ソードアート・オンライン CHOSE the start Over   作:鉄血

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第八話

『ギィィィィィッ!!』

 

ダンジョンの最新技術、《シュルーマン・クイーン》の不愉快な絶叫が洞窟内の空間に響き渡る。

 

「イオリ!スイッチ!」

 

「うん!」

 

ユーリの声と共に私はソードスキル《スラント》を《シュルーマン・クイーン》に向けて放つ。

大きくノックバックするその巨体にユーリが両手剣の長い刀身をクイーンの腹部へと突き刺し、そのまま勢いよくその腹を切り裂いた。

 

『ギィィィィィィィッ!!』

 

一際大きな絶叫が部屋に木霊する。

そして不自然にその巨体が硬直し、幾千ものポリゴン片となってシュルーマンの女王は爆散した。

 

「はっ、勝利ってな!」

 

「うん、終わったね」

 

私達は互いにハイタッチをし、勝利とお互い生きていた事に対して喜びを分かち合う。

 

「このまま奥まで行っちゃおう。そこに強化アイテムと出口に繋がるポータルがあるはずだから」

 

「おう。じゃあ、行くとしますか」

 

ドロップ品は村に戻ってから。今は強化アイテムを優先し、私達は洞窟の奥へと向かう。

と、そこには既にワイズマンがいた。

 

「ワイズマン!もうついていたのかよ」

 

「二人とも!無事に着いたみたいでよかったです!二人は僕と別ルートだったみたいだ。ほら、ここにいっぱい素材がありますよ!」

 

彼が指差す先には私の《アニールブレード》とユーリの《ロングアニールブレード》を強化することが出来る素材が沢山落ちていた。

 

「これだけあれば充分そうだな」

 

「うん。じゃあ、集めよっか」

 

「そうしましょう」

 

三人で素材を黙々と集めること数分。

 

「こんなもんで良いだろ」

 

「いい感じにいっぱい集まったし、問題ないかな」

 

「目標達成ですね!早く二人の武器を強化しましょう!」

 

私達はそんな談笑をしていたその時だった。

ピコン!と私とユーリの前にウィンドウが開かれる。

 

「おっ?なんだ?」

 

ユーリがウィンドウを開きソレを確認すると、勝手に胸元にソレが装備された。

 

「うわっ!?なんか勝手に装備されたぞ!?」

 

彼が驚いたようにそう言った瞬間、私の胸元にもウィンドウ操作をしていないにも関わらず、ソレが装備される。

 

「イオリ?お前もなのか?」

 

「・・・そう、みたい」

 

《古びたブローチ》

 

なんの効果もないソレは後に《救世の剣士》クエストでキーアイテムになる代物だ。

そしてこのブローチを手に入れられる条件は、恐らくベータテスト中にあのフクロウがいたダンジョンを攻略すること。

 

 

これのせいで・・・

 

 

私は胸うちにドス黒い感情が渦巻いていく。

 

これのせいで・・・ユーリが───

 

無意識にギリッと奥歯を噛み締めたその瞬間───。

 

「ええっ!?二人ともなんですか!?ソレ!?」

 

ワイズマンさんが驚いたように私とユーリを交互に見てから、自分にもそのブローチがないか確認する。

 

「僕だけない・・・?どうして?」

 

困惑するワイズマンさんにユーリが言った。

 

「鼠男の女王を倒してねえからじゃねえのか?」

 

「それなのかなぁ・・・」

 

不満げにワイズマンさんは答えつつ、私にブローチについて聞いてきた。

 

「ところで・・・そのブローチ、どんな効果があるんです?」

 

「・・・何も変化はないみたいです」

 

「なにも?」

 

パラメーターが変化しているわけでもない。今のこれはただの売ることの出来ないアクセサリーだ。

 

「なんなんだろうな。これ?」

 

「勝手にアバターに表示されるだなんて・・・何かの強制イベントなんでしょうか?」

 

考える二人に、私はそのブローチをストレージに収納した後、ブローチの事から話題を逸らすべく、私は言った。

 

「あの、今はブローチの事は置いてとりあえずホームに戻って、武器を強化しませんか?」

 

「・・・そうしましょっか。目的は達成しましたしね」

 

私としてはそっちの方がとてもありがたかった。今はこのブローチの事を考えたくない。

 

「なあ、イオリ」

 

と、ユーリが唐突に声をかけてきた。

 

「・・・どうしたの?」

 

振り向く私にユーリは───

 

「何か、嫌な事(・・・)でもあったか?今のお前、結構怖いぞ?」

 

ユーリの言葉に私は作り慣れた笑顔のまま───

 

 

ううん。なんでもないよ?(・・・・・・・・・・・)

 

ユーリに私はそう言った。

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