主人公ガチ恋勢、悪役転生する〜TSしてでも勇者と結婚したいからバグを悪用しよう。メインヒロインなんかに渡すもんか!   作:丸尾裕作

20 / 22
第20話  主人公ガチ恋勢、学校だとぼっちです

 俺はぼっちです。

 厳密に違うけど、限りなくぼっちに近い。

 

 どうも、ボロボドスです。

 

 前世と変わらず、私は相変わらずぼっちです。

 

 理由は簡単だ。

 

 アッシュがモテすぎる。

 

 アッシュ親衛隊なるものができている。

 おかげで彼、いや、彼女とそう簡単には会えない。

 まぁ、俺はアッシュ親衛隊番号1番だけどな。

 

「ボロボドス様ー!」

 

「ボロボドス!」

 

「クッキーですよー、ボロボドスさん」

 

 メインヒロイン3人だけはなぜか付いてくる。

 

 本当のボッチではない。

 ここはありがたい。

 本当に好きなのはアッシュだということを俺はちゃんと知っているけどな。

 

 アッシュのことを聞くと、すごい目つきをする。

 なんだろう、殺気を感じる。

 やっぱり自分の好きな人をあんなふうに変えたローズグランのことでも思い出したのだろうか。

 悪いのは、俺なのになんか悪いことをしたなぁ。

 我ながらあのミスが

 

 「ボロボドスー!」

 

 アッシュの声が聞こえた。

 

「いや、あのちょっと、きゃあーーーー!」

 

 と思ったら、群衆にあっというまに飲まれて去っていく。

 

 ということで、私は友達が増えることはありません。

 

 悪評も消えません。

 

 ヒロイン3人も集まってくる。

「私もなんかお友達できなくて」

 

「私は別に友達興味なんてないけどね」

 

「なぜでしょう? 私、そこまで人付き合い苦手じゃないんですけど」

 

 「何をしたの? 身に覚えある?」

 

 『全然』

 

 どうやら残念美少女たちみたいです、原作でもそうだったけど。

 

 うん、もう、俺関係ないよねっ!

 

 原作と違って人間関係だけコントロールができない。

 

 クラスの人の名前が覚えれない

 学校に馴染めない。

 

 殴り姫、闇エルフ、魔女の3人のあだ名は俺の耳に入ってくるのは知ってる。

 

 やっぱりあの3人は何かしたのか?

 

 ※

 

 学園とはどのような場所か?

 

 自分と同年代の若い男の子や女の子がたくさんいる場所だ。

 

 さて、人間と長年関わらなかった俺がそこに急に飛び込むとどうなるか?

 

 固まります。

 

 そもそも人との何を喋ればいいかわからない。学校をどう過ごせばいいかもわからない。

 

 人間との関わり方すら忘れたのだ。

 知らない人と喋るのがめちゃくちゃ久しぶりすぎて、もはや言葉の通じない宇宙人と喋っているようにすら感じる。

 

 目の前を人が通りがかるだけで、ふと前世のトラウマが蘇る。

 1人で飲んだ苦すぎる缶コーヒー。

 本当職場で誰と喋った記憶の方が少ない。

 

 喋ることが不要なせいもあり、次第に口周りの筋肉も退化している。

 

「お、お、お」

 

 おはようのお、すらも出てこない。

 学園に入ってから数日経ったのにこの有り様だ。

 

「ひうっ! な、な、なんでしょうか!」

 

 現在進行形でモブキャラ相手には何を喋りさえすればいいか分からなかった。

 

 目の前のモブキャラは俺にビクビクしている。

 

「ご、ご、ごめんなさーい」

 

 涙を浮かべて、逃げ去ってしまった。

 また悪評が一つ増えてしまうのか。

 

 メインキャラ相手は相手のことを詳しくすぎるぐらいまで知っているからなんとかなった。

 

 でもそれ以外はダメだ。

 

 改めて思う。

 ゲーム知識がないと俺は無力だ。

 

「はぁー」

 

 誰とも会いたくないので、学校の壁を抜けていって、教室に向かう。

 

「ばぁー!」

 

「うわっ!」

 

 壁を抜けた先でミラ姫が驚かしにきた。

 楽しそうにくすくすと口を押さえて笑っている。

 

「ボロボドス様、もうひどいです! どうして先に行っちゃうんですか?」

 

「どうして俺がここにいるって分かったの?」

 

 ミラ姫はウィンクをして、グーパンチを見せつけてきた。

 

「壁を殴って追いかけてみたからです」

 

 しゅっしゅっと音を鳴らして、シャドーボクシングをして見せつけてくる。

 

「う、う、うそだろ」

 

 俺が驚くや否や、ミラ姫がひまわりの種をほおに溜め込んだハムスターみたいに頬をパンパンに膨らませてきた。

 

「もうー、なんで私ならやると思ってるんですか! 壁を見てください、綺麗ですよ」

 

 壁を見返してみる。

 あ、綺麗だ。

 バグで抜ける場所なのには違いないけど。

 

「じゃあなんで?」

 

「ボロボドス様はいつも同じルートで同じタイミングで歩くので」

 

「え、俺って周りから見てもそうなの?」

 

 確かに最短ルートにはこだわるけどさ。

 RTAプレイヤーのくせで。

 

「ボロボドス様、思ってるより分かりやすい方ですよ」

 

 バレバレなのかよ?

