スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄 作:魔法史編纂委員会
あえて言っておきますが、本作での扱いは最悪です。あしからず。
ハーマイオニーがレイブンクローに組み分けられたあとはすんなり進んでいった。そして、
「マルフォイ、ドラコ!」
幼馴染の組み分けにセラフィーナは注目した。
優雅に歩いているつもりだろうが、セラフィーナ目線では緊張が隠しきれていない。
椅子に座り、マクゴナガル教授が帽子を被せる……という間もなく、
セラフィーナほどフライングではなかったものの彼の頭と帽子が触れるや否や、帽子は、
「スリザリン!」
と叫んだ。
ドラコは気取った様子で歩いてきて先輩方から歓迎を受けたあと、セラフィーナの隣に座った。
「よかった、グリフィンドールに行くんじゃないかとヒヤヒヤしていたわ」
「そうなったら
「あんたの魔力じゃ鼻血も出ないわよ」
「言ってろ」
「ざぁこ」
いつものやりとりである。
組み分けを見ていると、ドラコの取り巻きであるクラッブとゴイルがのそのそとやってきて、彼の隣に座った。
「お前たちもちゃんとスリザリンに組み分けられたのか」
「「ああ」」
もそもそと二人は返事をした。いつものメンツである。パーティーとかでも。
◆ ◇ ◆
組み分けは順調に進み、『P』まで来た。
「ポッター、ハリー!」
大広間が一瞬で静まり返った。セラフィーナも釣られて彼に注目する。
ハリーは前に出て椅子に座り、帽子を被せられた。
皆が固唾を飲んで見守る中、またしても帽子は沈黙した。
ややあって、
「グリフィンドール!」
帽子が叫んだ。
グリフィンドールのテーブルは皆立ち上がり騒然としている。一方でスリザリンのテーブルにはふぅん…という空気が広がり、おざなりな拍手がまばらに上がった。
◆ ◇ ◆
残りの組分けが終わり、大広間がガヤガヤとした声で溢れているとマクゴナガル教授がスプーンでコップを叩き、生徒は再び静まり返った。
そしてダンブルドアが立ち上がる。
「新入生の諸君、ホグワーツへようこそ!では宴の前に一言二言……」
新入生たちは校長がどんな厳粛な訓示を始めるのかと少し身構えた。
そして、たっぷりと溜めてからダンブルドアは叫ぶ。
「
──入学おめでとう。以上じゃ」
同時にテーブルの上の無数の大皿が食べ物で埋め尽くされた。宴の始まりである。
「話には聞いていたけれど、やっぱり頭おかしいんじゃないかしら、あの爺」
というか、怖い。どういう人格?もはやホラーである。
「同感だね、父上も事あるごとにそう言っていたよ」
「そういえばルシウスおじ様は
「ああ、よく愚痴を聞くよ」
話しながらも取り分ける手は止まらない。ローストビーフ、七面鳥、ソーセージ……
「ちょっと肉に偏りすぎじゃないかしら」
そう呟く。セラフィーナの家ではあまりごちそうらしい料理は出ることが少ないため、たまにはいいか、とその料理を堪能しはじめた。胃もたれが心配だが。あとで胃薬でも調合しよう。
◆ ◇ ◆
挨拶回りしつつ、よく食べた。デザートも終わり宴が発散しつつあるなか、再びダンブルドアが立ち上がった。
「皆よく食べ、よく飲んだ事じゃろうからいくつか。まず構内の森は危険なので立ち入り禁止じゃ。上級生も注意するように」
(──これは行くしかないですね)
"危険なので立ち入り禁止"ならば、セラフィーナにとって危険はないので立ち入り禁止は適用外でいいはずだ。理屈の問題である。それに、絶対に面白いものが蠢いているはずだ。当たり前だよねぇ?
「それから管理人のミスター・フィルチから、授業の合間に廊下で魔法を使わないようにとのことじゃ」
(──なるほど、バレないようにやれと)
違う、そうじゃない。
「最後に、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右手の廊下に入ってはならぬ」
(──もちろん行ってみろってことですね!)
こんな煽り方をされて行かない方が失礼ではないか?とセラフィーナは本気で考えている。これは儀礼の問題であり、クエストの勧誘である。何らかの試練なのは間違いない。学校に慣れたら夜にでも行ってみよう。
……いや、これは競争になる。なるはやで行こう、とセラフィーナは心に決めた。
「それでは寝る前に校歌を歌いましょう」
ダンブルドアは杖を振り、歌詞を空中に描いた。
「皆、自分の好きなメロディーで。では、さん、はい!」
(は?)
「は?」
いけない、声に出ていたようだ。
周りを見回すとスリザリンのテーブルは誰も口を動かしていなかった。
そして隣のドラコと目が合う。
「あんな恥ずかしい歌歌えるか!」
「歌ですらないわよね。音楽に失礼」
「「……」」
「ああ、音楽とは何にも勝る素晴らしい魔法じゃ」
ダンブルドアは涙ぐんでいた。
((やっぱりこの爺、頭おかしい……))
こんなのが校長かと思うと頭が痛くなってきた気がしてきた。
……というか、やっぱり怖い。どういう感性してるの。
「それでは就寝!」
ダンブルドアが手を叩くと机の上の皿が消えた。
がやがやと生徒たちは立ち上がり、ぞろぞろとそれぞれの寮へ向かって歩き出す。
◆ ◇ ◆
地下の一角に到着すると、先導していた監督生が立ち止まった。湿った石の壁からどこからともなく蛇とともに扉が出現した。
「純血!」
そう叫ぶと扉が開く。
「ここがスリザリン寮よ、合言葉を忘れないように」
そう説明する監督生の言葉を話半分に、新入生たちは『わーお』と感嘆の声を上げた。
内装は少し暗く、淡い緑色で統一されている。品格があり落ち着いた雰囲気だ。大きなガラス窓は湖底に開いており、今は真っ暗だが昼間は大イカが悠々と泳いだりしている……と聞いている。地下で湖底であるにも関わらず、室内はジメジメしておらず、実に快適である。
「男子はあっち、女子はあっちね」
新入生たちは分かれて自分の部屋へ向かった。
セラフィーナの部屋は三人部屋だった。十分に広い部屋で中央にはおしゃれな暖炉があり、大きな天蓋付きベッドが置かれ、アンティークなドレッサーも備え付けられている。
ホグワーツ特急に置いてきた荷物はいつの間にか運び込まれ、ベッドの前に置かれている。……と言ってもセラフィーナのそれは鞄一つとポーチくらいだが。
後から入ってきたルームメイトはパンジー・パーキンソンとダフネ・グリーングラスの二人だった。
「まぁ薄々そんな予感はしていたけど」
「ええ、そうね」
「組み合わせるならこの三人よねぇ」
いわゆる名家といえば、である。パーティーでもだいたい一緒にいるくらいには。
「変わり映えしない面子だけど、改めてよろしくね」
とダフネが言うと、
「ええ」
「うん」
と二人も同意した。
このメンツなら猫被りなんてする必要はゼロだ。セラフィーナはそのままベッドに飛び込んだ。ふわふわ。
「そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」
は別の訳を当ててみました。
正直言ってどう訳したらいいのかわからんレベル。怖いわ。
おそらくは各寮から他の寮を見たときの見方、ですね。