異世界転生したのに前の転生者にやり尽くされていた件   作:berunarudo

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第三十三話 今代の勇者

 

 三つの殺意が、壊れた広場の中心で重なっていた。

 

 一つは、魔族の力を取り込んだミシェルのもの。

 一つは、レンの身体を使っている何かのもの。

 そしてもう一つは、空から舞い降りた男――今代の勇者ベルナードのものだった。

 

 広場はすでに、元の形をほとんど失っていた。

 石畳は割れ、噴水は砕け、建物の壁には竜の爪痕が刻まれている。

 瓦礫の隙間からは黒い煙が立ち上り、負傷した騎士たちの呻き声と、逃げ遅れた民衆の泣き声があちこちから聞こえていた。

 その中心で、三人だけが異様に静かだった。

 

 誰も動かない。

 誰かが一歩でも踏み出せば、その瞬間に広場ごと吹き飛ぶ。

 そんな緊張感が、空気を張りつめさせていた。

 その空気を割るように、ミシェルが片手を上げた。

 

「降参です」

 

 あまりにもあっさりとした言葉だった。

 白々しいほど穏やかで、戦意など最初からありませんと言わんばかりの声。

 だが、その場にいた誰も、その言葉を信じなかった。

 

「私としても、あなたとやり合うほど驕ってはいません」

 

 ミシェルはベルナードを見て、丁寧に頭を下げた。

 その姿だけ見れば、礼儀正しい紳士にすら見える。

 けれど、その身体には魔族の鱗が生え、背後には棘の並んだ尾が揺れていた。

 何より、その手にはロンギヌスの槍が握られている。

 あの槍だけは渡してはいけない。

 そう思った瞬間、ベルナードの姿が消えた。

 

「へえ」

 

 声が聞こえた時には、ベルナードの剣がミシェルの首元に迫っていた。

 

 速い。

 目で追えた者は、ほとんどいなかったと思う。

 騎士たちはもちろん、サラも、エリシアも、息を呑むことしかできなかった。

 ベルナードは、剣をミシェルの喉元に当てたまま、軽く首を傾げる。

 

「僕がそれで逃がすとでも?」

「おお、怖い」

 

 ミシェルは動じなかった。

 いや、正確には違う。首筋にはわずかに汗が浮かんでいた。

 それでも、彼は笑っていた。

 

「ですが、影渡りの術はすでに発動済みです」

 

 その言葉と同時に、ミシェルの足元の影が大きく広がった。

 黒い水たまりのような影が、彼の足を、膝を、腰を飲み込んでいく。

 ベルナードの剣がわずかに動く。

 だが、間に合わない。

 

「槍はいただいていきます」

 

 ミシェルは最後まで丁寧に微笑んだ。

 

「では、またいずれ」

 

 そのまま、彼の身体は影の中へ沈んでいった。

 ロンギヌスの槍を握ったまま。

 完全に姿が消えたあと、広場には沈黙が残った。

 

「はー……」

 

 ベルナードは剣を肩に担ぎ直し、大きくため息をついた。

 

「面倒くさいやつらだなあ」

 

 その声は軽かった。

 けれど、広場の誰も笑えなかった。

 ミシェルは逃げた。ロンギヌスの槍も奪われた。

 エリシアは変わり果て、街は壊れ、騎士も民衆も傷ついている。

 何一つ、終わってなどいなかった。

 その時、ベルナードの視線がレンへ向いた。

 

「それで」

 

 ベルナードは剣を軽く回した。

 

「あなた……いや、君はどうする?」

 

 レンの形をした何かは唇の端を吊り上げた。

 人を見下し、世界を退屈そうに眺め、それでいて目の前の強者だけは楽しそうに見る。

 そんな、古い獣のような笑み。

 

「わしはただ、貴様と殺し合いたいだけだ」

「駄目だよ」

 

 ベルナードは即答した。

 

「街が壊れちゃうでしょ」

「だからなんだ」

「これ以上怒られるのは嫌なんでね」

 

