異世界転生したのに前の転生者にやり尽くされていた件 作:berunarudo
Sランク冒険者の多くは、最終的に二つの道へ分かれていく。
一つは、ただ己を鍛え続け、誰よりも強い存在になることだけを求める道である。
そうした者たちは他者と群れることを好まず、国や組織から与えられる名誉にも興味を示さないまま、自分より強い魔物や未知の土地を探し、命が尽きるまで戦い続ける。
もう一つは、手に入れた力を利用し、自らが望む目的を果たそうとする道だった。
自分の名を後世へ残す者。故郷の国を守ろうとする者。
王族や貴族に仕え、富や権力を手に入れようとする者。
あるいは、自分の理想を実現するために仲間を集め、一つの組織を築き上げる者もいる。
どちらを選ぶにせよ、Sランク冒険者ほどの力を持つ人間が、同じ場所へ何人も集まることはほとんどない。
一人でも国家の戦況を左右できる戦力を複数抱えれば、その組織が何を考えているのか、周辺諸国が警戒しないはずがないからだ。
例外が存在するとすれば、それはAZ財団だった。
AZ財団には、ギルドを通さず、財団そのものと契約を結んでいる冒険者が数多く存在する。
ギルド以上の報酬と、通常では手に入らない魔導具や研究成果を受け取れる代わりに、依頼へ安全という言葉は存在せず、任務中に命を落としたとしても、財団が責任を負うことはない。
危険であるほど報酬は上がり、前例のない依頼であるほど評価される。
その性質上、財団へ所属し続けられる者は、自分の命を守れるだけの実力を持つか、危険そのものを楽しめる人間に限られていた。
そんなAZ財団が抱える冒険者の中でも、特に恐れられている三人のSランク冒険者がいる。
姿を消し、他人の声や気配を再現し、敵の組織へ数年単位で潜り込む。AZ財団が現在ほど巨大な組織へ成長できた理由の一つは、ジンが各国から持ち帰った情報と技術にあるとされていた。
三人は、世界最高峰とされる世界の頂点――四天には届かない。
それでも、国家へとって十分すぎるほどの脅威であり、その存在を知る者からは、まとめてブラックアウトと呼ばれている。
光も、逃げ道も、希望すら残さず、相手のすべてを塗り潰す者たち。
その一人である縛鎖のバーボンのもとへ、一つの依頼が届けられたのは、彼が凍竜レルギオンと出会う少し前のことだった。
◇
「あら、竜種の捕獲依頼なんて、ずいぶん簡単に書いてくれるじゃない」
広い会長室の中央で、バーボンは受け取った依頼書を片手に持ちながら、向かい側へ座っている男を睨んだ。
部屋の壁には希少な絵画や魔導具が整然と並べられ、床へ敷かれた絨毯も、一般的な冒険者が一生働いたところで買えないほど高価な品である。
天井近くまで伸びた棚には各国から集められた資料や標本が収められ、この部屋へ入ることを許されている時点で、財団内でも相当な地位を持つ者であることを意味していた。
バーボンの向かい側へ座っているのは、初老に差しかかった男だった。
白い髪を後ろへ撫でつけ、細身の身体へ隙なく仕立てられた黒い衣服を身につけている。表情に大きな変化はなく、机の上へ両手を組んだまま、バーボンが依頼書を読んでいる様子を静かに観察していた。
「いくらあたしでも、変異した竜種を一人で捕まえるのは骨が折れるわよ」
「君であれば問題なく遂行できると判断した」
「変異種なんて、戦った経験がないのだけれど?」
「冒険者とは、未知へ挑む者だろう」
「そういう便利な言葉で、無茶な依頼を押しつけるのはどうかと思うわ」
不満を口にしながらも、バーボンの目にはわずかな好奇心が浮かんでいた。
未知の竜種。
龍脈へ近づき、通常の個体を超える魔力を獲得した可能性があるという。
危険であることは間違いない。
だが、危険であるからこそ、一度戦ってみたいとも思っていた。
