主人公ガチ恋勢、悪役転生する〜TSしてでも勇者と結婚したいからバグを悪用しよう。メインヒロインなんかに渡すもんか! 作:丸尾裕作
アッシュ。
原作ボロボドスが本当は好きなのに仲良くできなかった相手。
同時に、俺の破滅の原因ともなる因縁の相手である。
今日はそんなアッシュにやっと出会える。
魔法や剣術を2年ほどやってきた。
今は12歳。
ゼルドラのプロローグがやっと始まる。
家を出ると、アッシュが村人のおばあちゃんを道案内しているところだった。
おばあちゃんはニコニコとしながら、アッシュにお礼をしていた。
すると、今度は子供が集まってきた。
アッシュが1番年上らしく、集まってきた奴らの中心になっていて、話すたびに笑わせていた。
くぅー、かっけぇー。
マジでいいやつだなぁ、さすがアッシュとテンションが上がり、抱きしめたくなる気持ちが湧いてしまう。
俺もアッシュに近づいてく。
「よう、ボロボドス」
アッシュが俺にあいさつしてきた。
「アッシュだああああああああ! 今日も可愛いな!」
小さい頃のアッシュくん、まじかわゆす。
一生推します!
「ん? どうした?」
アッシュは不思議そうに首を傾げ、「まぁいっか」と小さく呟いた。
「姫様、いや、ミラ姫に呼ばれた」
アッシュは項垂れて、だるそうにしていた。
ミラ姫、本名ミラ・シエル・デ・ソフィーネ
これは記念すべき冒頭のイベントである。
「勇者に頼みがあるんだってさ。勇者の紋章があることってそんなにすごいことなのか」
怪訝そうな顔をするアッシュ。
勇者の紋章はアッシュの手元に生まれた時からあると言う設定。
伝説の勇者「ロゼス」の血を引き継ぐもの、その名はアッシュ。
「何言ってんだよ! アッシュ」
実はここは原作のアッシュと同じセリフだ。
「なんか俺間違ったか?」
アッシュが戸惑っていた。
ここからは違う。
この後原作のボロボドスくんのアッシュに対してなんと言ったか?
お前は努力足りないくせに頑張ってる風だからきもい、人にも思いやりを持てる優しいふりしてうざい、勇者として選ばれてるらしいけど勇者として生きる価値はない。
キモい、うざい、生きる価値はない。
全部ボロボドスのことだろうがぁーって全部特大ブーメランだ。
ひねくれ具合もここまでくると誰からも好かれない。
これに対して、勇者はそうかもなぁー、やっぱり俺はまだまだだから強くなってみせるぜ、にこっと聖人ムーブをかます。
でも、俺は仲良くしてやる。
というか、好き過ぎて酷いことを言うことなんてできない。
本音は勇者が大好きでたまらないから仲良くしたいだけだ。
「お前は努力家で弱い人にも思いやりを持てる優しいこころのもちぬしで、まさに勇者にぴったりな人格者だ、前向きな考えでいつでも引っ張ってくれる、お前が勇者じゃなくて誰が勇者になるっていうんだ! あと、超かわいいだろ!」
アッシュは顔を赤くして、ぽりぽりと頬をかいた。
「お前は俺の好きなのか?」
何だか照れ臭そうにこちらをチラチラと見てくるアッシュ。
「大好きさ」
可愛いからな。
ちなみに原作ボロボドスも「ある意味、大好きさ」とニタニタと笑いながらいう場面である。
本心では勇者のことを好きだったはずだ。
愛情豊かな家庭に育ったアッシュ嫉妬していただけ。
俺は原作ボロボドスの本心を汲み取っているだけだ。
「俺も好きだよ、親友にそんなふうなことを言ってもらえると嬉しいよ」
アッシュは俺の肩を叩きながら笑っていた。
ここでボロボドスの破滅ルートを説明しよう。
1、勇者と敵対して殺される
2、周りからの好感度が低すぎてそれをきっかけに勇者と敵対して殺される
3、魔王の手下と手を組み、操られて、勇者と敵対して殺される
そもそも勇者と仲良くすれば一つは破滅ルートは消えるわけだ。
「親友よ、改めて頼み事だ。俺と一緒に面倒ごとに付き合ってくれないか?」
「もちろん! いくらでも付き合うぜ」
これは良い感触だ。
破滅フラグは防げてるんじゃないか?
