弓兵の英雄譚   作:菊水餡子

8 / 35
さて、fateEXTRACCCも一応の終了となります。
できれば、白野と衛宮のその後の話も書いていきたいと思います。


理想を受け継ぐ者

 

聖杯戦争が終結した。そう思った矢先に、こんなことになるとは、やはり、あの聖杯には、呪いがある。

と言うよりも、聖杯というものそのものが呪われている。

 

そして、考える。事態は、かなり深刻だ。

マスター、岸波白野は、あの聖杯戦争の記憶が欠落している。これは、かなりの痛手だ…そして、私自身の弱体化…

これは、この地に来たとき、強制的に着せられていた。

あの服が問題だったようだ。

一度だけ、サーヴァントのステータスを最低レベルまで落とす。

なんとも凝った嫌がらせだ。まぁ、それについては、気にしなくても良いだろう…

もとより、この身は、並外れた経験により、鍛えられたもの。鍛えることについては、特に物申すつもりはない。

 

 

さて、私自身の記憶も、少し、曖昧な点がある。

だから、あの聖杯戦争の行く末を教えるのは、やめておこう。

 

 

 

私のサーヴァント?であるアーチャーは、私が記憶のないことを残念そうにしていた。

 

そう、何もわからない。彼が何なのか?

彼の真名が、彼の目指したものが、彼の理想が………

それでも、彼なら………彼となら………

 

そんな希望を持つ。希望に縋る。

 

 

 

私と白野は、サクラ迷宮を探索する。

どんどん奥へ。奥へと進む。

赤いランサーとともにいる凛やラニを元に戻しながら

BBの邪魔をかわしながら…

 

あるとき、疑問が湧いてしまった。

なぜ、BBは白野に興味を示すのか。

もしかすると、この時点で核心に迫っていたのかもしれない。

彼女自身は何のために存在し、行動し続けているのか。

 

 

 

 

 

アーチャーと私は、進み続けた。

戦っていくたびに、記憶の断片を思い出す。

アーチャーとともに聖杯戦争を駆け抜けたこと。

悲しい別れが幾つもあったこと。

それでも、戦い続けたこと。

だけど、肝心のアーチャーの過去を、真名を思い出せない。

それでも、戦い続けた。

だけど、私たちに、強大な壁が立ち塞がり、負けた。

 

 

 

 

 

 

気がつくと、そこは、何もない場所。

ただ何もない。呼吸が苦しい。動けない。

ここから、逃げたい。

ふっと、声が聞こえる。

あなたは、負けました。もう終わりです。諦めて下さい…

 

そう、それは、絶望の淵…

もう諦めるしかない…

 

 

そう、頭に思っても、身体を動かす。

なぜ?自分でもわからない。それでも、動かさないといけない気がした。あの男なら、諦めない。そう思ってしまった。

 

 

私を親友と呼んでくれた彼が、私を庇ってくれた。

そして、思い出す。

 

 

あの正義の味方に憧れ、絶望し、後悔し、それでも、諦めなかった男を…

その男は、あらゆる局面でも、全てを救おうとし続けた。

化け物と嫌われても、救い続けた。

理想に後悔し、自らを殺そうとした。それでも、あの笑顔に憧れたんだと自らの理想をまた、抱いた。

その男の名は、

その正義の味方の名は、

 

「エミヤ!」

 

 

「呼ぶのが遅いぞ。白野…」

そう皮肉げに言う。

皮肉屋で、優しく、オカンみたいで、そんな私の自慢のサーヴァント。

 

「遅くてごめんね。エミヤ」

「まぁ、いい。記憶が戻ったのならな。それよりも」

 

 

口に出されずとも、言いたい事が分かる。

うん、記憶が共有したのなら、あれも使える。

この場所から抜け出し、最奥部を目指すのに、必要になるだろう。

 

さぁ、早くこの迷宮を抜け出そう。

 

 

白野に記憶が戻った…

それにより、今まで使えなかった私の秘密兵器も使える。

 

 

 

私たちは、歩みを進める。

そして、私は、気がつく。

なぜBBがこれほどまでに、白野に執着するのか…

まるで、何かから白野を護ろうとするかのような振る舞い。

 

そこで、もしかしたらの可能性が生まれる。

何らかのことにより聖杯は、壊れているのでは?