 ベルナードは面倒そうに言いながらも、剣をゆっくりと構え直した。

 その瞬間、彼の持つ質素な剣が淡い光を放った。

 派手な光ではない。ミシェルのマギアのような神々しさもない。

 けれど、確かにそこにあるものを正しい形に戻そうとするような、静かな光だった。

 

「さて」

 

 ベルナードは、俺の身体を見据えた。

 

「そろそろ起きてきな、少年」

 

「何を――ぐっ」

 

 何かが、初めて苦しそうに顔を歪めた。

 膝が崩れる。

 剣を地面に突き立てなければ、立っていられないほどだった。

 

「貴様……何をした」

「君はまだ、この身体に定着していないからね」

 

 ベルナードは淡々と言った。

 

「表に出てこられたのは、少年の心が折れた一瞬だけだ。なら、奥にいる本人を呼び起こせばいい」

「小僧を呼び起こすつもりか」

「そういうこと」

「ふざけた力だ」

「それが僕なんでね」

 

 ベルナードの剣の光が、さらに強くなる。

 レンの身体が震えた。

 内側で何かが引き剥がされていくような感覚があった。

 暗い場所に沈んでいた意識が、遠くから引っ張り上げられる。

 誰かが怒鳴っている。誰かが笑っている。

 その声が、少しずつ遠のいていく。

 

「覚えていろ」

 

 何かはそう宣言した。

 

「貴様は必ず殺してやろう」

「楽しみに待っておくよ」

 

 ベルナードは軽く笑った。

 

「最悪の男、グランさん」

「忘れるな、小僧」

 

 それはレンに向けられた声だった。

 

「お前が折れれば、次はもっと深く潜るぞ」

 

 その言葉を最後に、意識の奥で何かが沈んでいく。

 瞳に、光が戻った。力が抜ける。

 身体が前のめりに倒れかけたところを、ベルナードが片手で支えた。

 

「さあ、起きたかな、少年」

 

「あん……?」

 

 俺は瞬きをした。

 目の前に、知らない男がいる。

 長身で、どこか気の抜けた雰囲気の男。

 質素な剣を肩に担ぎ、俺を見下ろしている。

 そのくせ、まとっている気配は異常だった。

 俺は思わず飛び退いた。

 

「って、あんた誰だ!?」

 

「ふふ」

 

 男は笑った。

 

「僕かい? 僕の名前はベルナード」

 

 ベルナード。

 

 その名を聞いた瞬間、思考が止まった。

 

「王国が認める、正真正銘の勇者だよ」

「う……」

「う?」

「うぇええええええええええ!?」

「わっ、急に大きな声を出さないでよ。びっくりするじゃないか」

 

 ベルナードさんは本当に驚いたように、片耳を押さえた。

 

「あ、す、すいません!」

 

 俺は慌てて頭を下げた。

 勇者ベルナード。王国の英雄。今代の勇者。

 俺が絵本や噂で何度も聞いてきた、本物の勇者。

 まさか、自分以外の勇者に会えるとは思っていなかった。

 それも、王国の英雄であるベルナード本人だなんて、夢にも思っていなかった。

 

 だが、そこでようやく現実が戻ってきた。

 

「あ、そうだ!」

 

 俺は顔を上げる。

 

「ミシェルは!? あいつはどうなったんだ!」

 

「彼は残念ながら逃げちゃった」

「逃げた……」

「うん。槍も持っていかれた」

 

 ベルナードさんの声は軽かった。

 でも、その目は笑っていなかった。

 

「ただ、君たちがいなければ、街の被害はもっと大きくなっていた」

 

 彼は俺を見た。

 

「感謝するよ、勇者君」

 

 感謝。

 その言葉は、胸にうまく入ってこなかった。

 

 俺は街を守れたのだろうか。エリシアは助けられたのだろうか。

 でも、ミシェルは逃げた。槍も奪われた。騎士たちは倒れ、街は壊れた。

 そして。

 

「ああ、そうだ!」

 

 俺はベルナードさんの腕を掴んだ。

 