あと、アッシュの笑顔を見れて俺感激
もう死んでもいいわ。
あっ、すでに1回死んでたか、まだまだ生きよう、俺。
「お、お、おう。アリベル城に行こうぜ」
アッシュは「今日のボロボドス熱いなぁ、なんか変わったなぁ」と少し首をかしげつつ、俺と握手をした。
これから俺とアッシュで城に向かうことになった。
※
城まで徒歩十分。
白いふかふかベットが魅力的な宿屋、薬草が置いてある道具屋、剣や盾が飾られた武器屋、荒くれ者が集う酒場などを通り過ぎる。
城の兵士が敬礼をしてくる
そんな道中を切り抜けて、王座の前にアッシュとボロボドスは頭を下げる。
「よくぞ、来た。勇者よ」
王様がこちらをじっと見つめ、横目に娘を見る。
横にいるミラ姫も軽くお辞儀をしている。
「早速だが、森の泉にミラと一緒に行ってもらえないか? 勇者どの、森の精霊に会って欲しいのだ、エルフとの交流を深めてほしい」
「よろしくお願いします」
ミラ姫が頭を丁重に下げた。
俺は今、感激している。
原作のアッシュだけは別格だけど、俺の愛する原作キャラが目の前にいるのだ。
嬉しくないわけがない。
そりゃあ、人気になるわと納得するぐらいの魅力的だった。
心が洗われるかのように水よりも美しい水色の髪の色。
雪のように白い肌。
純白さを体現しているドレス。
白い手袋を肘から手までしているのも個人的にはめっちゃ好み。
あと、巨乳。
12歳なのにEカップある。
どゆこと?
横にいるメイドは、ロミアだ。
メアと仲良かったりする。
「行きましょう行きましょう!」
姫様はいつのまにか勇者に手を絡ませて、勇者の腕を自分の胸の谷間に陥没させている。
「あんまりくっつくな、暑苦しいだろ?」
アッシュは少し顔を赤らめている。
くっ! さすがメインヒロイン! アッシュを誘惑しやがって!
でも、恥ずかしそうにするアッシュかわいい。
こんなアッシュを引き出してくれてありがとう、ミラ姫とも思ってしまう。
「あの辺の魔物は私が殴り倒しますから、アッシュは私が守りますからね!」
「俺がミラを守る立場なんだけど」
アッシュは苦笑いをする。
ミラ姫は人懐っこくて、おてんばだ。
あと、殴るのも本当だ。
「あの辺は私が魔物を殴り倒しましたからもういませんよ、安全ですから!」
「ボロボドス様もいつものように何かお灸を据えてくださいませ、殴り姫というあだ名は最高でしたので」
俺は呼吸を整えた。
アッシュに哀しい目を向けられ殺されるという悲劇的な死を避けるためにすべきことを思い出す。
ミラ姫だけには嫌われてはいけない。
好感度を絶対に下げてはいけない
あと、原作ファンという誇りを守る行動もしたい。
「ミラ姫様、お手を汚さないようにしてください、めっちゃ可愛くて国民誰しもからも愛されるので怪我をされたら大変です!」
ミラ姫と目を丸くして、両手で口を押さえていた。
横で、ロミアもぽかんと口を開けていた。
「ミラ姫様を前にして優しくならない男性など存在はしないのは置いといて、いつもの毒舌はどこはやら」
淡々とした顔に戻ったロミアは静かにそう告げた。
「単なる事実だろ?」
原作ボロボドスくんが本当は可愛い女の子が好きだけど、悪態をついていたのだ。
しまいには、ボロボドスくんはミラ姫のファーストキスを奪うという外道までしやがる。
ミラ姫の女の子としての夢を壊さないために、キスだけは絶対にしてはいけない。
絶対にだ!
