スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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タイトル回収です。



1-31 虚飾に満ちた英雄

「殺せ!殺せ!」

石を手に入れたハリーは殺そうとしてくるクィレルの腕にしがみついた。ハリーが触れたクィレルの肌は焼け爛れる。石をとられてたまるもんか。

しかし額の傷跡が割れるように痛む。血が出そうなくらい、強くその赤い石を握りしめた。

 

 


 

 

ポッターがクィレルと乱闘しているのをセラフィーナはのんびりと見ていた。フィッシュアンドチップスとビールがあればなお最高だ。パブでフットボールを観戦するおっさんの気分である。

(クィレル教授、すっかり冷静さを失ってるわね。死の呪いぶっぱすればいいのに……あでも彼は跳ね返してるんだっけ。絞め殺すか首チョンパするのがいいのかな?それでも彼は不死身なのかしら。やらんけど)

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

クィレルが肌を焼きながらも気を失ったポッターの首を絞めあげはじめる。

(あー、これ勝負ついたかな。さすがに見てらんないわ)

目くらましを解き、話しかける。

「ね、おじいちゃん(ヴォルデモート)、コイツの首締めるよか先にやることあるんじゃないの」

そう言うと、クィレルは我に返った。

「む……確かに」

彼は首を絞めるのをやめ、ポッターの手に握り締められた赤い石(偽物)を取ろうとする。しかし強く握り締められたそれは簡単にもぎ取れず、気を失ったポッターの指を解こうとしていると──

 

──ものすごく嫌な予感がして、

 

セラフィーナは咄嗟に杖を抜いた。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

突然部屋の入口の炎が荒々しく燃え盛った。

セラフィーナはちょうどクィレルの影になっているその方向に杖を向ける。ものすごく、面倒なのが来た。確信が先に走る。

 

その人影は、石を拾って立ち上がったばかりのクィレルの背中に向かって圧倒的な力で悪霊の炎を放った。

アルバス・ダンブルドアである。とても険しい顔でありありと殺気をみなぎらせ、クィレルはあっという間に焼け焦げ、灰になった。

 

そして構えを全く解かずに杖を向け、(ダンブルドア)は一歩、一歩と近づいてくる。目線はセラフィーナを居抜いたまま、クィレルの灰を無造作に踏みつけ、そして口を開いた。

「ミス・ゴーント、お主はそこで何をしておったのじゃ」

殺気ふたたび、である。

(ええ、何この状況。勘弁してよもう)

セラフィーナは安堵した、と顔に書いてから杖を下ろす。

「クィレル教授と戦っておりました。助かりました」

「しかしその割には呪文の応酬がなかったようじゃが」

「いえ、私も今駆けつけたばかりで呪文を交える直前でして、隙を伺いながら互いにじりじりと。とはいえ、このポッターが首を絞められておりましたから私も混乱しておりまして、なにがなにやら、といった状況でした。それにその、──呪文を迷っていまして。殺すわけにはいかないですし、ポッターを護る必要もありましたし……」

そう言うと、ダンブルドアは殺気をだいぶ収め、杖を少し下ろしてからこう言った。

「約束を守ってくれておったのじゃな。しかしなぜ君もこの場に現れたのじゃ?」

「クィレル教授が怪しいとは前々から気づいておりましたの。狙うものがなんにせよ、あとをつけて秘密を暴いてやろうと思ったのです」

はー、あっぶね!!!杖構えといてよかった!!!

 

 

それからダンブルドアは鋭い眼光を目に宿らせた。

「ミス・ゴーント、お主はヴォルデモートの信奉者では無いのかの?」

前と同様に大海のような底の深いブルーの眼に吸い込まれるような感覚がし──

セラフィーナは心の一部に強固な障壁を作り、その上に穢れた血ヴォルデモートに対する不信感や対抗する気持ち、そしてハーマイオニーとの友情をピックアップして心の表層に浮かび上がらせた。それから親との幸せな方の思い出、友人とのくだらない会話、そういうものをうっすらと見えるように配置する。めんどい。本当に腹の立つ爺である。

そして同時に、

「いえ、このような者が身内だと思うだけで悍ましく吐き気が致します」

と、口を開き、あたかも開心術を受け入れているような態度で答えた。前回はガチガチに閉ざしたからこそ、今回は抵抗していませんよ、という──

 

──ダンブルドアは瞠目した。

 

 

「君は、そうか、……そうか」

なんか、納得してる。大成功☆である。

対策で何度か練習しておいてよかった。ま、引っかかる方がざぁこってことで。

「ええ、まあ私なりに色々考えた次第ですの」

「そうかそうか、君とはいずれまたゆっくり話し合いたい。

……そうじゃの、今度は君の好きな紅茶でも。

じゃが、今は成すべきことがある」

 

そう言うと、クィレルの灰の中から賢者の石を拾い上げ、ノータイムで完全爆破呪文を放って粉々に粉砕した。

ウケる。多分これ気づいてねーわ。

「その石は何か特別なものなのですね?」

「これか、……知らずにここまで来たとはの。

──これは、賢者の石じゃ」

ん、驚かなきゃダメよね。

「賢者の──石!?

あの、黄金と、命を長らえるという、あの!?

たしか先生がニコラス・フラメル氏と共同研究なさった……

……では闇の帝王はそれを使って、」

「左様。危ないところじゃった」

(本当に危ないと思ったらこんな所に置いておかないでしょうがばーか)

「手出しこそできませんでしたが、彼奴の手に渡らなくて良かったですわ」

「否、セラフィーナよ、君がおらねばハリーは危うかったかもしれぬ。よくぞ時間を稼いだ。それが君の戦果じゃ」

きっしょ。雑に下の名前で呼んでくんな馴れ馴れしい。効きすぎたわ、うぇ。

「はいっ!」

ぺっ!!耳腐るわ!!

 

「では帰ろうかの。()()()()()じゃ」

ダンブルドアはポッターを宙に浮かせた。

 

「時に、お主はその鏡で何が見えたのかの?」

(うーわ、デリカシーゼロかこの爺。乙女の秘密だっつーの……

まぁいいか、信用得られそうだし)

「友人たちと楽しく過ごしている様子でしたわ。(ほんとむかつくわね。こっちも見たろ)

──校長は何が映りますの?」

セラフィーナは気付かれずに無言で気づかれずに発動できる中で最強の開心術を行使した。二回やられてるし一回くらいいいでしょ、クソが。

 

「わしか?厚手のウールの靴下を一足、手に持っているのが見える」

──とかなんとか言っているのをガン無視して、潜る。

(ドラゴンの血の活用法や賢者の石の学術的貢献、ホグワーツの偉大なる校長、グリンデルバルドとの伝説的決闘……のみならず、いずれヴォルデモートを倒すことになる新世代の英雄ハリー・ポッターを導いた伝説的な師……誰もが畏れ敬う姿……に対して飄々と振る舞う奇矯な老師……マーリンを超える、聖人……?……ふぅん……げっろ。きっしょ)

 





この世界ではアリアナは映っていませんでした。


──はい、こういうことです、本作。
繰り返しになりますが、扱い最悪ですので。ほんとに。
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