主人公ガチ恋勢、悪役転生する〜TSしてでも勇者と結婚したいからバグを悪用しよう。メインヒロインなんかに渡すもんか! 作:丸尾裕作
魔王の間に報告に参りました。
魔王様は魔王城のいずれ私が座ることになるであろう玉座に座っておられます。
「勇者を始末したか?」
魔王様は私にありがたい言葉をくださいました。
「お望み通りのことをなされたかと」
「なれば、褒美をやろう、ワインじゃ」
「ふっふっふ、私は味にはうるさいですよ」
「白ワインじゃ」
「ふざけるなあああああああああああああああああああああ!」
私はワイングラスを下にたたきつける。
残念ながら広がるのは地面と同じ色の液体だ。
まったく赤く染まらないのもむかつく。
「おぬしはめんどうのぉ、報告をせい」
魔王様が不愉快そうな目つきをなされた。
いかんいかん、私としたことが、つい、かっとなってしまった。
「なんじゃと?」
魔王様の性別は女性であり、体型は子供のように幼い。人間だと10代に勘違いされることでしょう。
「殺すよりももっと面白いことをしておきました」
「結局、お主は何をしたのじゃ?」
魔王様が体を乗り出してきた。
「まぁまぁそう焦らず」
そんなに面白いことではない。
「むやみやたらに殺すことは敵を増やすだけだと判断いたしました」
「ほぅほぅ、間違ったことは言ってないのぅ」
魔王様は理解が早いので助かる。
「では、古来より人間が破滅する理由とはなんでしょうか?」
「なんじゃ? 分からんのぅ」
これは子供には難しい質問だったかな?
「痴情のもつれにございます」
「ほぅー」
「というわけで、女の子にしておきました」
「そうはならんじゃろ! 普通」
魔王様が突然、怒った。
そんなにおかしいことですかね?
説明を補足しておこう。
「私の独自調査によると、ボロボドスを中心にハーレムが出来上がっています。恋愛関係とは持ちつ持たれつであり、すぐに喧嘩の原因となります」
「変なことを調べたな」
「我が信者の中に、ラブコメこそが情熱的で真っ赤な赤い糸に結びついているのがなかなかくっつかない過程がもどかしいと言っていて、それはいいですねぇと言ったから詳しくなってしまいました。私はラブコメなるものは詳しくなんてありませんね」
「ラブコメ? お主が何を言っておるのか分からん」
「もっとも、妻との真っ赤な赤い血で結びつかれている私としてはね、赤い糸ではなく、赤い血であるべきなのですよ」
「お主のいってることがもっと分からなくなった、人の考えはそれぞれじゃ、好きにするといい」
私は妻との思い出を思い出す。
「私を殺して」
私の愛する妻の言葉に従って妻を殺した結果、私は誠に甘美な世界に導かれた。
世界で美しいのは血の色の赤だ。
「どうしたのじゃ? ローズグラン」
「さて、まとめましょうか。今はボロボドスを中心になかなかのチームワークがあります。しかしですよ、ボロボドスの大好きな勇者を女の子にするだけであら不思議、このチームワークに不和が起こってくれるんです」
「お前は嫌なやつだな」
「これは私の部下の案ですが、とても魅力的だと思い、実行しました」
「魔物が平和に暮らす世界、それを作るためなら妾はなんだってやるつもりじゃ」
「可愛い女の子みたいなことを言いますね、それこそ聖女様みたいですね」
「妾は魔王じゃぞ」
「そうか、妾だけじゃなかったのか。して、ボロボドスとやらはどういうやつじゃ?
使えそうか?」
「聞いていた話と違いますがね、使えますよ」
「報告ご苦労様、下がってよし」
私は頭を下げて、魔王の間から立ち去った。
※
私の魔王となる日に向けて、輝かしい赤い日に向けて、今日も励むとしましょうか。
学校はすでに我が信徒を送り込みましたし、万事順調です。
待っていなさい、赤目のボロボドスくん。
美しき赤を持つ秘めたらカリスマ性。
それに、いずれ世界最強となるその素質。
勇者よりも面白いあなたを必ず手に入れますよ。
あなたこそが未来を作るんですよ、自分を過小評価してる赤目のボロボドスくん。
勇者を女に変えて見て大正解ですね。
さて、ブラッディハピネス教の教徒に連絡するとしますか。
とりあえずは、ザルカウスにね。
他ならぬ、あなたの父親にね。