わたしは救いのない夢を見た。
救っても、救っても、救っても、その人は、感謝もされずただ戦い続ける。
「化け物」
人は彼をそう呼んだ。命の恩人であるはずのその人を…
人は彼を殺そうとした。助けてもらったことすらも忘れて…
救いがない。誰の救いがない。誰の救いがないのだろう。
それでも、その人は、救おうとする。
なぜそんなになってまで…
まるでそのことしかできないロボットのよう…
その人は、嫌われても殺されそうになっても救うのをやめない。救わないことが罪であるかのよう…
「何、ただ私がそうしたいだけだ」
その人がそう言ったところで夢は終わった。
エミヤside
新人のメンバーと顔合わせをするということで、はやてとともに、教練場へと向かう。
どうやら朝の訓練をしているようで、何かが激突する音、爆発する音が響いている。
「なのは隊長、フェイト隊長、今日の朝の訓練は切り上げてや」
はやてがそう言うと、「みんな、朝の訓練は終わりだよ。お疲れ様」ということが聞こえてきた。
「なのは隊長、フェイト隊長。エミヤシロウの紹介をするから、みんな集めて」
「了解、スターズ隊、ライトニング隊集合」
集まったのは、10代から20代ほどの少年少女。
こんな若い少年少女たちが戦闘に…
なんと言うか、時空管理局という組織がどういうものなのか。知ったような気がした。
「みんな集まったようやな。せや、紹介したい人がいるんや。今後フォワード陣のフォローにまわることになった。
エミヤシロウ君や」
なんて、紹介されたので、人前に出て行く。
「今後、君たちのフォローをすることになったエミヤシロウだ。ひとまずよろしく頼む」
そう言って頭を下げる。
「嘘…」
誰かがそんな風に呟いたのが聞こえた。
呟いたのは、青っぽい色をした髪の女性。
どこかで見覚えがあった。この世界に運ばれて初めて出会った子。あぁ、彼女があの時の…
「一応、紹介は終了や。あと、なんか聞きたいことがあったら、エミヤ君に直接聞いてな」
そう言って、はやてたちは教練場から出て行く。
「エミヤさん…」
目の前には、彼女がいた。
私がこの地に来て初めて救った少女。
「えっと、覚えてないかもしれないけど、空港の火災の時に助けてもらったナカジマスバルです。助けていただいてありがとうございます」
彼女がこう言ったことに、隣にいた少女は驚いたのだろう。口があいている。
「えっ、スバルが昔助けてもらった人って…」
そう言って、彼女は私の方を見る。
疑問があるようなそんな顔だ。
「うん、たぶんエミヤさんで合ってるはず。なのはさん…そうですよね」
ここであの場にいたなのはに確認をとる。
「うん。スバルを最初に見つけたのは、エミヤさんだよ」
「ほら、やっぱり!ティアナどうしたの?」
ティアナと呼ばれた少女は、私の方を見ている。
「スバルが言っていたことが本当なら、ものすごく強いんですよね。ならば、あたしの訓練を手伝っていただけませんか?」
ティアナside
スバルの話していた男の人。
その人は、スバルに襲いかかったロストロギアを遠距離攻撃で、行動不能にしたらしい。
何度もその人の話を聞くたびにあたしは、その人に訓練を見て欲しいと思うようになった。
ロストロギアを遠距離攻撃で沈黙させる。
エースオブエースと呼ばれているなのはさんなら、簡単に出来てしまうだろう。だけど、あたしは、そんな力もなければ、才能もない。
今まで、才能がないのを努力でカバーしてきた。
それでも、まだ足りないそんな風に思っていたときだった。
はやてさんに紹介されて現れたその人は、一言で言えば武人だった。190cmほどの身長に鍛えられた身体。鷹のような目。もしかしたら彼がスバルの言っていた…
案の定そうだった。
スバルは、泣きそうな顔をしている。スバルに聞いた話では、あの空港の火災で、スバルを救ったあと行方が分からなくなっていたらしい。
なぜそんな人が数年も経って現れたのだろうか?
