スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄 作:魔法史編纂委員会
走れルシウス
ルシウス・マルフォイは激怒した。かの
自分自身が盟友ギャレットと共に複雑怪奇な官僚政治を駆使して設立したその公安部から手紙を受け取った彼は、怒りのあまり手紙を握りつぶした。
「ドビー!!!!」
召使いはバチンと音を立てて姿を現した。
ルシウスは恐ろしい顔で怒鳴りつけた。
「貴様の愚行は許し難い!お前が我が家に与えた損害、そしてその裏切りはとてもじゃないが見過ごせん!もはや我がマルフォイ家に仕える資格など微塵もない!この場で解雇する!二度と顔を見せるな!」
そう言い彼は古い靴下を投げつけた。
「ご主人様、どうかお許しを……ドビーはただ、善き意図で行動したのです!ドビーは危険を察知して、ご主人様やご家族を守るために…ほんの少しだけ、ほんの少しだけ……」
ドビーは耳をひきちぎりながら続けた。
「ドビーは裏切るつもりなど決してありませんでした!でも、でも…ドビーは間違いを犯しました……本当に申し訳ありません、どうかお慈悲を!」
「黙れ!貴様のくだらぬ言い訳など聞きたくもない!『善き意図』だと?その愚かな行動で我が家をどれだけ危険にさらしたか分かっているのか!貴様の勝手な判断が、どれだけの損害を生んだか考えたことがあるのか!」
ルシウスは杖を振り上げ、ドビーの当家に関する記憶を抜き取ってから床に叩きつけた。
「貴様など二度とマルフォイ家の敷居をまたぐことは許さん!今すぐ消え失せろ!この裏切り者め!そして二度とその醜い顔を見せるな!」
それからルシウスは椅子に深々と倒れ込んだ。
内容自体はポッター達の捜査の課程で浮上した召使いの暴走を、ガウェインと相談の上内々に改札の故障として処理したのでそちらは"よしなに"対応するように、ということである。ただし、文末にはこうつけ加えてあった。
「……
わたくしどもの側も、先日の非常事態収束にあたって、
ただ、その
あれほど高貴なマルフォイ家の下僕が、いとも容易くご主人様の威光を理解できなかったとは、なんともお気の毒。
あなた様ほどのご才覚がお有りでしたら、このような瑣末な問題に取り乱すことなく、即座に『お片付け』なさるのは当然でございましょう。
次回、こうした小さな行き違いが生じた時には、ぜひ先に一報いただければ嬉しゅうございます。
休暇になりましたら是非またお茶会を致しましょう。
ごきげんよう。
ルシウスはセラフィーナに用意する茶菓子をどこの店で調達するか真剣に考え始めた。
◆ ◇ ◆
その頃、ダンブルドアもまた手紙を受け取っていた。
「魔法警察庁 公安部 警告通達
文書番号:MPSEC-24-1220
発行日:1992年9月7日
宛先:アルバス・ダンブルドア校長殿
件名:ギルデロイ・ロックハート教授に関する緊急警告
魔法警察庁 公安部は、ホグワーツ魔法魔術学校における闇の魔術に対する防衛術教授、ギルデロイ・ロックハート氏の雇用継続に関し、以下の通り強く警告いたします。
1. 能力の欠如
ロックハート氏は、内部関係者の証言により、実務的・教育的能力を著しく欠如していることが判明しています。闇の魔術への対処は極めて専門的な知識と技術を要するにもかかわらず、同氏は基本的呪文の正確な発動すら満足に行えない状況です。
2. 教育上の重大な支障
ロックハート氏の授業は、実質的な防衛術の修得を生徒に提供できていないとの報告を受け取っております。これにより、生徒は確立された教育基準を満たせず、魔法界における将来の安全保障にも影響を及ぼす恐れがあります。
3. 学校運営への悪影響
本人が教育機関の中核を担う立場にあるにもかかわらず、その責務を果たしていないことは、学校全体の信頼性を損ね、さらには魔法界の秩序維持にも悪影響を及ぼし得ます。
つきましては、貴校校長として、ギルデロイ・ロックハート氏を即刻解雇することを強く要求いたします。貴校が当局からの警告を無視して同氏の任用を継続する場合、結果として生じる安全上・教育上の問題に対し、魔法警察庁公安部は必要な措置を講ずる用意があります。
本通達を受領後、速やかに対応策を講じ、その結果を文書にて報告するよう求めます。
魔法警察庁 公安部」
ダンブルドアは全く顔色を変えずに、そのままその手紙を暖炉に放り込んだ。
(なにやら小蝿が飛び回っているようじゃのう……)