スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄 作:魔法史編纂委員会
3年前……
父ギャレットに魔法の訓練でボコボコにされた後、セラフィーナは夕食の席に向かった。
(あ、そういえば)
セラフィーナは魔力封じのペンダント、身体能力減衰の指輪、視力低下の眼鏡、そして聴力減衰のイヤリングを外した。最近は父の指示でこれらをつけた上で戦いをするように言われているのだ。
視覚・聴覚が戻り、不快感も消えて身軽になったセラフィーナはぐるりと首と肩を回してからナイフとフォークを手に取って食事を始めた。
「そういえば、セラフィーナは将来のイメージはあるか」
唐突に父が問いかけた。
「あまり考えたことがなかったですが……」
「まずはホグワーツは首席で卒業だな。試験は全てO:優しかありえない」
「それはまあそうですね」
「それから魔法省に入省して重要ポストに就け。入るのは魔法法執行部の一択だ。それからこの家をいずれ継ぎ、美しく統制された魔法界を実現させるのだ。エリスの実家、ブラックの家訓も同様だ。純血よ、永遠なれ、だ」
「はい、父上」
「闇の帝王がお隠れになったからには、サラザール・スリザリンの血を引いた私とお前が魔法界をよりよく、住み心地のよいものにするのだ」
「そういえば、父上はどうなさるのですか」
「私は魔法省への影響力の最大化を10年前から実施している。今はコーネリウス・ファッジという無能が率いているが、実務は上級次官の私が保持しているようなものだ。……まあ、風当たりも強いがな。大臣顧問のルシウスも極めて協力的だ」
「盟友、ですものね」
「ああ、何度か話した通りだ。だが私はお前に期待している。闇の帝王はどう考えてもやり過ぎた。死喰い人だった過去を持つ私は魔法大臣ポストにつくのは難しいが、お前はそうではない。
次世代の魔法界を、お前が作るのだ。……いや、好きに生きろ、とは思うが」
「ま、現状私から見ても魔法界はだいぶ終わってますしね。まったく同意しますわ、父上」
「うむ」
セラフィーナは悩んでいた。
父上はもはや
それに、失敗したらどうなる?ポッターはどんな魔法を使ったのか知らないが、死の呪いを跳ね返している。私がやってもダメかしら。首もぎったら死ぬ?うーん。──それに、やりたくもない。彼が何をしたというのかしら。
セラフィーナは既に校長に目をつけられている。何事もなくホグワーツを卒業して魔法大臣のポストを目指したいし、それ以上に、楽しい学校生活を満喫したい。闇の帝王が生き延びていたのは意外すぎるが、せめて協力すると
また、闇の帝王が復活する事を前提にするなら将来設計が変わってくる。今すぐ意思を固めるのは難しいので今日明日にでも復活されるとそれはそれでちょっと困る。とっても困る。……というか、少なくともあと数年は死んでてほしい。
なんなのこの遠縁の厄介親戚おじいちゃんは。ほんとに勘弁してよもう。
この間数秒。そして、答える。
「
「む……。
───なるほど、それも良かろう。それは悪くない。むしろ未来が広がるか。
よし、いいだろう。裏では力を貸せ」
や、まぁ足引っ張るけどね。全力で。
「できる範囲で」
「まずはあの忌々しい三頭犬だ。あれを突破できないことには話が始まらん」
(えっ……あんなのに手こずってるの!?大丈夫!?なんで!?)
そんなセラの内心を知らずに闇の帝王は呟くように続けた。
「他にも教師たちが守りを固めているようだ。良いか、情報を入手しろ。こちらも動けるようになったら声を掛ける」
「わかりましたわ」
(まぁ私が持ってる賢者の石渡せば終わりなんだけどね。……え、あれ賢者の石ってことで合ってるよね?別のなにかだったら困るけど。後で検証しなきゃ。
ま、仮にそうだとして、置いてあるのは偽物だし。まぁいいか。少し考えたいし面白そうだし、しばらく放っておこ)
「じゃあねー、おじいちゃん」
◆ ◇ ◆
セラフィーナはそのまま図書館に直行した。
(いい加減、例の本の裏付け取らないと。最悪、グレンジャーとは縁切らなきゃいけないし、私も身の振り方の解像度上げてかなきゃ)
図書館にはホグワーツの長い歴史を示すように膨大な資料がある。
(うぇ、この中から本探すの?つら……
彼女は棚を往復しながら本の表紙を眺める作業を始めた。
セラのマグル知識はけっこうガチ。