「捕獲は難しいわよ。竜種は魔力も生命力も高いし、変異しているなら、あたしの支配が通じない可能性もあるわ」
「把握している。生きた状態での捕獲が最善だが、不可能であると判断した場合は、討伐後に素材を回収しても構わない」
「最初から、死体でも価値があると考えているわけね」
「その通りだ」
「それならいいわ。報酬は遠慮なくもらうから、財団の金庫を空にする覚悟をしておきなさい」
「問題ない」
男は表情を変えないまま、机の引き出しから一枚のカードを取り出し、バーボンの前へ滑らせた。
黒いカードの中央には、一部をかじり取られた金色の林檎が描かれている。
その紋章が意味するものを、バーボンは知っていた。
「まさか、帝国からの依頼だったなんてね」
「私も驚いた。ラーニアス魔導帝国が、財団へ正式な依頼を出したのは数十年ぶりだ」
「自分たちの技術だけですべて解決できると思っている国が、わざわざ頭を下げてきたというわけ」
「帝国側は、頭を下げたつもりなどないだろう」
「でしょうね。お互いに利用しているだけだもの」
バーボンは金色の林檎が描かれたカードを指先で持ち上げ、光へ透かすように眺めた。
ラーニアス魔導帝国は、魔導技術において他国を大きく引き離している。
同時に、その技術が外部へ流出することを極端に嫌い、国内で開発された魔導具の構造や製造法を、国家機密として厳重に管理していることでも知られていた。
そんな帝国が、なぜ龍脈と融合した可能性のある凍竜を欲しがるのか。
理由までは依頼書に記されていない。
だが、単なる魔物の研究では終わらないことだけは分かった。
「失敗は許されない」
「任せなさい。ウォッカを連れていけば山ごと燃やしかねないし、ジンでは竜を止める火力が足りない。捕獲を狙うなら、あたしが一番適任でしょうね」
「その判断に異論はない」
「では、金庫を空にする準備をして待っていなさい」
「行ってこい、バーボン」
「はーい」
バーボンは依頼書を胸元へ押し込み、立ち上がると、会長室の扉を勢いよく開いた。
室内へ響いた轟音に、男はわずかに眉を動かしたものの、注意することはなかった。
扉が閉じ、バーボンの足音が遠ざかると、男は椅子へ深く腰を下ろし、机の引き出しから秘蔵していた葉巻を一本取り出した。
丁寧に磨かれた小型のナイフで先端を切り落とし、口へ咥える。
指を鳴らすと、小さな炎が生まれ、葉巻の先へ火を灯した。
男はゆっくりと煙を吸い込み、肺の奥まで行き渡らせた後、窓の外へ向けて吐き出す。
「ラーニアス魔導帝国の技術は、いずれ我々が掌握する」
低い声は、誰もいない会長室へ静かに落ちた。
「今回の依頼は、そのための大きな隙になる。覚悟しておけ、ジェスター一族」
◇
それから数週間後。
同じ会長室の扉が、今度は蝶番ごと外れそうな勢いで開かれた。
「もう、どうなっているのよ!」
帰還したバーボンは、部屋の静けさなど最初から存在しなかったかのように声を上げ、丁寧に整えられていたソファーへ一切の遠慮なく身体を投げ出した。
その衣服には戦闘の跡が残り、肩や腕へ細かな傷がいくつも刻まれている。
普段なら任務から戻った後も余裕を崩さない彼が、ここまで露骨に疲労を見せることは珍しかった。
「君は静かに扉を開けるという行為を知らないのか」
「そんなものは、ジンが一人で大量に持っているでしょう。あたしまで静かになったら、財団が暗くなりすぎるわよ」
男が指を鳴らすと、開け放たれていた扉が音もなく閉まった。
会長は机の上へ置いていた資料を閉じ、ソファーへ沈み込んでいるバーボンへ視線を向ける。
「それで、何があった?」
