主人公ガチ恋勢、悪役転生する〜TSしてでも勇者と結婚したいからバグを悪用しよう。メインヒロインなんかに渡すもんか! 作:丸尾裕作
ボルボロス坊ちゃまは実は天才だと気づかなかった。
私の生涯、最大な不覚にございます。
坊ちゃまが壁をすり抜けた時にやっと私は気づきました。
ボロボドス様に10年も仕えたというのに、なぜ分からなかったんだと悔やむばかりでございます。
正しく評価することの難しさを改めて実感いたしました。
それにしてもボロボドス坊ちゃまは人が変わったようだった。
あの壁抜けにはじめ、坊ちゃまは人知を超越している。
神出鬼没。
広い屋敷内での何か起こった時に現場にすぐかけるのは坊ちゃまだ。
すごすぎてどうなってるか私は到底理解できない。
それだけには飽き足らず、剣術まで興味を持だてくださった。
いざ命を狙われた時、自分の身を守る手段を持つべきだと過去に何度も伝えました。
坊ちゃまのことを案じてさまざまなことを提案してきた私ですが、今日やっと心を開いてくださったんですね。
感激が止まりません。
それだけではありません。
すでに神技も披露できるほど、才能が豊かであるのにも驚きました。
それ以上に驚いたこととはなんと基礎からやり直すとおっしゃったことだ。
謙虚で堅実。
天才な上に努力もするだなんて。
なんと見上げた志。
若いころの私の血が騒ぎますなぁ。
「強い人が好き。だから世界最強の私が一番好き」
かつては私の妻、マリアンナはそんな口癖を持つ、誇り高い人だった
実際、魔法も最強クラスにできて、「私がいなきゃあんたたち何もできないんだからっ!」と言ってくるものの誰も逆らえないほどに強かった。
何よりとても美しかったし、愛おしかった。
強さ、美しさ、可愛らしさ。
口ではツンツンとしたことを言いながらも戦場の兵士の回復を必ずやってくれた。
この王国にいる女性が望むものを彼女は全て持っていた。
誰しもが少なからず好意を抱いた。
私も当然のように恋をした。
告白をすると、マリアンナは私を見下しながらこう言った。
「だったら、私を守ってみなさいよ。副団長になれるぐらい強くなったら、結婚してあげてもいいわよ」
あるとき、私をそんなふうに挑発した。
これは彼女が男性を振る時の常套句らしい。
たった一言をきっかけに私は強くなろうと思った。
何もかも忘れて、一心不乱の努力をした。
王国に仕えて、副団長にまで1年でなった。
「聞いてないわよ、そんなこと」
マリアンナはそんなことを本当にやるつもりだと思わなかったらしい。
妻は私から逃げようとした。
「私こそが君が大好きな最強そのものさ。文句はあるかい?」
私がそういうと、マリアンナは静かに首を振った。
私はマリアンナの顎を掴み、彼女のじっと見つめる。
「本当に嫌なら、抵抗してくれ」
そうして、私はマリアンナの唇を奪った。
それ以来、私は妻はずっとそばにいる。
以後、彼女は自分が最強とは口にしなくなった。
たまに誰が最強かを聞くと、「あなたって言えばいいのかしら?」と小さな声でとても恥ずかしそうにもじもじしながら、答えてくれる。
愛の証に口づけをすると、逃げてしまうから。三回に一回ぐらいしかしていない。
誇り高い彼女は今では私にベタ惚れであることは聞かなくてもわかる。
彼女を幸せにできるたった一人の男が私であることが生涯の誇りだ。
それ以降も妻を守るためにずっと剣を磨き続けた。
ですが、妻を亡くした時守るものをすべて失いました。
そんな中、私の失った剣を取り戻してくれたのがボロボドス様だ。
ぼっちゃまを守るために今度は使った。
なぜそんなに鬼気迫るように修行するようになったかは詳しくは聞きませぬ。
メアからぼっちゃまが変わったとは聞いたが、これほどとは。
うかうかしていたら坊ちゃまに抜かされます。
まさか、こんなおいぼれにも希望があるなんて。
私も基本からやり直さなければ。
ぼっちゃまの努力が素晴らしい。
若い頃の私を遥かに凌駕する。
徹底的に扱きますか。
私も一緒に剣術を努力させていただきます。
まだまだ若いものに負けるわけには行きませぬ。
人生を賭けて私が磨いた、人を守る剣を解くと堪能あれ。