弓兵さんお疲れ様です。
予想通り、奴はきた。
いや、分かり切っていた。あいつなら、過去の私ならば、相手が誰であろうと救おうとする。
誰か、赤の他人でさえ、過去の私は救おうとする。
あぁ、やはり奴はダメだ。私と同じ道を進もうとしている。それは、破滅の道。
仮初めの理想を抱いた男の行く末を知っているが故の否定。
奴自身に自分はない。
なぜあいつがこんなにも気に食わないのか。
なぜあいつは、俺の理想を否定し続けるのか。
何処かで分かっていたはずだった。
あいつは、俺自身だって…
それでも、俺は、じいさんの…衛宮切嗣の理想を受け継ぎたかった。受け継ぐことそれが、俺の存在証明だと思っていた。
それを、あいつは否定した。
その理想は、他人から与えられた偽物だ、と…
あぁ、それでも、憧れてしまったんだ…
ならば、俺は、理想を受け継ぐ。俺を救ってくれたあの人の理想を…
あいつと対峙し、剣を交わす。
あいつは、私の言葉を否定する。
それは、そうだろう。肯定すれば、自分の理想を諦めることになる。
それでも、私は続ける。その理想は、間違っている、と…
嫌でも、あいつの記憶が流れ込む。
それは、あいつの辿った道…
それは、これから、俺が歩むことになるであろう道…
それは、目を背けたくなる現実…
あいつは、そんな現実と戦い続けた…
そして、最期に裏切られた。
あいつの剣が、あいつの言葉が突き刺さる。
それは、重い。
あいつの身体は剣で出来ている
それでも、俺は、憧れを持ち続ける…
お前も、その理想に憧れたのだろう?
奴の言葉に驚く。
あぁ、切嗣の理想に憧れた…
あのとき、救ってくれた人の笑顔に憧れた…
それでも、その理想を諦め、後悔した。
あぁ、そうか。
やはり、私も奴と同様に諦めが悪かったようだ。
今になって、今だ未練がある。
まだ、私は、俺は、あの理想を諦めることが出来ていない。
後悔が残った…殺した人間の想いが残った…
それでも、まだ諦めることが出来ていなかった…
今頃になって気付いた。
私は、後悔はしても、あの理想を諦めることが出来ない。
私が、俺であったとき、あのとき、憧れたあの理想、あの笑顔を忘れられない。
私の手は止まる。
あぁ、私の負けだ。
だが、大切なものに気づくことができた。
その後のことは、あまり覚えていない。
英雄王の攻撃から、衛宮士郎をかばい、その後は、気がつくと、衛宮と英雄王の戦いの場にいた。
英雄王は、最期まで抵抗するつもりのようだ。
ならば、力を貸そう。衛宮士郎…
右によけろ
そう言って、投影した弓を放つ。
もうすでに、私が現界出来る限界のようだ。
あとは、凛の様子を見に行くか…
凛は、慎二を助けることに苦戦していたようだ。
ならば、私が道を作ろう。
サーヴァントとしての私の出来る最後の仕事だ。
慎二を助けるのに、苦戦していると、アーチャーの声の後、弓が降る。
さすがね。やっぱり、アーチャー。そんなことを思いながら、脱出する。
そこで、直感のようなものを感じる。
まだアーチャーは、近くにいる。
実際アーチャーは、丘の上にいた。
丘はまるで、彼の記憶の中にあったあの丘のよう。
しかし、そこには、剣は、刺さっていない。
「アーチャー!」
どうやら、凛が来たようだ。
あぁ、まず、あのいけすかないあの男のことを頼もう。
彼女がそばにいてくれるのならば、あいつは、私にはならない。
なんとなく、だが、確信をもってそう言えた…
あぁ、そして、最期に…
「あぁ、答えは得た。大丈夫だよ遠坂。俺も、これから頑張っていくから」
そう、私は、答えを得た。
抱き続けたあの理想は、間違いじゃない。
少なくとも、抱き続けたあの時間は無駄にはならない。
そして、仮に間違っていたとしても、それでも、誰かを救えた…
殺した人間も多い。それでも、救えた…
そのことは、私にとっての救いだ。
そこで、私は、あの場所へと帰る。
また何処かに召喚されるまで…
あれから、どのくらい経っただろうか
私の理想は、間違いじゃないと知ってから…
いつの間にか、召喚されていた。
頭に情報が流れ込む。
月の聖杯戦争…だと…
どうやら、またわけのわからないものに召喚されてしまったらしい。
さて、この戦いはどうなるのだろうか?
アーチャーさんお疲れ様です。
「あぁ、お疲れ様。しかし、私の独白のようなものでいいのかね?」
まぁ、いいんじゃないですかね?
それよりも、アーチャーさんまた何処かに行くんですね?
「あぁ、今度は、月のようだ」
はぁ、また随分なところに飛ばされましたね。
「まぁ、仕方がない。凛にも、頑張ると言ってしまったし、頑張るしかない。それよりも、私の去った後の冬木が心配なんだが…特に虎が…」
な、なんとかなりますよ。多分…そ、それに、いつか何処かの喫茶店で、シェフとして、働けばうまい飯で、虎を黙らせられますし…
「ふむ、喫茶店のシェフか…面白そうだな。いつかやってみたいものだ」
そうですね。
さて、虎の襲撃が来る前に締めたいと思います。
これからもどうぞよろしく。
「タイガー道場始まるよ!って、締めないでよ!私何も出来てないじゃん。ギブミー出番!」
「し、師匠…え、えっと、これからもどうぞよろしくお願いします!」
ギブミー出番んんんん!