それでも、進むと言うならば、こころして臨め。
というわけで、オリジナルの設定が入ります。
「ふむ、どうやら上手くいったようだな。まあ、ヴィヴィオの強引さには、少し驚いたがな」
「そうだね。あんなに積極的にアインちゃんに話しかけるなんて思ってなかったから驚きだよ!本当の姉妹みたいに仲が良いんだよ」
ニコニコという擬音が聞こえてきそうな笑顔を浮かべるなのは。どうやらアインハルトとは仲良くしているようだ。
その隣で、私は苦笑いを浮かべる。
(聖王のクローンと聖王の記憶を持つ者が姉妹か………)
普通であれば、出逢うことのなかった二人が巡り会う。
それは、やはり運命というのだろう。
「エミヤのお兄さんも、混ざってよ!」
笑顔を浮かべ、私を呼ぶヴィヴィオ。その姿は記憶にある彼女に似ていた。クラウスに対して浮かべた笑顔に………
「お姫様の御要望だ。行ってくるとしよう。なのは、君も久しぶりの休暇なんだ。身体を休めたらどうだ?」
「そうだね、お言葉に甘えて休ませてもらうね」
そう言って、なのはは自室へ戻っていく。
ここ最近は、緊迫した状況が続いていただけに疲れたはずだ。
いま現在、なのはは休暇扱いとなっている。
はやてが言うには、「なのはちゃんは、いま色々と環境が変わって大変やろ」とのことだ。
一部隊の隊長を務めるだけのことはある。
ついでとばかりに「エミヤンも休まなあかんで、人間離れしとるのか、というほど働いてるやろ」と小言をもらってしまった。
受肉しているとはいえ、私はすでに人間とは言えないのだが………まあ、この際気にするべきではないな。
「エミヤのお兄さん!早く来てよ!」
少し怒ったような、そんなヴィヴィオの声が響いた。
「ユーノ君、忙しいところ悪いんやけど、古代ベルカについての資料お願いできる?」
嫌な予感して、そうユーノ君に頼んだのは、アインハルトちゃんの歓迎会をした夜。
数日経ったいま、わたしの目の前には、大量の資料があった。まさに山。表現するとしたら、それしかないやろとでも、言うように山。
「大変そうやな。これ」
他人事のように呟いたが、やはりこれに目を通さなければならないのはわたしだ。
「やるしかあらへんよな」
そう呟いて気合を入れる。そうやらなければならない。やらなければ、スカリエッティを止めるすべがわからなくなる。
この資料の中に何かヒントがあるかもしれない。
数時間の文字との格闘の末、ある情報を導くことができた。
最も最悪と言える形で。
「やっぱりか。本当はこの予測は外れて欲しかったやけどな。それにおまけ付き………何が目的なんや」
スカリエッティがヴィヴィオを追っていた理由にようやく辿り着けたかもしれん。だけど、その限りなく正解に近いであろう予測に辿り着いたことで、さらにヴィヴィオを奴に渡してはならないということが分かった。
それでも、最初から彼女を奴に渡すつもりはない。
「あんまり、わたしたちの部隊をなめんやないで」
「今回、会議を開いたのは、スカリエッティが関連していると思われる一連の事件についてや。まあ、今までの事の顛末については、みんな知っとると思うから省くで」
緊急会議として集まっているのは、各部隊長、副隊長とエミヤ。
なんでもはやてがある情報を見つけたから皆と共有しておくべきだということで、開かれていた。
「さっそく本題に入るで、本題というのはスカリエッティの目的についてや」
重々しくそう呟く。
「あくまで、推測の域でしかないけど、あり得る可能性としての話なんやけどね。
スカリエッティは、古代ベルカの戦乱を終わらせたと言われているある兵器を探していると思われる」
「ある兵器というのは、聖王のゆりかごと呼ばれていたもの。聖王家の者しか扱えないそういうシロモノなんや。
そして、ここでやっとヴィヴィオを追っていた理由が明らかになった。たぶん、ヴィヴィオにこれを使わせて何かをしでかすつもりなんやと思う」
それは、はやての中ではほとんど確信に近いもの。
なにをしでかすつもりかはわからないが、ヴィヴィオを追っていた理由と一致したのだ。
そして、この場にいる全員がヴィヴィオが特殊な出自にあることを知っている。
「……やはりか」
この場にいる唯一の男はそう言った。
それも、重苦しい、苦虫を噛んだような、そんな悲痛な顔で………
「エミヤンは、この予測をしていたんか?」
「ああ、古代ベルカについて調べる機会があったから調べていた中に、ある家系の者しか使えない特殊な兵器があると知ってな。今回の事態に陥ってその可能性が高いであろう、そう思っていた」
最後に、「出来れば、最も避けたい予測ではあったがな」と呟く。
「エミヤンが、アインハルトちゃんをここに連れてきたのは、古代ベルカのものが関わる可能性があったからやろ」
「ああ、それに、今回のことに彼女も関わっているからな」
そう言って、連絡をする。
「なんや、エミヤン。まだなんかあるんか?」
連絡をするエミヤを不思議そうに見る。
「申し訳ないがこの場を借りて、ある話をしようと思う。
今回の事件に大きく関わることなんだ。こころして聞いて欲しい」
エミヤが言い切ったところで会議室のドアが開く。
その場にいたのは、先ほど話題に挙がっていたアインハルト。
「おい、エミヤ。彼女はお前が呼んだのか?」
不機嫌そうなその声にエミヤは肯定を示す。
そして、彼女の隣に立つ。
「これから話すことは出来るだけ他言しないで欲しい。
今後の彼女の人生に関わることだからだ」
そこで言葉を切る。
生まれるのは静寂。
これから話される事へ対する恐怖かあるいは好奇心か
「彼女は、覇王と血筋であることは、皆知っていると思う。だが、もうひとつ隠していたことがある。
彼女は、聖王家の血筋もひいているということだ」
それは、歴史をも改変させる事実だった。