「聞いてちょうだい。レルギオンを捕獲しようと地下へ入ったら、天井から筋肉ムキムキのハンサムボーイと、可愛らしいボーイが降ってくるわ、戦っている途中でレルギオンと龍脈が一緒に暴走するわで、もう大変だったのよ」
「その二人は何者だ?」
「最初は帝国の兵士か、下手をすればノアーク教団の関係者だと思ったわ。でも実際は、ただのお馬鹿な旅人たちだった」
「ただの旅人が、君の任務を妨害したのか」
「ただの旅人ではあるけれど、強さまで普通だとは言っていないわよ」
バーボンはソファーへ横たわったまま、天井を見上げた。
思い出されるのは、自分の鎖を真正面から打ち返したタケルの拳。
そして、龍脈と融合したレルギオンの肉体へ刃を突き刺し、内側から魔力を溢れさせたルークスの姿だった。
「一人はタケル・カミヤマ。火龍の里の戦士で、誓枷と恩寵を使っていたわ。普段は自分の力を制限して、火龍から与えられた試練の時だけ、蓄積した力を解放するみたい」
「カミヤマ家か」
会長の指先が、机を一度だけ叩いた。
「アレス・ジョーンズの血を引く一族だな」
「あら、知っているの?」
「財団の会長を何だと思っている」
「趣味の悪い葉巻を吸っているお爺ちゃん」
「もう一人は?」
会長は反応せず、話の続きを促した。
「名前はルークス。おそらくゴルゴン王国の出身ね。姓は聞いていないわ」
「年齢は?」
「見た目だけなら十歳前後。でも、話し方や判断力は年齢に合っていない。妙に落ち着いている時もあれば、子どもらしく慌てる時もあるし、見ていて飽きない子だったわ」
「魔術回路は?」
「確認できなかった」
会長の指が止まった。
「魔術回路が存在しない?」
「少なくとも、魔想へ属性が混ざる様子はなかったわ。純粋な魔想を直接扱い、火龍の里に伝わる極心流まで使っていた」
「魔想量は」
「レルギオン以上」
会長室の空気が、わずかに変わった。
男は表情こそ変えなかったが、その目から、先ほどまでの気だるさが消えている。
「もう一度言え」
「あの子の魔想量は、通常の人間どころか、Sランクの竜種を上回っていた。龍脈によって魔想の生成が増幅されていたとはいえ、最後には自分の魔想をレルギオンへ流し込み続け、龍脈からの供給と合わせて肉体の処理限界を超えさせたわ」
「魔力炉が耐えたのか?」
「三日ほど眠り続けたらしいけれど、壊れてはいないわね」
「血統は?」
「知らないわ。本人も、自分の魔想量がどれほど異常なのか、正確には理解していない様子だった」
「戦闘記録は」
「当然、撮ってあるわよ」
バーボンは胸元へ手を入れ、小型の記録端末を取り出して机の上へ投げた。
端末が滑り、会長の手元で止まる。
「最初から帝国兵や教団員の可能性を考えていたから、戦闘が始まる前に記録を起動しておいたの。タケルちゃんとの戦闘も、レルギオンが暴走した後の様子も、全部入っているわ」
「上出来だ」
「褒めても何も出ないわよ」
「その少年は、どこへ向かった?」
「火龍の里よ。その後は知らない」
会長は記録端末を手に取り、表面を指でなぞった。
「監視を付けなかったのか」
「失礼ね」
バーボンは大きな胸を張り、得意げに笑った。
「あたしの召喚カードを渡しておいたわ。表向きは一度だけあたしを呼べる救援用だけれど、内部の術式は位置情報を財団側へ送るように作られている。持ち歩いている限り、どこにいるかはいつでも確認できるわよ」
「さすがだ、バーボン」
「でしょう?」
会長が評価すると、バーボンは子どものように満足そうな笑みを浮かべた。
しかし、すぐにその表情から、わずかに笑みが薄れる。
「勘違いしないでちょうだいね」
「何をだ」
「位置情報を取る目的があったのは事実だけれど、助けを求められたら、本当に行くつもりよ。あたし、あの子を気に入ったの」
「任務よりも優先するのか」
「状況によるわ」
「曖昧だな」
