スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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1-21 マグル、そして恋バナ

数日に一回、セラフィーナとハーマイオニーは『望みの部屋』で勉強しつつ会話を楽しんでいた。

二人とも向上心は高いし、セラフィーナも何かを人に教えるという行為は好きだった。まして学年トップクラスの才女であるハーマイオニーが相手なら一を教えればすぐに十を学ぶ。教え甲斐があって他のどの生徒を相手にするよりも楽しかった。……友達に貴賤はないけれど。

 

「そういえば、セラってマグル界にも詳しいわよね」

お茶をしばきながらハーマイオニーが言った。

「ええ、まぁ学ぶことは多いわね」

「純血思想ってそのへんに偏見あると思ってたわ」

セラフィーナは頭を掻いた。

「とことん毛嫌いしている人ももちろんいるわ。私の親とかも昔はある程度そうだったわ。インターネットは無理やり言いくるめて引かせたし、最近は若干呆れた顔されるくらいになってきたけど。

でも純血名家でもその辺は切り分けて考えているところも多いし、私は別にマグルを見下すつもりはないわ。血が"混じる"ことは不快(悍ましい)というか反対だけど、そうやって生まれてしまった子に罪は無いし、知識は知識ってやつね。まあ魔法界がマグルに知られるような事態は絶対に避けるべきだと思うけど……。

えとごめん、喋りすぎた。話戻すとねハーミィ、魔法使いはもっとマグルの考え方、科学を取り入れた方がいいと思うの」

「色々事情が込み入ってるのは察してる。そして私もとってもそれ思うわ!」

ああ、良かった。"初代"とはいえ、親がマグルだからね。ちょっと喋り過ぎたわ。反省。

 

そして、続ける。

「その知識すら見下す人間も多いけど──知ってると思うけどマグルは20年前に月に行ったでしょう?もっと取り入れていかないと魔法界は停滞したままだわ」

「そうね、ここでの生活って魔法以外の部分は近代くらいで止まってるものね」

「そう、羽ペンなんか捨ててボールペンとコピー用紙を持った方がいいと思うわ……まぁ魔力を通すなら羊皮紙の方が向いてるけれど」

「それ本当にそう思うわ!」

「いいとこせめて万年筆よね〜。だから私はパソコンも最新機種を追ってるわ。最強マシン(IBM PS/2 Model 90 XP 486)おしゃれなやつ(Macintosh SE)、東洋のゲームが綺麗なやつ(X68000_SUPER-HD)、あと実用的なやつ(PC-9801NV)。親には捨てられそうになったけどね」

「私さすがに自分のパソコンは持ってないわ……パパは使ってるみたいだけど」

「これから確実にパソコンの時代が来るわよ。魔法界もインターネット魔法とかコンピューターみたいなものを開発した方がいいと思う」

「インターネット魔法!?」

「たとえばそうね……魔法でパソコンの画面を表示して、ケーブルの代わりに電波を魔法で出してインターネットに繋ぐの。小型化すればその手鏡くらいのサイズでゲームとか、他の人が撮った動く写真も見れたりそれにコメントしたりできる──とかどうかな」

「それは革命が起きるわ!」

「あ、それとハーミィ、株はやってる?インターネット関連株は絶対に伸びるわよ、私買い漁ってるもの」

「帰ったらパパに相談してみるわ!

──魔法界に来たけど、()()()()()()を捨てる必要なんて無いものね」

「そーよ!……あたしは少なくともそう思うわ。

ホグワーツ出たあとマグルの大学(オックスフォードかケンブリッジ)行こうかなって迷ってるくらいだし」

「私も行きたい!!」

「じゃ、同じとこ受けましょっ♪」

「うん!」

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

そしてもうすぐクリスマスがやってくる。

セラフィーナにとっては社交の時期でもある。特に今年からはホグワーツに入学したことで本格的に純血家の後継ぎとしても見られるようになる。

他にもやることは多い。マグル界の証券取引所にも顔を出しておきたいし、本などの資料も新しいものをチェックしておきたい。そうそう、端末の新型も買わなければ。

本当はホグズミードから姿くらましでさっさと帰りたかったがそうもいかない。セラフィーナは同室の魔女たちと同じコンパートメントにいた。通路を挟んだ向かい側にはドラコとその取り巻きが占拠していて、ドアは開けっ放しで会話できる状態だ。

 

「……それでね、ベアトリスはサウスウッドのことが好きみたいなの」

「え〜めっちゃアツいわね」

「セラは好きな子いないの?」

「えっ?えー、うーん……」

(好き?そんな感情抱いたこと無かったわね……

好きってなんだろう。誰かと接してドキドキする感じよね?)

 

パンジーが突然コンパートメントのドアを閉め、小声で聞いてきた。

「ね、ドラコは?」

「え?ドラコ?ないなぁ……幼馴染以上の感情はないわねぇ。強いていえば歳の近い弟がいたらそんな感じ?」

「ちぇー、つまんないの、私はちょっと彼のこと好きかも」

「まじ?」

ダフネも食いついた。

「えっ詳しく聞かせてよ」

「いや、顔そこそこイケメンだし、ちょっとガキっぽいとこはあるけど女子には優しいし」

「まぁ確かに〜」

「セオドールは?」

「あー、彼もイケメンよね」

「分かる〜」

「ブレーズはどうよ」

「えーちょっと性格が……」

「そこなのよねぇ〜」

 

恋バナは尽きない。

 

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