 

「え、もしかしえエリーナとかアリシアも知ってるの?」

 

「常識ですよ」

 

 ミラ姫は平然と言ってのける。

 

 なんでよ! 

 俺いつの間にそんな扱いに!

 

「行きましょ、ボロボドス様」

 

 ミラ姫は笑いながら、俺の手を引っ張ってきた。

 

 友達がいるのはうれしい。

 いやぁ、こりゃあメインヒロインは人気になるわ。

 元気出たし、アッシュを元に戻すにはまずは考えることにするか。

 

 

「ちょっと私は用がありますので席を外します」

 

 ミラ姫がそう言って、教室を出ていった。

 

 代わりにアリシアが俺の元にパタパタとやってきた。

 

「ボロボドス様、クッキー食べましょう」

 

「ありがとう」

 

 俺はクッキーを口に放り投げる。

 

「1つは激辛です」

 

「なんでそうしたって、うぐっ!」

 

 運悪く、激辛クッキーを食べてしまったようだ。

 

「面白いからです!」

 

「辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い!」

 

 アリシアは首を傾げている。

 

「どうして、辛いと辛いって同じ漢字なんですかね?」

 

「からいのがつらいからだよ! 呑気なこと言ってないで、助けてよ!」

 

「はい、お水です」

 

「ありがとう」

 

「あ、それ実はスラロスから絞ったものです」

 

「ぶふっ!」

 

「甘えていいって言われましたので♡」

 

「クッキー辛かったよ、真逆だって!」

 

 アリシアは下を向いて、肩を震わせている。

 めちゃくちゃツボに入ってる。

 

「魔女だよ、これじゃ本当!」

 

「光栄です♡」

 

 アリシアは満面の笑顔だった。

 あれ?

 なんで魔女を喜んでるの?

 

 ぱりん。

 

「あっ、また割っちゃったわ」

 

 エリーナが窓から入ってきた。

 風魔法を使って、空をサーフィンのように駆け巡っていたみたいだ。

 

「風が悪いことしちゃったわ」

 

「エリーナのせいだろ」

 

 俺がそういうと、エリーナは「てへっ」と自分の頭をコツンと叩く。

 アリシアがジト目でアリシアを見ていた。

 

「闇エルフに本気でなる気ですか? エリーナさん」

 

「病みエルフ?」

 

 俺がそういうと、エリーナがドヤ顔をした。

 

「闇夜に空をかけるエルフ。闇堕ちってのも悪くないわね」

 

「前とずいぶん変わりましたわね。エリーナさん」

 

 なんで俺のつけたあだ名をそんなに気に入ってるんだ。

 病みエルフだぞ。

 やばい、人間関係だけは分からない!

 

「ふふんっ、悪いことするのは楽しいわよ、あなたが1番欲しいものだって奪っちゃうわよ!」

 

 エリーナは自慢気に胸を逸らして、鼻でアリシアを笑った。

 

「ま、ま、負けません! スラロスだって困りますから」

 

 エリーナとアリシアはむむっーと言いながら睨み合っていた。

 それにしても2人は何に関してお互い争ってるんだろう?

 

「はい、授業を始めます、席をついてください」

 

 さっ。

 ミラ姫がすっと手を上げた。

 

「ロミア先生、殴りたい人がいます」

 

「はい、誰でしょう?」

 

 しゅっ。

 

「うぐっ」

 

「あなたですよ、ロ・ミ・ア♡」

 

「殴ってから言わないでください、姫様」

 

 他の生徒は顔を青白くしていた。

 皆一つ気づいた。

 ミラ姫を怒らせてはいけないと。

 

「それにしてもこのクラスは問題児が多いなぁ」

 

 ロミアがこちらをじとっーと見てきた。

 

「ボロボドスさん、あなたも神出鬼没だから問題になってますよ」

 

 ロミアが腹を抱えながらそんなことを真顔で告げてきた。

 

 なんでよ!

 

 周りのクラスメイトも俺を見て、「お前がいうなよ」と言わんばかりにくすくすと笑っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。