 

彼女は、参加者の保護をするAI だったはず。

この行動自体が白野というプレイヤーを護ろうとする保護システムなのでは?

だが、そんなのは、杞憂だろう。それは、確証を得ない。

そう私は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは、杞憂ではなかった。

あぁそうなってしまったか。

ならば、私は彼女たちを守るために戦おう。

一人のマスターと、マスターを守ろうとした少女を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BBが私を守ろうとして、行動していた…

私は、その事実を知ってしまった

それでも、私は、進まないと…

多くの人に助けてもらった。

次は、私が救う番だ。

 

 

 

白野は、進むことを決めた。ならば、それを支えるのがサーヴァントである私の役目。この身は、マスターとともにある。私は、マスターの剣であり、マスターの盾となろう。

それが私の今の存在価値となり得るから。

 

 

 

幾つもの戦いを抜け、私たちは、聖杯に辿り着く。

 

 

全ての始まりであり、全ての終わりとなるもの。

聖杯は、願望器…願望を叶えるもの。

 

私には、願望はない。いや、あるには、あるがそれは自ら叶えるもの。

あぁ、でもひとつだけ願いたいものがある。いつかどこかでまた、隣にいる心優しきマスターとまた出会わせてくれ。

 

 

私には、願いがなかった。だけど、この戦争で多くのものに出会った。

味方になってくれた人がいた。

最期まで敵として、戦い続けた人がいた。

私を救おうと頑張ってくれた人がいた。

ならば、私の願いはひとつ。

またあの心優しき人たちに会わせて…

そう願うと、聖杯は、輝き消える。

 

 

 

思ったとおり、彼女は、あの願いを願った。

さて、私の役目は、終わった。

あとは、彼女一人で大丈夫だろう。

「エミヤさん!」

彼女は、私の真名を呼ぶ。

「今までありがとう!私は、あなたの理想に憧れた。

私は、あなたのようにはなれない。

だけど、私は、私の周りの人を笑顔にできる正義の味方 になりたい。

あなたの理想は、違う形になってしまうけど、私が受け継ぐから!」

 

あぁ、そうか。

自分の理想を受け継いでくれる人がいることがこんなにも嬉しいとは…

 

自然と口に出た言葉は、かつてあの人が言った言葉…

 

 

「そうか。あぁ、 安心した」

 

 

その言葉を最後に私の意識は、消えた。

 

 

 

あれから、私は戻った…

月にではなく、地球に…

 

私は今世界をまわっている。

あの戦争でともに戦った多くの友に会うために…

 

 

凛やラニ、レオやユリウス…

多くの人に会った…

あぁ、良かった。多くの人の笑顔を護ることが出来た。

彼の理想を継ぐことが出来た。

 

丁度、紛争が起こっている地域…私は、そこを通っている。

 

 

 

「そこの君、早く逃げた方がいいぞ」

 

男がいた。銀髪に紅い外套をまとった男。それは、私とあの戦争を駆け抜けたあの人。

 

いつも、隣にいて、私を助けてくれた人。

 

「エミヤさん…」

料理や掃除が大好きで…

皮肉屋だけど、お母さんみたいに優しい。

「エミヤさん…」

「ど、どうしたのかい…それよりも、なぜ私の名前を…」

 

「私は、あなたの理想を受け継ぐ者です。

あなたは、私を救ってくれた」

 

 

良かった…

 

あなたと出会えた…

答えを得たあなたではなかったけど、あなたに会えた。

 

あぁ、これからあなたは、あの道を行く…

そして、理想に絶望してしまう。

 

 

ならば、私があなたとともに行く。

あなたの理想を受け継いだ私があなたを笑顔にします。

 

 

 




「何で私の名前を知っているんだい」
「私は、聖杯戦争に参加していました。そこで、サーヴァントにあなたを召喚したんです。あなたは、私を救ってくれたんです」
「聖杯戦争…そこの私は、君を救えたのか…そうか、良かった…」
「はい…そして、あなたは私のことを知らないかもしれないけど、私はあなたを知っている。あなたに会えて良かった…」
「あ、あぁ、それは良かった」


えーと、なんか桃色の空気が流れ始めているので、退散しましょう…
あぁ、多分彼は、自分の理想に磨耗することはないでしょう。
だって、彼には、彼女がいるから…
さて、よくわからんうちにフラグをたてた衛宮…
爆ぜろ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。