主人公ガチ恋勢、悪役転生する〜TSしてでも勇者と結婚したいからバグを悪用しよう。メインヒロインなんかに渡すもんか! 作:丸尾裕作
「メアはボロボドス様がご主人なので、ボロボドス様をめっちゃ贔屓します」
『だめだめだめだめ!』
生徒たちが一斉に声を上げた。
ジェイデンの時のようにクラス中の視線を体中に突き刺さる。
あの時とは比にはならないぐらいだ。
原作の時もボロボドスがでしゃばりなせいで睨みつける展開もあったが、今回に関しては理不尽である。
いや、俺のせいじゃないから。
「夜にあんなことされたり、私を激しく求めてきたり、寝ても覚めてもボロボドス様のことしか考えてないんでしょうがないじゃないですか!」
周りが余計に白い目で見てくる。
「おいっ、やめろ、メアの、余計に俺の悪評広がるだろ!」
危険から守るために緊急事態で夜中に起こしたり、魔法について激しく教えを求めたりしただけで決してやましいことはしていない。
「私はいたって大まじめですよ!」
生徒たちが一斉に首を傾ける。
「私は天才と呼ばれ続けました、魔法の天才であることは自他ともに認める所で、王国からも評価はされています」
「でもぉー」
一人の生徒が不満そうな声を上げる。
「いいですか? ボロボドス様がいかに魔法の天才であるかを理解することがあなたたちの魔法の向上につながるんですよ?」
「そんなことを言われても…」
不満の声が上がった瞬間、メアはその方向を睨みつける。
「この世界中から天才と言われた私が言うんですよ? わかりましたか?」
生徒がしゃべりきる前にメアがしゃべり、もはや何も言えない雰囲気だった。
「ということで、ボロボドス様の魔法のすごさを眼球の奥にまで刻み込んで、鼓膜に張り付けて、脳の髄まで叩き込んでくださいね」
「誇張しないでくれる?」
俺も抵抗を試みる。
「真実を言ってます!」
だめでした。
クラスメイトたちは疑惑の目線を向ける。
ちなみに、俺と仲良くしてくれてるミラ姫、エリーナ、アリシアはメアをにらみつけている。
優しいまなざしを向けてくれるのはアッシュだけだ。
もう、アッシュ大好き♡
原作だとね、この視線をボロボドスは羨望だと勘違いするからいいけど、俺は違うって知ってるからね。
というか、原作だとメアとジェイデンに言わせていたという設定あったけど、俺そんなふうに頼んでないぞ、何がどうなってんだ?
「ボロボドス様、いくらすごくても壁抜け魔法は使っちゃダメですよ。他の生徒さん驚いてますから」
俺が周囲を見ると、周りが白い目で見ていた。
もうすっかり認知されていた。
あれは仕様なんだが。
その言葉を使っても理解してもらえないことぐらいはわかる。
「手本をお見せしましょう」
メアが両手を合わせて、目を瞑る。
「魔覚醒 恋乱花魁」
桜吹雪がメアから湧き上がり、メアの笑顔がとびっきり色っぽく浮かび上がる。
周りにピンクの蝶々が舞っている。
とびきりの魅了魔法が発動された。
「魔覚醒をできるようになるために、本日の訓練です」
メアがぱちんと手を合わせる。
「魔法を訓練するには、イメージ力を強くしないといけないのでゲームをしたいと思います、ということで、マジカルバナナを行います」
「日本のゲームだからだなぁ」
マジカルバナナとは、バナナから始まり、連想する言葉を次々と言っていく遊びだ。
バナナといえば、黄色、黄色といえば電気、電気といえば冷蔵庫みたいな感じで。
「マジカルバナナは連想力です。イメージの跳躍力を鍛えれます」
「それを鍛えるのがマジカルバナナってわけか」
「はい。ではルール説明を」
・バナナから初めてイメージする言葉を出す。どれだけ五感の情報、感情、言語化を詳しくしてもイメージが豊かになるなら自由です
・前の人のイメージから同様にイメージした言葉を出します
・ただし、どのイメージも具現化してください
「言語化、想像力、五感を加えた情報がポイントですので、ぶっ飛んだ妄想を見せてくださいね!」
俺たちはアッシュ、ミラ姫、エリーナ、アリシア、俺という5人でやることとなった。
■第一ラウンド
「マジカルバナナ、バナナと言ったら黄色」
「バナナといえば……踏んだら滑りそうなバナナスライムです!」
ドン。
空から黄色いバナナ型のスライムが降る。
「なにそれ! ぐびゃ」
アッシュが滑った。
