スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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1-25 クリスマス

クリスマス。

書庫で寝落ちすることなくふかふかのベッドで目覚めたセラフィーナは頭に触れる硬い感触で目を覚ました。

「ふぁ〜〜……今年は何かしら?」

赤い包装紙で包まれ、緑のキラキラ光るリボンが付いた細長くて小さな箱である。クリスマスプレゼントだ。

眠気は一瞬で吹き飛んだ。

 

丁寧に開封すると、中身はエレガントな万年筆だった。ダークグリーンの筐体とペン先は美しいミスリル製で、繊細な蛇の模様が彫り込まれている。軸の先にはエメラルドが輝いている。

付属のカードを見るとシンプロ(Simplo)マイスター(Meister)という、マグル界でも業界トップの高級筆記用具メーカーの魔法部門によるオーダーメイドらしい。

書き手の癖に合わせて重さを調整する機能やペン先の太さ(UEF〜MS)の変更、自動筆記機能もついている他、魔力を込めて書くことで魔法契約もできるフラグシップモデルだった。

万年筆はまだ魔法界では普及が始まったばかりで珍品寄りの高級品扱いされているためごく一部のスリザリン生が使っている程度で、使っているのを見かけたらちょっとした話題になる代物だった。

 

セラフィーナが興奮してダイニングに向かうと、両親はもう起きて優雅にアーリーモーニングティーを飲んでいた。

「父上、母上、おはようございます!これ!」

「ああ、なにかね?ミスター・サンタ()()()からの贈り物か?」

「ええ!ええと、その、サンタ様、ありがとうございます!」

「サンタ氏は()()()こう言うだろう。

"お前ももう立派な魔女だ。魔法契約の一つや二つ、してもおかしくない歳だ。一本くらい上等なものを持っておいてもいいだろう"とな。

それと、()()()()そのセンスはサンタ氏の妻のものではないだろうか」

「あっ、ええと、()()()()()も、ありがとうございます!」

「ええ、きっと()()も喜んでいるわ」

珍しく両親は微笑んだ。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

「ああ、それから、いくつか贈り物が届いているようだ。呪いのチェックは済ませておいたぞ」

大きなテーブルにはたくさんの包みが置かれていた。早速開封にかかる。

 

(これはドラコからね……)

中身は魔法植物の鉢植えだった。ルミナスローズという、夜になると星のように輝く美しい花だ。

 

(それからこれは──やった!スネイプ教授!)

スネイプからはダージリンの茶葉だった。シンブーリ農園のクローナルフラワーという特別な茶葉だ。缶を開けると銀色の大振りでよく揉捻された葉からえも言われぬ爽やかなマスカット香が立ち上った。

セラフィーナも東洋一のホテルである皇国ホテルの限定ケーキ、ドン・ペロニヨン・ロゼをふんだんに使用した逸品を教授に送っている。喜んでくださったかしら?

 

ダフネからは相手によって一番好きな香りがする魔法の香水、パンジーからは美しい蛇の模様の入った手鏡だった。その他にも寮の友人たちからお菓子やアクセサリーなどがどっさり届いている。ぜんぶ開けるのにはそこそこの時間がかかりそうだ。

 

(これは……)

ハーマイオニーからだった。エールドという、ハンガリーの陶工のペアのティーセットだ。美しいボーンチャイナにバラをあしらった可憐で優雅な逸品である。

(ふふ、これでお茶会しようってことね、かわいい)

セラフィーナはハーマイオニーに既に透明マントや両面鏡を贈っているが、当日に贈らないのもどうかと思い、エルミーヌの小さなポーチを贈っている。エルミーヌはマグル界だけでなく魔法界の部門も持っており、高級バッグの代名詞である。美しいドラゴン皮の仕上げに、内側には倉庫一つ分の容量を持ち、中身を自動で整理する機能も付いている逸品である。本好きの彼女はきっと喜んでくれるだろう。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

ひととおり開け終わった頃には昼が近づいていた。遅めの朝食を摂り、セラフィーナはロンドン証券取引所に向かった。久々の立会である。午後の部(後場)には問題なく間に合いそうだ。

母方のブラック家からの遺産に加えてセラフィーナのマグル知識もありゴーント家の家計は極めて安泰であるが、お金はいくらあっても困ることは無い。これから魔法界を変革するのだ、セラフィーナも気合いが入っていた。

(まぁ、困ったら賢者の石から金を錬成して売り捌けばいいんだけどね!……やりすぎて相場崩れないか心配だけど)

 

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