弓兵の英雄譚   作:菊水餡子

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春休み!春休み!と言いつつも、忙しいのがこの季節…
ああ、こんな僕にやすみを!


第14話

あたしは、頼まれていた資料を手にはやてのもとへ向かっていた。

頼まれた資料は、最近噂となっている。正義の味方についてのもの。

その資料には、事件に居合わせた管理局員の話や、実際に助けられた人の証言がまとまっている。

なぜはやてがこれを必要としたのか。

噂の一つにロストロギアを破壊したというものがあった。

もし、その正義の味方が機動六課の協力者になってくれれば…はやてはそう考えたのだろう。

 

 

部屋の前に行くと、話し声が聞こえる。

「はやて、頼まれてたも…の…」

中に入ると、なのはとはやて、そして、赤い外套の男。

後ろ姿だけなのに、とてつもない存在感をはなつ男…

…あたしは、こいつを知っている。

あの赤い荒野で…

あたしたちを倒した男…

そして、闇の書との戦いでなのはを救った男…

 

「なんで…お前が…ここにいる」

 

あたしの口からそんな言葉が出ていた。

 

エミヤside

入ってきた少女…

夜天の守護騎士…

かつて私が殲滅した存在…

そして、なのはを救ったあのとき、なのはと共に戦っていた戦友…

記憶に間違いがなければ、彼女は…

「君は、私の知っている夜天の守護騎士か?」

 

はやてside

エミヤンがそう言うとヴィータは、戦闘態勢に入る。

「ヴィータ?!ちょっと待ってや!どうしたん?」

あまりにも、混乱していて状況が飲み込めない。

 

ヴィータは、エミヤンを知っている?なぜ?どこで?

 

「はやて…ごめん…こいつに聞きたいことがある…

ちょっと、話させてくれ…おまえちょっと来い」

「ちょっ、ちょっと待ってヴィータちゃん!」

「なのは、すまん。こいつに話があるんだ。すぐにすむから」

「なのは、私から申し訳ないが、頼む。私も彼女に聞きたいことがある」

そう言うとヴィータとエミヤンは、部屋の外に出て行ってしまった。

 

「はやてちゃん…なんでエミヤさんは、はやてちゃんが夜天の書の…」

なのはは言いかけてやめる…

そう、私自身のことは何も言っていないに等しい。

なのになぜ知っているのか…

そして、なぜヴィータがエミヤンを知っている?

エミヤンに対しての疑問が増えていく…

そして、極めつけは、彼の言葉…彼は夜天の守護騎士を知っているということ。

それも、ヴィータに対して、「私の知っている夜天の守護騎士か?」と…

 

彼はいったい何者?

 

 

 

エミヤside

部屋を出て、彼女は不意に口を開いた。

 

「おまえは、あのときの…あたしたちを倒したあの男なのか?」

彼女が言っているのは、あのことだろう。私が救えなかった闇の書の主のこと。覚えている…いや、絶対に忘れられない。必要悪として殺さなければならなかった…

本当は、彼女をも救いたかったのに…

だからあえて、こう言う。

「ああ、そうだ。守護者として、君たちと戦った存在だ」

私が正義の味方というものを目指したことを後悔しながら、戦い続けていたあのとき…

彼女たちと戦った。

その存在が世界に悪影響を及ぼすのであらば、排除しなくてはならない。そこに、意思はない…救いたくとも救えない。まるで、機械のよう…

私はそういう存在だったから。

「なぜあのとき、主を殺した…なぜだ」

憎しみなどそういったものを含んだ言葉。

「なぜか…私は、守護者として存在していた。だから、世界に悪影響を及ぼすもの排除しなくてはならない。夜天の書、いやあのときは闇の書と言った方がいいか…それが完成してしまえば、多くのものの命が危険にさらされる。私は、それを止めなければならなかった…」

今、話していることは、ほとんどが事実…

あれが暴走すれば、世界は壊れる。だから、私は止めなくてはならなかった…

たとえ、闇の書の主に選ばれてしまった人間を殺すことになっても…

その存在を救いたくとも…

 

「そうか、ならばなぜなのはを救ったときは、闇の書を壊さなかったんだ?」

 

それは、目の前の少女にとっても禁忌であろう質問。

闇の書を破壊する…それは、闇の書を主ごと破壊すること。

守護騎士である彼女は、主を守るためのもの。

そんな彼女がこの質問をする理由。

 

ただ、本当のことを知りたいのだろう。

私という守護者とまでなった存在の行動を…

なぜ、最初の出会いでは、容赦無く破壊したのに、二度の出会いでは、破壊しなかったのか…

 

「ただ、彼女や君たちならば、夜天の書を沈静化できる。そう思ったんだ。だから、私は彼女を助けた。ただそれだけだ」

 

それは、ある意味自分の本心であり、ある意味では、違う。

ただ、多くの世界を渡り、彼女たちならば、私が望むように、救ってくれると思ったから。

彼女たちの姿が過去の自分、自分とは違う道を選んだ守る宮士郎、そして、自分が憧れたじいさんの姿に重なって見えたから。

そんな姿を見たら、助けずには、いられなかった。

後悔しながら、戦い続けていた一度目の出会いとは違う。

そのことを皮肉にも、最も嫌っていた過去の、いや、あれはすでに私とは違う存在、正義の味方を貫く衛宮士郎によって、気づかされた。

 

 

「そう…」

彼女は、そう口にし、続ける。

「だけど、あたしは、お前があたしたちと戦い、主を殺したことを許さない。許さないけど、あたしの大切な人たちを守ってくれたことには、感謝してる。ありがとう」

目の前の少女は、強い。

ただ、そんなことが頭に浮かぶ。

敵であった者に感謝する。普通ならば、出来ない。

だから、それができる彼女は強い。

 

ああ、あのときの私が介入するという選択は間違いじゃなかった。

私の行動で救うことができた。

ああ、良かった。

 

「おまえの名前まだ聞いてなかったな。あたしはヴィータ。おまえは?」

 

 

 

 

「私は、エミヤシロウ。正義の味方を目指す者だ」

 

 

 

 

ここで、ようやく、あの戦いが終息した。

 

 

 

 

 





こっちが本編!次回予告‼︎

「はーい‼︎牡‼︎雌‼︎kiss‼︎これぞ未来の挨拶‼︎さてついに、タイガー道場開幕だ‼︎弟子一号頼むゼ‼︎」

「はーい‼︎弟子一号こと、イリヤスフィールです‼︎シショー‼︎きょうは、新たな弟子が出来ました‼︎どうぞ!」

「弟子二号こと、みんなのアイドル!八神はやてや!さあ、タイガー道場盛り上げて行くで!」
うわぁ…ついに始まってしまった。これどうしましょう…
「もう、私の手のつけられない領域だ」
「はやてちゃん…」
「ダメだ。もう、あたしの主は、暴走している」
ちょっと誰かなんとかしてよ!
「この物語のヒロインは、冬木の虎こと、この藤村大河だ!というわけで作者よろしく!」


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