「俺の友達のこと、知らないか!? ルークスだ! あと師匠も! 滝に落ちたって、ミシェルが……それに、師匠もやられたって……!」

 

 言葉がまとまらない。

 自分でも何を言っているのか分からなかった。

 でも、聞かずにはいられなかった。

 

 ベルナードさんは、静かに首を振った。

 

「分からない」

 

 その一言で、喉が詰まった。

 

「ここに来るまでに、森の方へも向かった。魔物の死骸が何体もあった。大きな戦闘の跡もあった」

「じゃあ……」

「でも、そこには誰もいなかった」

 

 誰も。

 その言葉が、頭の中で繰り返された。

 

「そ、そんな……」

 

 足元が揺れる。

 

「あいつ……死んだのか……?」

 

 ルークスが。 あのルークスが。

 いつも俺に文句を言って、呆れた顔をして、でも最後には一緒にいてくれたあいつが。

 俺が勝ちたいと思い続けていたあいつが。

 俺の前を歩いているようで、でも隣にいてくれたあいつが。

 

 死んだ。

 

「くそ……」

 

 拳を握る。

 

「くそ、くそ、くそっ……!」

 

 怒りを抑えようとした。

 でも、抑えきれなかった。

 

 胸の奥が熱い。

 さっきまで眠っていたはずの勇者の痣が、また痛む。

 でも、その熱は希望ではなかった。

 怒りだった。悔しさだった。自分への憎しみだった。

 

 サラは、声を殺して泣いていた。

 いつもなら、俺に「落ち着いて」と言うはずのサラが。

 俺の隣で、肩を震わせていた。それを見て、余計に胸が苦しくなった。

 

 エリシアは何も言えずに、ただ震えていた。

 自分のせいだと思っているのかもしれない。

 でも、違う。

 違うはずなのに、今の俺には、それをちゃんと言葉にする余裕もなかった。

 ベルナードさんは、しばらく黙って俺たちを見ていた。

 そして、静かに言った。

 

「悔しいなら、強くなりな」

 

 俺は顔を上げた。

 

「泣いてもいい。折れてもいい。でも、そこで終わるな」

 

 ベルナードさんは、俺に手を差し出した。

 

「守りたかったなら、次は守れるように。届かなかったなら、次は届くように。戦うんだ」

「戦う……」

「敵はノアーク教団だ」

「ノアーク、教団……」

「君が本気で追うなら、僕が鍛える」

 

 ベルナードさんの手は、静かにそこにあった。

 

「僕の手を取れ、勇者君」

 

 俺はその手を見た。

 涙が視界を滲ませていた。でも、こぼすものかと思った。

 ここで泣いたら、何かが崩れてしまう気がした。

 俺は歯を食いしばり、その手を掴んだ。

 

「必ず……」

 

 声が震えた。

 

「必ず、あいつを倒す」

「うん」

 

 ベルナードさんは頷いた。

 

「その想い、僕が預かるよ」

 

 勇者の痣が、強く光った。

 

     ◇

 

 それから、キャンウィング領には王国の支援が入った。

 

 勇者ベルナードの存在は大きかった。

 彼が街にいるだけで、混乱していた民衆は少しずつ落ち着きを取り戻した。

 騎士たちは再編され、負傷者は治療され、崩れた建物の撤去が始まった。

 空を覆っていた異常な闇も、時間とともに薄れていった。

 

 ようやく朝日が差し込んだ時、街のあちこちで泣き声が上がった。

 それは喜びの声でもあり、失ったものを思い出す声でもあった。

 エリシアは、ベルナードさんが預かることになった。

 

 彼女の身体は、もう完全な人間とは言えなくなっていた。

 白く変わった髪。 角。尾。魔族因子。

 このままキャンウィング領に残れば、彼女を見る民衆の目は必ず変わる。

 ベルナードさんは言った。

 

「彼女を守るには、王都に連れていく方がいい」

 

 エリシアは何も言わなかった。

 ただ、父を失い、母を失いかけ、マリーを失った少女の目で、静かに頷いた。

 

