射撃が上手いんだね」

 

 その問いに答えることはなく、俺は彼女に背中を向けてライフルを構えた。すると、三百メートル先に的が出現した。引き金を引いて次々と撃つ。

 弾丸は真っ直ぐ飛び次々と的に命中していった。

 

「ふぅ・・・まぁ、この距離ならこんなものか」

 

 俺の上に命中率百パーセントの文字が出てきた。が三百メートルなど当てて当然だ。オルコットなどとは何キロ先からでも正確に射撃することなど可能だろう。

 まぁ、俺は狙撃手じゃないから別に問題ないだろう。

 

「へぇ、凄いね」

「お世辞はいいぞ。俺は高機動砲撃戦と近接格闘を得意とするから、こんな止まって射撃なんてとてもじゃないがやってられない」

「だよねぇ」

 

 と、デュノアとは笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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