幸いパンツが見えなかった。
「バナナスライムと言ったら、いたずらつながりで、スカートに潜り込んだりするいたずらスライム」
いたずらスライムが現れて、アッシュのスカートの中に飛び込んだ。
「きゃあー!」
アッシュのスカートがめくれ上がる。
ミラ姫のターンになる。
「いたずらスライムといったら、自分の防御力に殴られスライム」
殴られスライムがぷるぷるとしながら、ミラ姫に近づいてくる。
「えいっ!」
ミラ姫が殴られスライムを殴り、アッシュの方へと向かっていった。
べちゃ。
「ぎゃっ!」
アッシュのターンとなる。
「殴られスライムと言ったら、スライム」
アッシュがそう答えた。
確かに、単なる普通のスライムもありか。
俺となった。
「スライムと言ったら、バグスライム」
「魔覚醒 バグ処理」
俺はバグスライムを使って、収束させた。
訓練後。
「さすがです、ボロボドス様。よくやってくださいました」
メアがやってきた。
「次回はスライム縛りはやめましょう」
笑顔で、俺のことをなでてきた。
総括が始まった。
「生徒の弱点を教えてあげます。魔覚醒は魔粒子を五感レベルまでに感知することができるようになる状態です。それを言語化、感情、五感レベルで分かることが大事ですね」
メアが解説を始めた。
「復習を始めましょう。魔覚醒のためには、魔法が 魔法の強さ=妄想力×魔覚 妄想力=言語化×感情×五感の情報という基本情報を思い出さないといけないです」
メアはミラ、エリーナ、アリシアについても総評した。
「ミラ姫様の弱点は感覚にこだわりすぎて、言語化が苦手なことです、考えることがとても苦手で、五感レベルの情報力のある妄想はすぐにできて、感情もシンプルですからイメージが応用を利かせづらいです、うまく感覚というものを自分なりに理解できないといけませんね」
「エリーアさんの弱点は、感情コントロールが苦手なことです、集中力が欠如して、気が散ってしまうんです。言語化もとても上手で五感レベルの情報も十分ですけどね、もっと信じたりとかしないと」
「アリーナさんの弱点は考え過ぎて、五感レベルの情報を込めて妄想できないことです、逆に言語化、感情のコントロールはできます、五感レベルで何ができるかを発送しないと結局できないです、ぶっとんだ発想をしたりしないと」
ミラ姫、エリーナ、アリシアがすごい殺気でメアを睨みつけた。
「やっぱり魔覚共有したいですよね? 私みたいに、せいぜい頑張ってくださいね、ふふっ」
アッシュは「俺も魔覚醒したいなぁ」ともじもじとしていた。
「アッシュさんは、どれもできますけどね、ちょっとしたきっかけだけですね、感情がもうちょい昂ればっておところですかね?」
すげぇー、アッシュ可愛い。
「まずは魔覚醒をしないといけませんねぇ」
メアはにたにたとしている。
「私の力を見せてあげます!」
魔覚共有「幻覚空間 少女漫画」
以下が妄想の内容である。
「どいて、どいてぇー」
バタン。
苺ジャムの食パンをくわえたメアがぶつかった。
ここから恋愛ロマンスが始まるんです。
ということでこれからどきどきの少女漫画が始まります。
ってな感じだ。
『羨ましい!』
アッシュ、ミラ姫、エリーナ、アリシアの声がハマった。
メアの魔覚共有によっぽどハマったらしい。
やっぱりメアの想像力は凄かった。
魔覚醒のモチベーションが上がったなら何よりだ。
「これが、魔覚醒の上の段階、魔覚共有です」
「メア先生、私もやりたいです」
「まず、私ほど仲が良くないとできませんよ」
メアはそう言って、わざとらしく俺と腕を組んできた。
ミラ姫、エリーナ、アリシアはむむっつ唸りつつ、不機嫌そうになる。
メアはふふんっと鼻を鳴らし、胸を張る。
「まだ魔覚醒すらできてませんでしょ?」
『私できます!』
ミラ姫、アリシア、エリーナは一斉に声を上げる。
メアが明らかに挑発しているのがわかる。
魔覚醒をさせたいという気持ちを煽ることで魔覚醒をさせようと促すだなんてすごいなぁ、メア。
アッシュが微笑んだ。
「俺も魔覚醒できるようになるからボロボドスも俺と魔覚共有してくれよな」
『むむぅー』
メアも含め、ミラ姫、エリーナ、アリシアが俺とアッシュを睨んできた。
やっぱりアッシュは女の子になっても魅力的なんだなぁ。
俺はそんな当たり前の事実を確認するのだった。