 俺とサラの力も、正式に認められた。

 勇者の痣を持つ俺。聖女としての力を示したサラ。

 そして、ノアーク教団という敵。

 

 俺たちは王都にあるゴルゴン国立学園へ通うことになった。

 そこで学びながら、ベルナードさんが直接修行をつけてくれるという。

 普通なら、喜ぶべきことだった。

 

 勇者ベルナードに鍛えてもらえる。

 王都へ行ける。もっと強くなれる。

 昔の俺なら、飛び跳ねて喜んだはずだ。

 

 でも、その時の俺は笑えなかった。

 ルークスがいない。師匠がいない。

 

 その事実だけが、胸に重く残っていた。

 

     ◇

 

 故郷のゼケルは、ガードナーさんが知らせに走ってくれたおかげで守られていた。

 

 魔物の群れは逸れ、街道も完全には潰されなかった。

 俺たちの家も、サラの家も、ルークスの家も、無事だった。

 無事だったからこそ、つらかった。

 

 ルークスの家へ向かった時、俺は何度も足を止めた。

 扉を叩くのが怖かった。

 ミリアさんの顔を見るのが怖かった。ガレンさんに、ルークスのことを伝えるのが怖かった。

 ルーシーに、兄が帰らないと伝えるのが怖かった。

 それでも、俺は行かなければならなかった。

 ルークスは、俺の友達だったから。

 

 扉を開けたミリアさんは、俺とサラの顔を見て、すぐに何かを察したようだった。

 

「ルークスは?」

 

 その声は、いつも通り優しかった。

 だから、余計に言葉が出なかった。

 サラが隣で泣きそうな顔をしている。

 俺は拳を握りしめた。

 

「ルークスは……」

 

 言葉が喉に引っかかる。

 

 死んだかもしれない。滝に落ちた。見つからなかった。

 どれを言えばいいのか分からなかった。

 けれど、結局、何を言っても同じだった。

 

「帰って……きませんでした」

 

 ミリアさんの顔から、色が消えた。

 奥にいたガレンさんが、ゆっくりと立ち上がる。

 その手には、まだ仕事帰りの手袋が握られていた。

 

「どういうことだ」

 

 低い声だった。

 怒っているわけではなかった。

 ただ、理解できないことを聞いた人の声だった。

 俺は全部話した。

 話している間、ミリアさんは一度も声を出さなかった。

 ただ、途中で膝から崩れ落ちた。

 

「嘘……」

 

 ミリアさんの手が、床を掴む。

 

「あの子が……そんな……」

 

 ガレンさんは、何も言わなかった。

 

 ただ、拳を握りしめていた。握りしめすぎて、爪が掌に食い込んでいた。

 それでも、彼は泣かなかった。泣かないように、必死に耐えている顔だった。

 そして、ルーシーが奥から出てきた。

 

「お兄ちゃんは?」

 

 小さな声だった。

 誰も答えられなかった。

 

「ねえ、お兄ちゃんは?」

 

 ルーシーは俺を見る。

 

「レン兄ちゃん、ルーク兄ちゃんは?」

 

 胸が裂けそうだった。

 

「ごめん……」

 

 それしか言えなかった。

 ルーシーはしばらく俺を見つめていた。

 そして、首を振った。

 

「なんで?」

 

 声が震える。

 

「なんで、お兄ちゃん帰ってこないの?」

 

 何度も、何度も聞かれた。

 そのたびに、俺は拳を握った。

 

 答えなんてなかった。

 俺が弱かったから。俺が守れなかったから。

 俺が勇者なのに、何もできなかったから。

 

 喉の奥が熱くなった。

 泣くな。俺が泣く資格なんてない。

 

 ルークス。

 俺がまだ勝っていないのに、死にやがって。

 俺を置いて行くなよ。

 お前はいつも俺の前にいて、俺が追いかける相手だっただろ。

 

 ルークスお前の仇は俺が討つ。

 その日、俺は心の中で誓った。

 

     ◇

 

 それから一年が過ぎた。

 一年は、長いようで短かった。

 

