ソードアート・オンライン CHOSE the start Over 作:鉄血
「ユーリ!スイッチ!」
「おう、任せな!」
私が《ダイア・ウルフ》の攻撃を左手に握った盾でいなし、狼の隙が出来た瞬間をユーリが手にした両手剣による斬撃が狼の首を跳ね飛ばす。
HPバーがゼロになった瞬間、空中で不自然に停止し、パシャアッ!と青い光のポリゴン片となって爆散した。
加算される経験値、ドロップした素材アイテムに私は目もくれず、ユーリに近づいた。
「おつかれ様、ユーリ」
「おう、イオリもな。無事だったか?」
「うん。私は平気だよ」
そう答える私にユーリは剣を担ぐと、見えているホルンカの村に目を向けた。
「そうか。なら早く《ホルンカ》に入ろうぜ。ワイズマンが待ってる」
「うん、そうだね」
そんなやりとりをしながら私達は《ホルンカ》へと入ると、ワイズマンさんが宿屋の前で待っていた。
そんなワイズマンさんにユーリが手を上げる。
「よお、ワイズマン!そっちも無事だったみたいだな!」
「ええ。上手く合流出来て良かったです。貴方達も無事で何よりですよ」
安堵するワイズマンさんに私は笑った。
「ここまでベータテストと一緒だったし、なんとか」
「そうですね。きっと《森の秘薬》クエストも変わりないでしょう。だとしたら、クエストNPCは民家の前にいる《村のおかみさん》といった感じの女性です。ついてきてください」
私達はそうしてある一軒家の前まで向かい、そのおかみさんへ話しかけた。
「あの、何かお困りですか?」
幾つかある、NPCクエスト受諾フレーズが発生し、ゆっくりと顔を上げるおかみさんの頭上で、《?》が点滅した。
「旅の剣士さん、実は私の娘が・・・」
───娘が重病にかかってしまって市販の薬草を煎じて与えてもいっこうに治らず、治療するには西の森に生息する捕食植物の胚珠からとれる薬を飲ませるしかないが、その植物がとても危険なうえに花を咲かせている個体が滅多にいないので、自分の代わりに取ってきて欲しいというものだった。
クエストの内容も何も変わっていない。
私はすぐにお任せくださいと言ってから、三人でその場を後にした広場に戻った私達はすぐに《ネペント》についての情報を共有する。
「改めてクエストの内容を確認します。メインフィールドは《西の森》。出現率の低い《花付きのネペント》を倒すと、そのキーアイテム《リトル・ネペントの胚珠》がドロップします。ここまではいいですね?」
そう聞いてくるワイズマンさんに私達は頷いた。
「《リトル・ネペント》には先ほど言った《花付き》の他に《実付き》も存在します。《実付き》の実に攻撃をすると破裂して仲間を沢山呼ぶので倒すときは実を攻撃しないように気をつけてください」
「ちなみに・・・うっかり傷付けちまったらどれくらい仲間を呼んでくるんだ?」
「五十匹くらいだったかな?私の時はそれくらい集まってきた覚えがあるよ」
そう言う私にユーリはうげっとした顔をしながら言う。
「なら、実を傷つけないように気をつけねえと」
「でも、クリアすれば《アニールブレード》が貰えるはずなの。強化すれば二層までなら充分に戦える武器だよ」
「・・・《アニールブレード》?確か片手剣だろ?俺、ビタイチ片手剣スキルなんて上げてねえし。手に入れたらイオリにやるよ」
「まあ、そういうわけです。キーアイテムの奪い合いになる前に早く森へと向かいましょう。二人も準備ができたら行ってください。私も早速準備をしますので」
「わかりました。ワイズマンさんも気をつけて」
走り去っていくワイズマンさんの後ろ姿を見送った後、私はユーリを見た。
「だったら、俺達も準備をしなくちゃいけないな。イオリ、俺は先に防具を身にいくつもりだが、イオリはどうする?」
そう言う彼に私は言った。
「私は道具屋でポーションを買ってくるね」
「なら、俺のも頼む。金も幾らか渡しておくから頼むわ」
「分かった。三十分後にここで合流でいいかな?」
そう提案する私にユーリは頷いた。
「おう、分かった。じゃあ、三十分後にまたな」
そう言って歩いていく彼に───私は────
「・・・うん。また、三十分後に、ね」