スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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セラフィーナがまた暴れ方を変えたようですの。



1-24 会談

マルフォイ家での晩餐会は華やかな雰囲気で進行した。

セラフィーナはスリザリンの末裔というステータスに加え、母の実家であるブラックの特徴を受け継いだその美しく可愛らしい──

 

──夜の闇を切り取ったかのようなさらっと艶のある美しい黒髪、前髪はぱっつんと揃えられている。ツリ目な黒い瞳にはルビーのような紅い光が潜んでいて、陶器のように白い肌、小柄で華奢な姿は人形のよう。優雅に振る舞う姿には気品が漂い、無邪気で高く澄んだ声は可憐である──

 

──容姿も相まって、多くの参加者から声を掛けられっぱなしであまり食事を楽しむ余裕もなかった。

 

マルフォイ家の当主ルシウスが会の終わりを告げ、参加者は別れを惜しみながら退出していった。

セラフィーナと父ギャレットは応接室に通され、ルシウスを待つ。ここからが本番だ。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

セラフィーナがまとめた純血に関する資料と、夜なべして作った、昨日父と会話した内容と結論をまとめた文章──を読んだルシウスは頭痛を隠せない。

「闇の帝王は生きておられた──いや、生きて()()のか」

「はい、まとめた通りです」

ルシウスは即座にぼやく。

「私は真っ先に死喰い人(デス・イーター)を裏切って正道(笑)に復帰した。だからこそ今の地位があるのだが、間違いなく粛清の対象だろうな」

「娘の戦闘能力は帝王とも互角に渡り合えるだろうが──

「それほどなのか!?」

──ああ。昨日も手合わせしたが、力を1/30に制限しても歯が立たぬ。制限なしではもはや私が何人束になっても、勝てるビジョンすら思い浮かばん。

だが娘も学校がある。我々も対抗するだけの力を持たねばなるまいな」

「賛同者の家には私が全力で保護呪文をかけましょう。秘密の守り人も私がやります」

「しかし!こんな年端も行かない……いや、力を疑うつもりは無いのだよ、子供の君にそこまで頼るのが申し訳ないというか……。秘密の守り人にしても、君にすべての攻撃が……」

「いえ、少しでもお力になれれば。少なくとも誰か悪意を持ったものが屋敷に近づいたら木っ端微塵になるくらいの術は保証します。それに私に手を出そうものならそれがそいつの命日ですわ」

「それは……ああ、なんとも頼もしい……」

え、なんで引いてるの。

 

「課題はいくつもありますが、まず情報戦が大事です。マグルの文献で参考になるものがあったので是非とも活用しましょう。50年前のドイツのマグルのとある指導者(ちょび髭伍長)が大変参考になりました。マスコミを我々で抱えてこちらに有利になるよう報道統制を取り、プロパガンダを流します」

「ほう……」

「演説も行いましょう。集会を開き、繰り返して我々の主張を刷り込みます。その役は──」

ルシウスとギャレットは顔を見合せ、ルシウスが口を開いた。

「その役は私がやろう。今の大臣は早めに蹴落とさねばならぬ。ファッジはダンブルドアの傀儡だ」

ギャレットも続ける。

「裏での調略は私が進めよう。昔の仲間の引き抜きは二人で分担して進めていけばよい」

セラフィーナは頷き、

「同時にウィゼンガモット法廷を攻略します。あっこはダンブルドアの庭です。信者しかおりませんもの。敵を煽り、賢者(笑)(議員)を送り込みましょう。過半数を抑えたら相当やりやすくなるでしょう。

有事の際には、最悪、全権委任法を通して立法を大臣に委任させてしまいましょう。そのためにも司法を手に収める必要があります。

それから実行部隊を作りましょう。闇祓い局はダンブルドアの息がかかっていますから、魔法警察に権限を与えるか、突撃隊とか憲兵隊のようなものを──そういえば魔法界に憲法って無いですね。こんど草案を作ってきますね。

ともかく不死鳥の騎士団(反体制主義者)を逮捕できるような体制を整えましょう」

「空恐ろしいな……君は本当に11歳の娘か?」

「お褒めに預かり光栄ですわ☆」

え、だからなんで引いてるの?そんな大したこと話してないけど。

 

「それからホグワーツへの介入を進めます。あっこはご存知の通り()()()()()()()()()とでも呼ぶべき独立国家ですが、理事会を通して権限を縮小し、封じ込めてしまいましょう。また生徒の洗の……失礼、()()()()は私が進めます。教員はスネイプ教授が使えるかもしれません」

「うむ。彼は我々の後輩だ。もっとも彼は死喰い人を裏切ってダンブルドアに忠誠を誓っているようだが……」

「色々思うところはあると言っていましたから、付け入る部分はあると思います。そこはお任せ下さい。毎日のようにお茶を飲む関係ですので」

「それは頼もしい」

「あとは闇の帝王──自分で言っておいてなんですが、帝王って呼ぶのやめません?あんなの()()()()で十分ですわ」

「慣れないが、そうだな」

穢れた血(ヴォルデモート)への対応も主には私が。今はホグワーツの教員に取り憑いていますから、私が監視します。また不死の秘密や倒し方も研究調査を進めておきます」

「任せたぞ」

「うむ」

「対策としてはそんなところでしょうか……?」

「そうだな」

「それでここからが肝心なんですが……我々の組織名は何としましょうか?」

 

そこから話し合いは荒れた。とっても荒れた。

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

ふぅ。危うくティーカップが飛び交うところだった。

「名前は均衡の守護者、シンボルは百合の花。これで決まりですね」

「ああ、中道右派(笑)な我々に相応しい」

「これなら過激な雰囲気とは一線を画しているだろう」

「それにしてもこの刺青は消せないものだろうか」

「全くだ」

ルシウスは腕をまくった。

「やってみましょうか?」

セラフィーナは杖を向けて魔力を集中させた。

ソルーティオ(Solutio)マレディクティ(Maledicti)

闇の印は光に包まれ黒い煙をあげ、そしてゆっくりと消えた。

「今の魔法は?」

「高位の解呪呪文です。分類は闇の魔術になりますが」

「ああ、なんと。まさに呪いから解放された気分だ……これで大手を振って表を歩ける。魔法大臣を目指すとしてもこれがある事でずっとハンデを抱えていたのだ。

──しかし君は本当にとんでもないな」

「いえいえ〜」

(あ、パパにもあとでやったげる。初回実験さんきゅー、ルシウスおじさま(臨床試験第一号さま)☆)

 





倫理観が茶匙一杯しかないとはこういうこと。
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