エミヤさんが機動六課のメンバーとして、活動を始めて数日が経った。
エミヤさんが料理が得意だと言って、作ったその料理にみんな驚いていた。
はやてさんは何か思いついたようで、エミヤさんを、食堂の厨房係にしてしまった。
他にも、エミヤさんのデバイスが出来たようだ。
いつも訓練のときに持っている剣を模して作られたみたい。
エミヤさんも嬉しそうにそれを使っていた。
エミヤさんは、ティアナさん以外にもスバルさんや僕にも、訓練してくれる。
エミヤさんが槍も使えることには、とても驚いた。だけど、彼が言うには、彼の槍の使い方では、二流だそうだ。
彼が昔戦った相手は、もっと早かったらしい。どんな人だったんだろう。エミヤさんと戦ったその人に会って見たいと思ってしまった。
数回、ともに任務に出たが、エミヤさん自身が戦うことはなく、僕たちのフォローに徹しているらしい。
エミヤさんがフォローにまわっているから、僕たちも動きやすい。
はやてside
エミヤンが入ってからのフォワード陣の動きはかなりいい。失敗しても、フォローがいるから安心なんやな。
しかし、気になることもある。
カリムが言っとった予言。
無限の剣を担いし守護者が悪を葬る。
私はそれが誰なのかなんとなくだが、検討がついていた。
エミヤside
「これまでのガジェットによる攻撃は、この男によるものだったのか」
機動六課のメンバーを集めての会議で、そいつのことを知った。
ジェイル スカリエッティ
これまでの任務で、敵として戦ってきたガジェットを作り、差し向けてきた男。
「ええ…そして、フェイトちゃんが追っている犯罪者や…」
「今日のオークションに、現れるかもしれないからみんな、注意してね」
「はい」
スカリエッティ…現在逃走中の犯罪者…
もしかすると今日仕掛けてくるかもな。そんな予感めいたものを感じた。
私は、オークション会場に潜入するということで執事服を着せられていた。
なんでさ…
「いやー似合うなエミヤン!さすが、貴族の下で執事やってただけあるなぁ」
はやてに、昔なにをしていたのかと聞かれたのに、執事をしたことがあると答えたのが運の尽きだったようだ。
守護騎士の一人であるシャマルが作っていた黒い何かはこれだったようだ。
「エミヤさん似合ってますよ」
なんて、スバルは言ってくる。
最近、スバルとはことあるごとに、組むことになる。
まぁ、彼女を見ていると、アルトリアを見ているような気になる。特に食事時など。腹ペコ王に負けないほどの食欲がある。
ともに組むティアナも、元からこうだったと諦めているようだ。
今回の私たちは、三人一組で組んでいる。
もう一つの組みには、ヴィータが入ったようだ。
なんとなく嫌な予感がする。このまま何事なければいいのだが…
ティアナside
やっぱりというか、ガジェットの襲撃にあう。
「ティアナ、そっちに二体行った。食い止めてくれ」
エミヤさんからそんな通信が入る。
周りは、みんな才能の塊。あたしだけ才能がない。だけど、努力してきた…なのはさんからいただいた新たなデバイスを手にガジェットを破壊する。
あたしだってできる。そう心に思い、現れたガジェットに攻撃を加えていく。
今日は、調子が良い…
「新たに、そっちに三体向かった。スバルもそっちに向かっている。無理せずに食い止めてくれ」
新たに現れたガジェットは、今まで見たものよりも動きが早い。
だけど、ここで食い止めないと…
「ティア!大丈夫?」
ちょうど、スバルも来たみたい。
「スバル…あれやるよ」
そう言うと、スバルは、一瞬顔をしかめて、「でも、まだあれは…」と言う。
完成していない…だけど、ここを突破されたら…
「やるしかないよ!」
そう言って、あたしは、三発ロードする。
「わかった…行くよ」そう言って、スバルは、ガジェットに攻撃を仕掛ける。
スバルに、注意を引きつけて、あたしが後ろから撃ち込む。そうすれば、確実に攻撃が決まるはずだった。
だけど、一つ外れてしまった。
外れた弾は、スバルに直撃する…
「スバル!避けて」
地響きのような音が響いた。
目に入ったのは、赤い外套…
手にある大き過ぎる剣…
「動くな」
弾は、エミヤさんのその大き過ぎる剣によって止められていた。
「スバル。ティアナ。お前たちは戻れ」
ここには、もうお前たちは必要ないとでも言うかのように。
エミヤside
ティアナとスバルを作戦本部に強制的に帰らせたところで、目の前のガジェットに目を向ける。
量が多い。一つ一つ破壊していては、時間がかかる。
手に持った剣を消し、弓を引く。
「フルンディング」
追尾性のあるその矢によって、ガジェットは破壊されていく。
「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」
それによって、ガジェットは全てただのゴミに変わった。
「さて、なぜあんな行動をした」
ティアナを呼び、話を聞く。
「君の行動により、任務に支障をきたすどころか、怪我が出るところだったのだぞ。無理をするなという言葉が聞こえなかったのか?」
私が話をする前に、ヴィータやシグナムたちにこってり絞られたのだろう。すでに泣きそうになっている。
「なのはがフォワード陣を集めて話をするそうだ。それが終わってから君の考えを聞くことにしよう」
そう言うと、ティアナは、部屋から出て行く。
「スバル…君もだ。早く行った方が良いのでは?」
「エミヤさんは、ティアのこと叱らないんですね…」
彼女は、そう言った。
私が叱らなかった。いや、叱る前にヴィータたちが叱ったようだったので、叱る必要がなかった。
それにあのような無茶は、私自身が最もやってきた。
「まぁ、私自身もあのような無茶をした経験があるのでね…叱るに叱れないんだよ」
「そうですか。ティアのことよろしくお願いします」
そう言って彼女も出て言った。
「エミヤン…エミヤンのやった無茶って…」
はやては、私が言ったそのことが気になったらしい。
「何、昔のことだ。誰かを助けようとして、使えもしない剣をとって、戦ったそんなことばかりだよ。
まぁ、それで何度も死にかけたけど、私自身がそうしたかったからそうしただけ…それ以上でも、それ以下でもない」
彼は、自嘲気味にそう言った。
ティアナside
なのはさんが昔無茶をして、生死の境を彷徨ったということを知った。
なのはさんの訓練は、そうならないようにするためにあった。無茶をして、あたしは、友達に怪我を負わせるところだったんだ…
なのはさんの話を聞いたあと、エミヤさんの下に向かった。
エミヤさんは、ある話をしてくれた。
ある男が、みんなを救う力をつけたいと無茶をして、死にかけて、それでも、戦い続けて、最終的には、なんのために力をつけたかったのかを忘れてしまう。そんな話だった。
「その男は、才能がなくてね。それでも、無茶し続けた。その男に比べると君は、才能がある。才能が無いなんて決めつけるべきではない」と…
彼は、まるで兄のように優しかった。