アッシュが俺に対して距離を置くようになってしまう出来事は起こさない!
そういうわけで原作ボロボドスの本心を知っていら俺が本当は姫様とも仲良くしたかっただけな意図を汲み取ってるだけだ。
良かったね、原作ボロボドスくん。
すると、ミラ姫は下を向いて、プルプルとした。
「え? 俺は何かした?」
ミラ姫は顔を上げると真っ赤っかだった。
「全くボロボドス様、急に女の子扱いしないでくださいっ! 殴りますよ!」
「えっ!」
なんで好感度下がっちゃってんの!
破滅ルートなんて突入したくないよ!
きらわれてるのか?
何とかしなきゃ。
えっと、えっと。
「殴り姫といってごめんなさい、ミラ姫が可愛すぎるのが悪いんだってば! 悪態の一つや二つつきたくなるだろ!」
命乞いをするしか思いつかなかった。
「可愛いと言ったら、許されると思いましたか!」
ミラ姫が笑顔なのに眉間がぴくぴくしてる。
めっちゃこえええええ。
死ぬううううううううううううう!
「おー、ミラが怒ってる怒ってる」
アッシュはにやにやと俺を冷やかしていた。
長々とため息をついた後、ミラ姫はニコッと笑顔を俺に見せた。
「はぁー、私を何だと思ってんですか、もうバカばっかです。今回は特別に許してあげますよ、ボロボドス様は貸し一つです」
人差し指をピンと立てて、ミラ姫は俺にウィンクをする。
「ボロボドス、お前、やっぱりすごいなぁ、俺なら後で殴られるところなのに」
俺はアッシュからの好感度は上がったらしい。
結果、オーライ。
「アッシュ様、こっちきてください」
アッシュはミラ姫の手で招かれた。
首をかしげながら、アッシュはミラ姫のもとへ行く。
次の瞬間。
「ごふっ!」
ミラ姫がアッシュのお腹を殴った。
「後で殴りませんよ、今ですよ」
ミラ姫は笑顔だ。
ただし、目は笑っていない。
「ボロボドス様も何かアッシュ様に言ってください」
おっ、原作通り照れ隠しでミラ姫がアッシュを殴るって設定に従ってるぞ。
「アッシュ、やっぱりお前は最高だな」
貧乏くじを引いて涙目のアッシュ可愛いすぎる。
「なんでボロボドスは喜んでるの! この凶暴な殴り姫から俺を助けてくれよぉ」
原作通り過ぎて泣きたくなるぐらい俺は嬉しい。
俺はアッシュに向けて、親指をを立てた。
残念ながら、俺の外道かもしれない。
アッシュの可愛いところを見れるためなら何でもできちゃう。
実は、ミラ姫は照れ隠しをしている。
しかし、アッシュは殴られることでそれに気づけない鈍感キャラだ。
それが可愛いんだ。
俺は鬼になる、このまま殴られ続けろと。
あと、アッシュが不憫なの、止められない俺を許して。
悪役っぽいことをしているけど、原作再現は大事にしたいんだよ。
「ボロボドス様も殴らないといけないんですかね? でも、今回は許します」
ミラ姫からの好感度が少し下がってる気もしたけど、アッシュからミラ姫への好感度を上げないためでもある。
それにアッシュの可愛い姿を見れたから大満足である。
「アッシュ様は、もう一回グーパンチです!」
「いやああああああああああああああ! なんでえええええええええ!」
やっぱりアッシュは貧乏くじを引いてこそだよな。
不憫であってこそアッシュ、アッシュならば不憫。
原作通りのアッシュの可愛い姿を近くで見れて幸せだ。
ということで、俺、アッシュ、ミラ姫、ロアナで森の泉に行くことになった。