 俺は笑う回数が減った。剣を振る時間が増えた。

 朝起きれば素振りをし、昼は魔想を練り、夜はベルナードさんから送られてきた課題をこなした。

 身体は少し大きくなった。剣も、前より速く振れるようになった。

 でも、どれだけ強くなっても、胸の奥に空いた穴は埋まらなかった。

 

 サラも変わった。

 前より静かになった。笑う時は笑う。

 けれど、ふとした時に遠くを見るようになった。

 ルークスの家の前を通るたび、少しだけ歩く速度が遅くなる。

 

 ルーシーは、俺を見ると泣きそうな顔をした。

 ミリアさんは少しずつ日常に戻ろうとしていた。

 ガレンさんも仕事へ戻った。でも、家の中からルークスの声がしない。

 その空白だけは、どうしても埋まらなかった。

 

 そして今日。

 俺たちは王都へ向かう。

 出発の前に、俺はルークスの墓へ来ていた。

 

 墓と言っても、遺体はない。

 滝の下流を何度探しても、ルークスは見つからなかった。

 だからそこにあるのは、名前を刻んだ石だけだった。

 ルークス・ガレン。

 その名前を見るたびに、胸が痛んだ。

 

「ルークス」

 

 俺は墓の前で手を合わせた。

 

「俺は、お前より何倍も強くなって帰ってくる」

 

 風が吹いた。

 墓の周りに植えられた小さな花が揺れる。

 ルーシーが置いた花冠も、少しだけ揺れていた。

 

「だから、見てろよ」

 

 俺は拳を握る。

 

「俺がミシェルを倒す。ノアーク教団を潰す。お前の分まで、俺が強くなる」

 

 そう言ってから、少しだけ黙った。

 本当は、言いたいことはもっとあった。

 

 勝ち逃げするな。俺より先に死ぬな。

 サラを泣かせるな。ルーシーを泣かせるな。

 でも、それを言えば、また涙が出そうだった。

 

「行くよ、レン」

 

 後ろからサラの声が聞こえた。

 

「間に合わなくなっちゃうよ」

「ああ」

 

 俺は立ち上がった。

 

「今行く」

 

 振り返ると、サラが待っていた。

 彼女の髪が、朝の光を受けて淡く光っている。

 その目には、まだ悲しみが残っている。でも、前を向こうとしていた。

 俺も、前を向かなければならない。

 ルークスの墓に背を向ける。

 

 そして俺たちは、王都へ向かって走り出した。

 

     ◇

 

 熱を感じた。温かい。

 ぱち、ぱち、と火花が散る音が聞こえる。

 

 どこかで聞いたことのある音だった。

 雷が弾ける音。

 師匠が矢を番える時、空気の中に走っていた音。

 

 まぶたが重い。身体が動かない。

 喉が乾いている。胸の奥が痛む。

 でも、意識は少しずつ浮かび上がっていく。

 

 師匠。

 そこにいるのか。

 

「し……しょう……」

 

 掠れた声が漏れた。

 

「師匠?」

 

 返ってきた声は、知らない男のものだった。

 

「大丈夫か?」

 

 俺はゆっくりと目を開けた。

 

 視界がぼやけている。

 目の前には焚火か?

 そして、俺を覗き込んでいる上裸のおっさん。

 

「ぎゃあああああああ!」

「うわあああああああ!」

 

 俺が叫び、おっさんも叫んだ。

 身体に痛みが走り、俺は思わず咳き込む。

 けれど、その痛みすら、どこか現実味があった。

 つまり、俺は、生きている。

 

 だが、俺が死んだことになっているなんて、この時の俺はまだ知らなかった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
一章完結!いやーレンとルークスどっちが主人公なのか分からないですね(笑)
ちなみに、シナリオに存在する。とあるルートの場合はもっと悲惨な状況なので、まだまだハッピーエンドですね!さてさて、上裸のおっさんとは誰なのか。気になる二章はお楽しみに!
特に印象に残った場面や台詞がありましたら、一言だけでも感想をいただけると、とても励みになります。
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