ソードアート・オンライン CHOSE the start Over 作:鉄血
『ギィィィィィッ!!』
ダンジョンの最新技術、《シュルーマン・クイーン》の不愉快な絶叫が洞窟内の空間に響き渡る。
「イオリ!スイッチ!」
「うん!」
ユーリの声と共に私はソードスキル《スラント》を《シュルーマン・クイーン》に向けて放つ。
大きくノックバックするその巨体にユーリが両手剣の長い刀身をクイーンの腹部へと突き刺し、そのまま勢いよくその腹を切り裂いた。
『ギィィィィィィィッ!!』
一際大きな絶叫が部屋に木霊する。
そして不自然にその巨体が硬直し、幾千ものポリゴン片となってシュルーマンの女王は爆散した。
「はっ、勝利ってな!」
「うん、終わったね」
私達は互いにハイタッチをし、勝利とお互い生きていた事に対して喜びを分かち合う。
「このまま奥まで行っちゃおう。そこに強化アイテムと出口に繋がるポータルがあるはずだから」
「おう。じゃあ、行くとしますか」
ドロップ品は村に戻ってから。今は強化アイテムを優先し、私達は洞窟の奥へと向かう。
と、そこには既にワイズマンがいた。
「ワイズマン!もうついていたのかよ」
「二人とも!無事に着いたみたいでよかったです!二人は僕と別ルートだったみたいだ。ほら、ここにいっぱい素材がありますよ!」
彼が指差す先には私の《アニールブレード》とユーリの《ロングアニールブレード》を強化することが出来る素材が沢山落ちていた。
「これだけあれば充分そうだな」
「うん。じゃあ、集めよっか」
「そうしましょう」
三人で素材を黙々と集めること数分。
「こんなもんで良いだろ」
「いい感じにいっぱい集まったし、問題ないかな」
「目標達成ですね!早く二人の武器を強化しましょう!」
私達はそんな談笑をしていたその時だった。
ピコン!と私とユーリの前にウィンドウが開かれる。
「おっ?なんだ?」
ユーリがウィンドウを開きソレを確認すると、勝手に胸元にソレが装備された。
「うわっ!?なんか勝手に装備されたぞ!?」
彼が驚いたようにそう言った瞬間、私の胸元にもウィンドウ操作をしていないにも関わらず、ソレが装備される。
「イオリ?お前もなのか?」
「・・・そう、みたい」
《古びたブローチ》
なんの効果もないソレは後に《救世の剣士》クエストでキーアイテムになる代物だ。
そしてこのブローチを手に入れられる条件は、恐らくベータテスト中にあのフクロウがいたダンジョンを攻略すること。
これのせいで・・・
私は胸うちにドス黒い感情が渦巻いていく。
これのせいで・・・ユーリが───
無意識にギリッと奥歯を噛み締めたその瞬間───。
「ええっ!?二人ともなんですか!?ソレ!?」
ワイズマンさんが驚いたように私とユーリを交互に見てから、自分にもそのブローチがないか確認する。
「僕だけない・・・?どうして?」
困惑するワイズマンさんにユーリが言った。
「鼠男の女王を倒してねえからじゃねえのか?」
「それなのかなぁ・・・」
不満げにワイズマンさんは答えつつ、私にブローチについて聞いてきた。
「ところで・・・そのブローチ、どんな効果があるんです?」
「・・・何も変化はないみたいです」
「なにも?」
パラメーターが変化しているわけでもない。今のこれはただの売ることの出来ないアクセサリーだ。
「なんなんだろうな。これ?」
「勝手にアバターに表示されるだなんて・・・何かの強制イベントなんでしょうか?」
考える二人に、私はそのブローチをストレージに収納した後、ブローチの事から話題を逸らすべく、私は言った。
「あの、今はブローチの事は置いてとりあえずホームに戻って、武器を強化しませんか?」
「・・・そうしましょっか。目的は達成しましたしね」
私としてはそっちの方がとてもありがたかった。今はこのブローチの事を考えたくない。
「なあ、イオリ」
と、ユーリが唐突に声をかけてきた。
「・・・どうしたの?」
振り向く私にユーリは───
「何か、
ユーリの言葉に私は作り慣れた笑顔のまま───
「
ユーリに私はそう言った。