アーチャーが世界(リリカルなのは世界)を守るという内容を考えております。
「So as I pray,」
赤い外套を纏った男は、詠唱を続ける。
それは、世界を変えるモノ。
あたしでさえ、それがあまりにも次元の違うモノだということが分かる。まるで化け物を相手にしているようだ。
いや、それは語弊があるかもしれない。目の前にいる男は、化け物そのものだ。
「Unlimited blade works」
男は、詠唱を終える。その瞬間、世界はその姿を一変させた。辺りは一面、剣の刺さった赤い荒野に、空には、歯車が浮かぶ。それは、今までいたあの場所とは、全く違う。
ギチギチという音とともに歯車は回る。
この世界は何なんだ…
あたしの思考は、そこで停止する。今まで、多くの戦いに参加して来た夜天の守護騎士であるあたしでさえ、経験のないものだ。あるはずがないこんな世界を作り変えるような化け物がいるはずない。停止する思考を無理矢理動かす。
「ヴィータ!」
共に戦って来たシグナムが、声をかけてくれる。
「闇の書を完成させる。それが私たちのやるべきことだ」
そう言って、シグナムは、男に突撃する。しかし、男は「甘いな」という言葉とともにシグナムの突撃を難なくいなす。
「なぜ、私たちの邪魔をする。貴様は関係ないはずだ」
「悪いが、邪魔をさせてもらおう。それが、完成した時、多くの人間に被害が出る。私はそれを止める。私は守護者だからだ」
それを聞いて、あたしたちは、動きを止めた。
あの男のいう通り、闇の書が完成すれば、暴走し被害が出る。
「これ以上は、無駄だ。早速、始めるとしよう。trace on」
男の背後が歪み、そこからとてつもない魔力を放つ剣や槍が現れる。まるでそこに最初からあったように……
それは、どんどん増えていく。
なぜそんなものを男が持っているのかなどどうでも良くなっていた。
「憑依経験、共感終了。…工程完了。全投影、待機」
剣は、あたしたちの方を向く。
「主を、主を守れ」
シグナムの声に反応し、シャマルが防御用結界を張る。それも、シャマルの秘密兵器といっても、良いぐらいのとびっきりのものを……
あたしたちは、その後ろで主を守るように構える。
「これで終わりだ。停止解凍、全投影連続層写!」
百、千、万、数えることの出来ない剣の雨……
終わりのない剣の雨はその数を増やしながら降る。
それは、あたしたちの方へ向かってくる。
それでも、あたしたちは耐えきることができると思っていた。油断していたのかもしれない……
シャマルの、あたしたちの中で、一番の強度を誇るシャマルの防御結界。それもとびっきりのものならば、破られない。破られるはずがない、と……
剣が近づくにつれ、そのひとつひとつがただ魔力を持っただけの剣でないことがわかった。
気が付いた時には遅かった。
その剣は、剣の雨は、容易く結界を破る。魔力を無効化するある剣によって結界は何の障害もないかのようにズタズタに破れる。
そこで、あたしの意識は途切れた。
あの剣の雨を受けて、身体がボロボロになっていた。
私の身体には、何本もの剣が刺さっている。
その一本一本がとてつもない魔力が宿っていることがありありと分かる。
ふっと、周りを見る。そこには、力尽きた仲間と、主……
男がゆっくりと近づいてくる。そこには、さっきまでの殺気は、すでになかった。
「貴様は、私たちにとどめを刺さないのか?」
「それをしなくても、君たちは、もう消えるのだろう?それよりもやらなくてはならないことがあるのでね」
男は、そう言って、主の元へ近づく。
「すでに、事切れているか」
事切れている…それが、どんなことを表すか私は知っている。
そして、主を失ったことで、私たちも消えるのだろう。
男は、主が消えることで、私たちが消えることを知っていたのだろう。だからこそ、男は、主が生存がしているのかを確認した。
生きていたならば、とどめを刺しただろう。
少しずつ消えていくのが、分かる。私たちは、闇の書を完成させることが出来なかった。
そして、何も出来ず主を死なせてしまった。
その後悔が胸に押し寄せる。そして、目の前の男に対する憎悪の気持ち。
「お前はなぜ?」
私から出た言葉はそれだった。なぜか?それは私も分からない。だけど聞きたかったのだろう。なぜ彼はそこまで敵対し殺した相手を無表情に涙を流して見ているのかを。
男は黙り続けた。その顔を少しも変えることなく。
少しずつ私は消えていく。それはともに戦った仲間も一緒だ。だけど主だけは違う。主の亡骸はそのまま消えずに残る。
「ごめんなさい。主よ。貴方を守ることができませんでした」
私が消える瞬間、そう呟いた。
涙を流す男が主のもとでただ一言「すまなかった」とつぶやいたのが聞こえた。
守護者になって、幾度となく、戦ってきた。
そして、多くの命を奪ってきた。誰もが、平和である世界を願いながら、多くの命を奪ってきた。
今度もそうだ。
私は、目の前の「主」と呼ばれていた少女を救いたかった。ただ救いたかった。しかし、その命を奪ったのは、私自身。騎士である少女にも問われた。「なぜ」と。
答えなど決まっている。私はそうとしか在りえないから。
許されるものではないであろう。それでも、ただ一言自然と口に出ていた。
「すまなかった」
自分の目の前のものだけでも、幸せになって欲しい。
ただそんな願いを、ただそんな理想を持ち続け、その心は、摩耗する。
持ち続けた理想に反する戦いをし続けその心は擦り切れる。
「私は、表面的にしか、救えていなかった。心は救えなかった」
そんな呟きだけが、赤い荒野に残っていた。
これからも定期投稿出来るようにしたいと思います。
どうぞこれからもお楽しみください
えっとやっと誤字の編集の仕方がわかったので、編集します。途中途中設定を消したり付け足したりしますので、話が変わる可能性があります。
なんていうかすいません。