スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄 作:魔法史編纂委員会
まぁ、官僚って得てしてそんなもんですよね
セラフィーナは執務室の魔法通信機に切り替えて状況をモニターしながら第1次報告書をガリガリと書き始めた。
しばらくしてコールが鳴る。
「こちらフェアリー01、状況報告を受ける。進捗を。送れ」
「フェアリー01、こちらピクシー04。目撃情報の収集は完了しました。証言が複数ありますが、共通点として車両の形状、進行方向、上昇・下降のタイミングが一致しています。送れ」
「確認した。次、飛行経路の特定は?送れ」
「経路の特定も完了しました。空飛ぶ車が出発した位置からの詳細な飛行ルートが確認され、目撃証言と一致しています。確度は高いです。送れ」
「よし、目撃者の特定は?送れ」
「目撃者の特定作業は進行中です。当局全体で対応していますが、人数が多いため、かなり時間を要しています。ただし、整理が進んでいるため、間もなく全員の確認が取れる見込みです。送れ」
「素早く進めろ。時間をかけすぎるな。終わり」
(というか、あー、もう!新入生歓迎会行けなくなったじゃない!どうしてくれようか……)
セラフィーナからどす黒い
◆ ◇ ◆
「ゴーント捜査官、聞き取りの第一報資料です。ご査収ください。では」
書類に目を通し──
「はあ!?!?」
叫んだ。流石に叫んだ。
それから表向き冷静に取り繕う。
ま た か よ あ の グ リ フ ィ ン ド ー ル の バ カ コ ン ビ ! !
ああ、帰りたい。マジで帰りたい。今この瞬間にやる気ないなった。
プリン食べたい。シャワーでいいからお風呂入りたい。
◆ ◇ ◆
「フェアリー01、こちらハーピー03。忘却術士本部への依頼は完了しました。記憶操作の準備が整っており、直ちに開始されます。マグルへの影響は最小限に抑えます。送れ」
「了解。完了次第報告せよ。終わり」
(なんで完徹したあとこんな働かされてるの?私いたいけな12歳よ?どこかに児童相談所はないのかしら!)
……いや、仮にあったとしても児相が逃げるわこんなクソ案件。
◆ ◇ ◆
「フェアリー01、こちらウィスプ02。魔法事故リセット部隊の手配は不要と判明しました。送れ」
「よろしい。その点については、手間が省けたわね。終わり」
(もうやーだー、おうちかえるぅー)
◆ ◇ ◆
「フェアリー01、こちらハーピー03。記憶操作、完了しました。」
「了解。見落としはないか、送れ」
「現在、捜査範囲を広げて確認中です。送れ」
「了。初動対応は終息したと見なす。以後、捜索シフトにて抜け漏れを念入りに対応せよ。時間がかかってもよい。……そうだな、1時間でゼロ件を目安として、終息と判断したら撤収指示を仰げ。送れ」
「了解。終わり」
(あ、
「ごめん誰かぁ〜、警備課の冷蔵庫から
「はっ、ただいま」
「ありがとマイク。あ、あんた子持ちでしょ、そろそろ帰んなさい」
「セラ捜査官は……」
「今夜は泊まりかなー。気にせず明日朝から来てくれれば助かるから。退勤したら仕事忘れて家庭大事にしなさいよ」
「はっ!」ビシィッ
(あたしが言うセリフじゃねーのよこれ……)
◆ ◇ ◆
「フェアリー01、こちらクラップ04。対象の親宅にて、大量の不正なマグル製品を発見し、押収作業を依頼しました。とんでもない数です!製品の種類、量、またその不正使用に関する証拠が確実に確認されています。送れ」
「押収作業の進捗は?送れ」
「現在、押収作業は順調に進んでいます。関係者に確認を取っており、作業の完了は15分程度を見込んでいます。送れ」
「よし。押収作業が完了したら、分析を始めろ。送れ」
「了解です。押収が完了次第、即座に分析を開始します。終わり」
(やはりね……さらに仕事増やしやがって……)
セラフィーナはすぐに警備課を呼び出した。
「ゴリアテ02、こちらフェアリー01。対象の親である被疑者の逮捕を許可する。即時に実施しろ。送れ」
「了解、フェアリー01。警備課がすでに現場に向かっています。対象の親は現在自宅にいますので、迅速に取り押さえる予定です。送れ」
「現場の状況を逐次報告しろ。相手が抵抗する可能性があれば、対応策を講じろ。送れ」
「現在、抵抗の兆候はありません。押収作業中に確認した状況からも、無理な抵抗をする可能性は低いと見ています。送れ」
「了。ただし油断するな。目撃者や証拠が全て無事に回収できるまで、警戒を怠るな。送れ」
「了解。逮捕後、すぐに取り調べを行い、今後の対応を仰ぎます。送れ」
「よし。進捗次第、再度報告しろ。送れ」
「了解しました、フェアリー01。終わり」
(まぁこんなところかしらね……?あとは事態の終息を待つだけ、だといいけど。油断はしないけど。
あーお腹すいた。カレー食べたい。いや無理だわ、いま固形物食ったら絶対吐く)
通信は終わらない。
◆ ◇ ◆
続々と上がってくる報告を元に第7次報告書を書きあげたセラフィーナは伸びをした。
肩がバキバキと、およそ乙女からしてはいけない音が鳴る。
ふと時計を見ると深夜1時を回っていた。
「ご苦労さん」
少し離れたテーブルで書類を書き散らしていた統括理事官のガウェインが歩いてきて肩を叩いた。
「公務ですから不満はありませんが──その、一言だけ。何なんですかね!?連中は!!」
「気持ちは分かるぞ。だが公安部なんてこんなもんだ、諦めろ」
言いつつ肩を揉んでくれた。絶妙に笑っているのがこっちまで笑えてくる。あは、あはは。
「あ゛ー効゛く゛ぅーー」
「まぁ、なんだ、
セラフィーナはがっくりと肩を落とした。
◆ ◇ ◆
急ぎでセラフィーナの判断が必要な報告はほぼ出揃ったので、新聞社と
本当は一眠りしてからにしたかったが、今寝ると確実に翌日の夕方まで寝そうだったので目覚めの水薬をキメてからホグズミードに姿表しした。本日5本目である。薬は容量用法守って……うっさい!黙れ!
ホグズミードから学校までは遠いが、ここから先は姿表しができない。すぐにでも寝たかったのでセラフィーナは
(うひょー、すごいわぁ。時速300キロは出てるかしら?全然フラつかない、さすが私の可愛い
ホグワーツで唯一の入口である校門の前に立ってからセラフィーナはふと気づいた。
あれ、これ私入れないんじゃね?
(あーけーてー!!)
セラフィーナはフクロウを飼おうと固く決意した。もうやだ。ぜんぶやだ。