「乙女心は、何でも数字で決められるほど単純じゃないのよ」
会長はそれ以上追及せず、端末を机の引き出しへ収めた。
バーボンの好意が演技ではないことは、長年彼を見てきた男にも分かっていた。
だからといって、財団へ不利益を与えるほど情へ流されるとも思っていない。
好意と任務を同時に成立させる。
それがバーボンという人間だった。
「レルギオンの素材はどうなった?」
「回収班へ渡しておいたわ。胸部の損傷は大きいけれど、鱗や骨、翼膜は十分に残っているし、龍脈と接続していた器官も一部は確保できた」
「魔導装甲へ転用できる可能性は」
「技術班の判断次第でしょうけれど、龍脈から大量の魔力を受け取っていた器官を小型炉へ応用できれば、面白い物が作れるんじゃない?」
「報酬は振り込んでおく」
「待ちなさい」
会長が報告を終えようとしたところで、バーボンが片手を上げた。
「今回は、お金ではなく別の物が欲しいわ」
「君が金を断るとは珍しい」
「レルギオンの素材を使った魔導装甲。あれが完成したら、あたし向けに調整した一着をちょうだい」
「魔導装甲を何に使うつもりだ」
「決まっているでしょう」
バーボンはソファーから起き上がり、自分の腕を撫でながら微笑んだ。
「あたしの美しい筋肉へ、さらに美しい装甲が加わるのよ。もっと強く、もっと華麗になれると思わない?」
「戦闘効率を目的とするなら、手配しよう」
「あなた、本当に美というものが分からないのね」
「必要な機能が同じなら問題ない」
「大問題よ」
バーボンは不満そうに鼻を鳴らしたが、魔導装甲を用意するという返事そのものには満足しているらしく、机の上に置かれていたグラスへ勝手に手を伸ばした。
会長はため息をつきながら立ち上がり、部屋の奥にあるガラス扉を開く。
その先には、各国から集められた酒瓶が天井近くまで並べられていた。
男はその中から、特に度数が高く、芳醇な香りを持つ一本を選び、二つのグラスへ静かに注いだ。
バーボンの正面へ腰を下ろし、酒の香りを確かめてから喉へ流し込む。
「その趣味、完全にお爺ちゃんね」
「酒の価値が理解できない者に言われたくはない」
「それより、あの子がいれば、もっと早くレルギオンの解析ができたでしょうに。逃げられたのが惜しいわね」
バーボンが口にした「あの子」が、ルークスを指していないことを理解している会長は、グラスを机へ置いた。
「逃亡した研究員は、財団の研究データを持ち出している。あれがノアーク教団や他国へ渡れば、我々にとって大きな損失になる」
「次に見つけた時は、鎖で縛っておいた方がよさそうね」
「好きにしろ。ただし、データを確保する前に壊すな」
「いくらでも優しく縛ってあげるわ」
「対象の行方は判明した」
会長は別の資料を取り出し、机の上へ広げた。
そこには迷宮都市パラドの地図が描かれ、地下へ広がる大迷宮の入口と、周辺の建物が細かく記されている。
「逃亡した研究員は、迷宮都市へ入った可能性が高い。奴が使用している転移装置の魔力反応も、パラド周辺で確認された」
「あら。次の任務は迷宮都市かしら」
「君は目立ちすぎる」
「失礼ね。華やかと言ってちょうだい」
「迷宮都市には、すでにジンを送り込んでいる」
暗翳のジン。
その名前を聞いた瞬間、バーボンはわずかに眉を上げた。
「あらら。逃げた子、可哀想に。命は残るのかしら」
「ジンの目的は、対象の抹殺ではない。持ち出された研究データと、迷宮都市に隠された装置の回収だ」
「つまり、命は二の次?」
「必要であれば生かす。不要なら判断はジンへ任せてある」
「悪い子たちね、あたしたち」
「世界を守るためだ」
バーボンはグラスに残っていた酒を飲み干し、口元を歪めた。
「本当にそうなのかしら」
「世界には、管理されるべき危険が存在する」
