スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄 作:魔法史編纂委員会
その頃、ハリーとロンはハグリッドの小屋にいた。
「スネイプとゴーントだったんだ」
ロンが説明した。
「君の箒にブツブツと呪いを掛けてた。ずっと君から目を逸らさずに。ゴーントは途中でいなくなったけど、間違いなく双眼鏡で見たんだ」
「バカな。ゴーントのことは知らないが、なんでスネイプがそんなことをする必要がある?」
ハグリッドは信じられなかった。
「ゴーントはスリザリンで僕らを目の敵にしてるんだ。それとスネイプについて知っていることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日に三頭犬に噛まれてる。フィルチに手当てされながら三頭犬の話をしてるのを聞いたから間違いない。あの犬が守ってるものをスネイプが盗もうとしたんだ。ゴーントも協力してるに違いない」
ハグリッドはティーポットを落とした。
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
「フラッフィー?」
「そう、あいつの名前だ。去年パブで会ったギリシャ人から買ったんだ。俺がダンブルドアに貸した……守るために」
「何を守ってるの?」
「これ以上聞かんでくれ……重大な秘密なんだ、これは」
「だけど二人が盗もうとしたんだよ」
「バカな。スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことするわけないだろう」
「なら、どうしてスネイプやゴーントはハリーを殺そうとしたんだ?」
ロンが叫んだのに対し、ハグリッドはキッパリと言った。
「お前さんは間違っとる。俺が断言する。
ハリーの箒があんな動きをした理由はわからん。だがスネイプは生徒を殺したりしない。……ゴーントが何をしていたのかはわからんが、スネイプは生徒に唆されて他の生徒を殺したりするような人間でもない。お前さんたち首を突っ込みすぎだ。危険だからあの犬のことも守ってるもののことも忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの……」
「ニコラス・フラメルって人が関係してるんだね!」
ハグリッドは声にならない声で自らに悪態をついた。
◆ ◇ ◆
セラフィーナは忙しい。
授業中は与えられた課題をこなしつつ周りのスリザリン生のサポートをしつつ読みたい本を読む。
放課後は膨大な蔵書を誇る図書館で純血に関する資料を探し、研究のためスプラウト教授と協力して頻繁に温室にも足を運ぶ。疲れたらスネイプ教授の研究室で紅茶をしばき、深夜はホグワーツの探索に出かける。
禁じられた森にも何度も出かけている。特筆するほどの
特に、処女だからかユニコーンがすぐ寄ってくる。……キモいので蹴り飛ばしているが。鬣を切らせてくれた時は適当に撫でてやっている。
(私、もしかして働き過ぎ?)
夜、いつものように寮を抜け出したセラフィーナは寝不足なのか頭痛に顔を顰めながら8階をうろうろと探検していると、突然何もなかった壁に扉が現れた。
(この部屋見たら帰って寝ましょう……疲れたわ)
そう思いながらドアを開けると、そこには美しいホテルの一室のような部屋があった。
ベッドサイドには薬の小瓶が3つ。
扉を閉め、ベッドに腰掛けてみると寮のものよりも上等なコイルスプリングが優しく腰をいたわるように沈み込んだ。
杖で瓶を叩いて調べると、中身は頭痛薬、安らぎの水薬、そして栄養ポーションだった。
さらに部屋の奥には扉があった。開けてみるとそこは脱衣所で、豪華なシャワーとバスタブがあり、ふわふわの泡で満たされている。
脱衣所のドレッサーには美容用品が並び、なんなら着替えまで置いてある。
(なんておあつらえ向きの部屋……)
疲れていたセラフィーナは少し不思議に思いながら、ありがたく利用することにした。
◆ ◇ ◆
翌朝。
いくらスリザリン寮が綺麗に整ってるとはいえ、寮に浴槽はない。セラフィーナは久々の入浴と素晴らしいベッド、そして薬の効果で元気を取り戻した。
「んん〜〜」
伸びをして、部屋を後にすると扉は壁に溶けるように消えていく。
再び入ろうと思ったが、壁には何も現れない。
セラフィーナは壁を杖で叩き、調べていく。
「
強力な暴露呪文を掛けると、うっすらと巨大で繊細な魔法の痕跡の一部が浮かび上がった。
(うーわ、何この魔法。複雑すぎて一日じゃ読めないわ……)
理解を一旦諦め、ぼんやりと流れを意識して全体を眺めると、その効果そのものはなんとなく理解できた。
(術者の望む空間を作り出す?条件は部屋の前を往復すること?どんな
じゃあ……
壁は反応しなかった。
(なるほど、明らかに条件を超えたものは無理、と。
ちぇ。
しかし、使えるわねこの部屋)
もう少し検証していたかったが、朝食の時間が押していた。授業が終わったらまた来ましょ。
◆ ◇ ◆
放課後、例の壁を調べた結果、追加でいくつかのことが判明した。
基本的に部屋はホグワーツとリンクしていて、必要なものはホグワーツ内部から複製か持ち出し、もしくは自動生成で現れる。ただし生徒や教師などの個人的な所有物については一部例外である。使った後は基本的には状態がリセットされるが、部屋に直接持ち込んだり生み出したりしたものは保管され、必要があれば再び構築の際に利用される。部屋は魔法で作られた空間にリンクし、基本的に外部から干渉することはできない。
といったところだった。
(この部屋が図書館とリンクしているなら……
純血や穢れた血という内容に関係する専用の図書館で、快適な読書スペースがついた空間よ、現れろ〜)
扉が出現した。
セラあんたさぁ!!