疑問が出てくる。まあ、それは今はいいや。
彼に会ったら、お願いしたいことがあった。
そうそれは…
「こんな私が訓練の相手でいいのかね?」
訓練を手伝ってもらうこと。
エミヤside
ひとまず、全員で飯を食べた後の午前の訓練。
そこで私は、ティアナ ランスターという少女と訓練をすることになった。はやても、「若い子は、強い相手と訓練した方がええから、許可するで」と言っていた。
ティアナは、どうやら拳銃のようなものを得物としているらしい。
私の両手には、使い慣れた剣。一応刃を潰しているので殺傷力はないだろう。
ちなみに、昨日のうちに、この世界の魔法と適性があるか調べた。調べたのだが、魔力はCと一般的なものらしい。
また、空中戦があるらしいのだが、そちらにはあまり適性がなかったようだ。
現在、私専用の喋る武器が製作されているらしい。喋る武器のことは、なのはに聞いたのだが、デバイスというらしい。まあ、デバイスというものがどういうものか知らないが喋る武器には、あまりいい縁がない。
私の中で記憶から抹消したいものの一つにあの忌々しい杖があるのが証拠だろう。
「エミヤさんの得物は剣なんですか?」
彼女は、そんなことを聞く。
「特にこれと言った得物はない。どんなものでも使えるように訓練してきたからある程度どんなものでも使えるけどな」
そう、剣あろうが槍であろうが拳銃であろうが使える。
しかし、そのどれも一流には、やはり及ばない。
一つ、一流に近いものと言えば、弓を挙げるくらいか…
「さて、君は、どのように訓練したいのか教えていただこう」
「力がないので、うまく相手を無力化させる訓練がしたいです」
どうやら、彼女は何かに劣等感を持っているようだった。
もしかすると、なのはと自分を比べているのではないだろうか。
だから、無力化させるという他の道を選んだ。いや、選ばざるをえなかったのではないだろうか。
さっきまで初対面だった少女に対して考えをめぐらしている自分に驚く。
私も、変わったものだな。
そう思いながら、両手の剣に強化をかける。
なのはside
エミヤさんとティアナの訓練を見ている。
ティアナは、うまく自分の幻影魔法を使っている。
彼女の攻撃がかみ合っている。
はたから見ると、ティアナが攻めているように見える。だけど、そうなるように仕向けているのは、エミヤさん。
彼との訓練で、何か掴むことが出来れば、ティアナはもっと強くなれる。
どうやら、ティアナにかなり熱が入ってきたところで、やめにしたようだ。
彼女は、熱が入ると自分の限界を超えてしまうことが多い、それはかつてのわたしを見ているよう。
エミヤさんは、そういうところがわかっているようだ。
この訓練で彼女は何か掴めているかな?
はやてside
どうやら、フォワード陣とも上手くやっているようやな。
最も、驚いたのは、ティアナ。
彼女は、いきなりエミヤンに訓練を頼んだ。スバルから何か話でも聞いとったんかな?
まあ、何はともあれ上手くよかった。
ティアナside
あたしは、アンカーガンで相手を撃つ。
場所は、相手の反応が鈍くなるような場所ばかり。
様子見のそれは、簡単に避けられる。
やっぱり強い。
あたしは、アンカーガンだけじゃ勝負にならないと思い、幻影魔法を使い、裏をとる。
幻影で一瞬でも、注意をそらせば…
しかし、エミヤさんは、幻影を目にも止めず、あたしに向かってくる。
「なんで?」
そんな言葉が出てしまった。
彼は、一瞬にして、間合いを詰める。
あたしは、距離を取ろうと、使い慣れた罠を使う。
初見で見破られるはずがないそう思っていた…
「君は、絡み手が得意のようだな。大抵の相手は、これに引っかかるだろう。しかし、このような絡み手を使われるのには慣れていてね」
そう言って、罠を破る。
ここまでの間に彼は、一度も剣を使っていない。全て避けられている。
あたしは、アンカーガンに力を入れる。
このままやられるわけにはいかない。自分の間合いにどうにか持ち込んでやる。
「そこまでだ」
そう言った彼を見る。あたしはまだやれると思ったのだけど、彼にそう言う気分にはなれなかった。
「少し熱が入り過ぎだ。今日は、ここまでにしておこう。
なに、明日もあるんだ。そこまで急ぐ必要はないだろう」
そう言って彼は、教練場から出て行った。
あたしとしては、まだ足りない。
もっと強くならなきゃ。そんな思いが強かった。
「フォワードのみんな、これからともに戦うことになったエミヤシロウだ。特に、前衛後衛と言うのはないから、全員と組むことになるだろうからよろしく頼む。」
「エミヤさんところで、あそこで暴れているのは、知り合いですか?」
こんな世界壊してやる!やっちゃえバーサーカー!
「…出来れば、見なかったことにしたいのだが…」
「いや、無理じゃないですか?」
「くっ、仕方が無い…少しこの場を外す」
やめろ!イリヤなにをやっているだ!
あっ!シロウ!ねえシロウ!シロウは、そこの色ボケ虎と、腹黒たぬきとお姉ちゃんどれがいい?
だーれが色ボケだ!ヒロインはわたし、藤村大河でしょーが!
たぬき?イリヤちゃん?それ誰のことや?ねえ、誰のことや?
「なんか、エミヤさん大変そうですね…あたしと会ったあのときも、そのあと行方不明になってるし…」
ちょっ、なんでさ〜!?
「なんか、聞こえませんでしたか?」
「聞かなかったことにしようよ…」
ちょっ、待て、イリヤ落ち着け!藤ねえもはやても…
次回、エミヤシロウが死んだ!この人でなし!