心の聞こえない被告人 ――ラテラーノ司法記録   作:釜石

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第12話:折れ曲がった直線

事情聴取の後、一行は第五庁の弾道鑑定室へ移った。

中央の机には、事件直後に作られた鐘楼の単純な模型と、追加調査を反映した新たな模型が並べられていた。

最初の模型では、アウレリアの発見位置とマティアスの胸部が一本の直線で結ばれていた。所有銃が発射され、本人の手から残渣が検出され、遺体のすぐそばで彼女がその銃を持っていた。その状況だけを見れば、最も単純で疑いようのない線だった。

しかし新しい模型には、制御柱と金属製譜面台、そしてテオとマティアスのおおよその位置が加えられている。ただし、細かな射線はまだ描かれていなかった。

 

「完全な再現はできません」

弾道鑑定官が最初に告げた。「事件後、譜面台は床へ倒れ、救助活動の過程でも僅かに動いています。発砲時の正確な角度や、弾丸が金属へ当たった瞬間の向きを確定することは不可能です。しかし、確かな物証はあります」

「何が分かったのですか」ベアトリーチェが尋ねる。

「マティアス・ロッシーニの体内から回収された弾丸は、人体へ入る前に硬い金属へ衝突しています。現場の損傷から見て、譜面台に当たった跳弾である可能性が最も高い。もしテオの供述通り、マティアス本人が銃を制御柱へ向けて構えていたとすれば、弾丸が譜面台に当たって自分の胸部に逸れる軌道は物理的に十分に成立します」

 

鑑定官はさらに、銃把とマティアスの携行品の写真を示した。

「マティアスの右袖から採取された繊維は、アウレリアの銃の吊環に使用されている繊維と完全に一致しました。また、銃身上部からは彼自身の微量血痕も検出されています。これは彼が銃を持っていたことを強く支持する物証です」

「銃把の拭き取り痕については?」

「彼の携行品の麻布から、銃把に残っていたものと同種の粉塵と油が検出されました。彼がこの布で自分の手と銃把を拭ったことは間違いありません。証拠隠滅の偽装か、守護銃を使用するためだったのかは物証だけでは断定できませんが、テオの供述と合わせれば、後者の可能性が極めて高いと言えます」

 

「当初、アウレリアの右手から検出された発射残渣はどう説明しますか」

リヴィオが尋ねると、鑑定官は首を振った。

「量は境界域でした。発射時に銃を強く握っていた者に付着する典型的な量とは言い切れません。意識を取り戻した彼女が、発射済みの自分の銃を拾い上げただけでも付着し得る量です」

 

初期報告の「右手から発射残渣が検出された」という一行が、彼女を殺人者に見せていた。だが最初から、それは彼女が発射者であることを断定するほどの量ではなかったのだ。

 

「正義促進官」

リヴィオはベアトリーチェを見た。「殺人の嫌疑を維持しますか」

 

鑑定室の中が静まった。

アウレリアは発砲前に倒れていたというテオの供述。マティアスが彼女の銃を拾い、使用するために布で拭った痕跡。跳弾を示す弾体の変形と譜面台の損傷。

すべてが同じ方向を示し始めている。アウレリアがマティアスへ銃を向けて発砲したという最初の仮説は、もはや維持できないものになっていた。

 

ベアトリーチェは、二つの模型を見比べた。最初の直線と、詳細が加わり複雑になった新しい模型。

「現時点で、アウレリア・セラフィーニがマティアス・ロッシーニへ発砲したと主張するに足る証拠はありません」彼女ははっきりと宣言した。「正義促進官室は、殺人嫌疑を理由とする拘束継続を求めません」

 

リヴィオは、自分でも気づかないうちに止めていた息を深く吐き出した。

「では、アウレリアは釈放されるのですね」

「最終的には第一庁の判断ですが、正義促進官室は証拠隠滅や逃走のおそれを理由とする拘束も求めません。第六庁から隔離を必要とする所見も出ていませんので、釈放に反対しません」

 

ベアトリーチェは、最初の模型へ手を伸ばした。アウレリアの発見位置からマティアスの胸へ引かれていた細い金属線を、固定具からゆっくりと外していく。線は机の上へ落ちた。軽い音だった。数日間、アウレリアを殺人者として扱わせていた線にしては、あまりにも軽かった。

ベアトリーチェはそれを捨てず、模型の脇へ丁寧に置いた。

 

「新しい射線は作らないのですか」リヴィオが尋ねる。

「作れるほど分かっていません。ですが、殺人ではなかったことを判断するために、事故の一秒ごとを完璧に再現する必要はありません」ベアトリーチェは報告書を閉じた。「彼女が撃ったと立証できないなら、撃った者として拘束し続けることはできない。それだけです」

「テオ・ヴィアンキの発砲については?」

「装置を止めるための緊急行為であった可能性が高いでしょう。ただし、発砲後に救護要請をせず現場から離れたこと、文書を持ち出したことは別に検討します」

「一つの行為から、他の行為まですべてを決めつけない。あなたに何度も聞かされましたからね」

ベアトリーチェはそう答え、机上の麻布の写真を見た。最初は偽装工作の道具に見えたものが、今は装置を止めようとした者の必死の動作へと意味を変えている。

 

「セラフィーニ技師へ知らせます」リヴィオが言った。

「私からも説明します」ベアトリーチェは自分の資料をまとめた。「彼女の拘束を求めたのは正義促進官室です。判断を変えた理由も、同じ口から説明するべきでしょう」

 

鑑定室を出ると、昼の鐘が鳴り始めていた。

最初の音が中庭の石壁へ反射し、細い窓硝子を震わせる。続く鐘は正しい間隔で鳴り、遅れも濁りもなかった。

それでも、今日の鐘が正しく鳴ったからといって数日前の誤りが消えるわけではない。アウレリアは共感を失ったままであり、マティアスは死に、テオの供述は記録へ変わった。ルカ・ヴィアンキの名も、現在の台帳ではなお国外追放された堕天者として残されている。

 

ただ、大きな順番だけは取り戻されつつあった。

装置が異常を起こした。アウレリアが倒れた。マティアスが彼女の銃を拾った。テオが制御柱を撃った。その直後、マティアスも発砲し、跳弾が彼自身に当たった。

順番を正しく並べても死者は戻らない。それでも、誰を殺人者と呼ぶかは変わる。誰の行為を救助と呼び、誰の判断を過失と呼ぶかも変わる。

 

事故と発砲の間には、一・八秒しかなかった。

その短い時間を記録から落とすためには一行あれば足りたが、それを取り戻すためには三十二年という歳月と、一人の死と、二人の若者に対する疑惑が必要になった。

 

七つ目の鐘の余韻が消える。

廊下の窓から見える石の天使は、笑っても悲しんでもいない。ただ水瓶を傾け、同じ場所へ水を流し続けている。人間がすべてを見ていなくても、水は落ちる。記録に空白があっても、起きたことそのものが変わるわけではない。

ただ、見えなかった部分へ何を置くかだけは、人間が選んでいた。

 

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TIPS 01 再現できない事実

捜査では、事件のすべてを完全に再現できるとは限らない。物品が発見前に動かされていた場合、現場が損傷していた場合などには、動作や位置を一つに確定できない部分が残る。

その場合、捜査機関は証拠が示す範囲と推測にとどまる範囲を区別しなければならない。ある仮説を立証できないことは、別の仮説が完全に証明されたことを意味しない。

しかし、人を犯罪者として拘束し訴追するためには、十分な証拠が必要となる。事件の全容が分からなくても、特定の人物を犯人とする根拠が失われることはある。

空白は、罪を置くための場所ではない。

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