「その管理をするのが、たまたま財団というわけ?」
「我々以上に適任な組織が存在するなら、紹介してもらいたいものだ」
「そういうところが、傲慢なのよ」
「否定はしない」
会長は平然と答えた。
世界を守るために、危険な技術を回収する。
それ自体は間違っていないのかもしれない。
だが、回収された技術を財団が独占し、自分たちの兵器へ転用していることも事実だった。
守るための力と、支配するための力。
その境界がどこにあるのか、バーボン自身にも分からない。
それでも彼はAZ財団へ所属し、その力を使い続けている。
高い報酬が得られるから。
強い相手と戦えるから。
財団の技術が自分をさらに強くしてくれるから。
そして、財団が完全な善ではないとしても、世界を壊そうとする組織よりはましだと考えているからだった。
「報告は以上よ」
バーボンは立ち上がり、会長室の扉へ向かう。
「ルークスという少年については、引き続き監視を続けろ」
「分かっているわ」
「必要であれば、身柄を確保する可能性もある」
扉へ伸ばしていたバーボンの手が止まった。
「その時は、あたしを通してちょうだい」
「命令か?」
「お願いよ」
振り返ったバーボンの顔には、笑みが浮かんでいた。
しかし、その目は笑っていない。
「いきなり怖い人たちを送り込んだら、ルークスちゃんが驚いてしまうでしょう。あの子を縛るなら、あたしが優しく縛ってあげるわ」
「検討しよう」
「必ずよ」
バーボンは今度こそ扉を開き、会長室から出ていった。
◇
誰もいない通路へ出たバーボンは、少し歩いたところで足を止めた。
周囲に人の気配がないことを確認すると、自分の胸元へ手を差し入れ、小さな端末を取り出す。
黒い画面へ魔想を流すと、地図が浮かび上がった。
火龍の里から南へ伸びる道。
その先に存在する迷宮都市パラド。
地図上では、小さな星の形をした光が、ゆっくりと迷宮都市へ近づいていた。
「もう火龍の里を出たのね」
バーボンは画面へ指を触れ、星の動きを追いかける。
自分はルークスを監視している。
それは否定できない。
カードを渡した時から、その目的は確かに存在していた。
だが、カードを渡した理由が、それだけだったわけでもない。
龍脈と融合したレルギオンを前にして、死を受け入れるのではなく、戦う覚悟を選んだ少年。
自分よりも遥かに巨大な魔物へしがみつき、身体が壊れる寸前まで魔想を流し続けた姿は、任務が終わった今でも記憶に残っている。
強くなるだろう。
本人が望むかどうかに関係なく、周囲の人間や組織が放っておかないほどに。
もしかすると、財団もその一つになるのかもしれない。
「ルークスちゃん、大変でしょうけれど頑張ってね」
バーボンは画面の中で点滅する星へ、小さく語りかけた。
「本当に困った時は、ちゃんとあたしを呼ぶのよ」
端末を胸元へ戻し、通路の窓へ目を向ける。
窓の外には、地平線まで続く暗い海が広がっていた。
波を切り裂きながら進んでいるのは、数百人の研究員や冒険者を収容できるAZ財団所有の巨大戦艦だった。
船体の内部には研究施設、格納庫、魔導炉、会長室まで備えられており、それ自体が一つの移動都市と呼べる規模を持っている。
巨大戦艦は速度を落とすことなく、ラーニアス魔導帝国の海域から離れていく。
その進行方向とは別の場所で、ルークスたちもまた、迷宮都市パラドへ近づいていた。
互いに何も知らないまま。
同じ場所へ集まりつつある、いくつもの思惑を抱えながら。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
物語は始まったばかりである。
特に印象に残った場面や台詞がありましたら、一言だけでも感想をいただけると、とても励みになります。