スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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2-19 事後処理

セラフィーナが捜索の報告を行うと、即座に上司であるガウェインから魔法通信が入った。

「ゴーント、今問題ないかね?」

「はい、例のトランクの執務室にいます」

「結構。それで報告の件だが……」

「クロですね。灰色という名前の、赤混じりのどす黒いナニカです」

「だな……」

しばらく沈黙が流れた。

「捜索は非合法なものだから罪には問えん。摘発しようにもさすがに校長室内は現状、権限が及ばん」

「ですよね……」

「それとリストだったか?お手柄だ。不死鳥の騎士団反社会的主義者の名前が割れたのは極めて価値が高い。これで当局としてもマークしやすくなる」

「ありがとうございます」

「それでもう一方のリストだが……

そのうちの一部の者について、極秘で共有してくれた例のゴーントの護符、あれで呪われた可能性がある。有名なところで言うとアブラクサス・マルフォイ氏やオリオン・ブラック氏、フリーモント・ポッター氏などだ。あの頃原因不明の病で何人もの純血当主が命を落としている。特に故マルフォイ氏などはどう考えても龍痘にかかる理由がなかった。感染経路が不明だったのだ」

「証拠がない以上、罪には問えませんがね……」

「うむ。しかし君の名まで載っていたとはな。相当嫌われているな、ゴーント」

軽い調子でガウェインは言った。

「笑えませんわぁ……」

 

ガウェインは直ぐに厳しい口調に戻った。

「ああ。前も話したが身の回りには十分注意するように。目を離した飲み物は口をつけるな。できればスキットルを携帯してそこからしか飲むなと言いたいくらいだ。食事も自分で用意してもらいたいところだ。さすがに学生なので難しいのもわかるが……」

「最近の贈り物は徹底的にチェックしてから開封しておりますし、ホグワーツのハウスエルフは定期的に観察して掌握しておりますわ」

「重畳。そうしろ。とにかく絶対に気取られるな。文字通り消されるぞ」

「ゆめゆめ注意します」

「よし。引き続き調査しろ。なにか動きを掴んだらすぐ連絡してくれ」

「了解であります」

「それからバジリスクの件だが、検討を重ねた結果、公表は伏せることに決定した。君の名誉回復の為には公表すべきかもしれんが、インパクトと情報量が大きすぎる。特に校長には分霊箱の件は隠しきった方がいいだろう。クレイグ氏……だったか……?そのバジリスクは君とはいい関係を築いているのだろう?」

「ええ、色々会話しましたが、あくまで()は学校の守護者であり、基本的には眠っている存在だと。休眠につける手順も聞いております」

「第三者による動きは多少心配だが、少なくとも君が在学中の間は問題ないだろう。それよりは無用の混乱を避けた方がいい、というのが上級次官(父君)大臣顧問(ルシウス氏)の決断だ。疑われたままなのは済まなく思うが」

「いえ、公務ですので」

「そう言うと疑わなかった。それと、

──例の日記だが、あれはマルフォイ氏の私物だったそうだ。処分のため例のジネブラ・ウィーズリーの荷物に忍び込ませたとか」

 

はぁ!?

思わず公務の仮面が取れた。

「いや、私も同じ反応をした。さすがに私も文句を言ったよ。それから上級次官が烈火のごとくお怒りになっていた」

「でしょうね、一言二言よろしいですか?」

「構わん、吐いておけ」

馬鹿ですの!?いや、馬鹿ですわ!!あのお方何を考えて!?ホグワーツの生徒が全滅してもおかしくない大惨事になりかけていましたわよ!?捨てるにしても焼却処分(悪霊の火)とかもっと色々やりようがあったでしょうが!?

「ああ、正直に吐いてもらったが、なんでも被害者の父親、アーサー・ウィーズリーに最後のトドメを、と魔が差したらしい」

「ああもう馬鹿!!休暇になったら覚悟しておくように、と理事官からお伝えしていただけますか?」

「ああ、全て伝えておく。まあ、君の父君に相当絞られてたからな、君からも言ってやってくれ。私からは少々言いづらい点もあるので──」

「あの屋敷の孔雀、毟って焼き鳥にして食ってやろうかしら……」

「程々にな……」

「それから、特にマルフォイ氏には他に闇の魔術が篭められた品があったら次の休暇で全て私に見せるようお伝えしておいてくださいまし。私が確認します」

「それがいいだろうな。なんせ普通の部署には出せんものも多いだろう。本来、それを検挙するのが我々の仕事だが……」

「まぁ、事情はよくわかりますので」

「「はぁ……」」

二人揃ってため息がその場を支配した。

「……まあ、以上だ。何か動きがあったら知らせる」

魔法通信を切り、セラフィーナは再びため息をついた。最近癖になっている。そんな自分に気づいて彼女はさらに深いため息をついた。

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

校長室に入ったダンブルドアはほんの少し首を傾げた。

(なにか違和感があるが何じゃろうな……まぁよいか。

しかし教育委員会といい、ちと動きが目障りじゃの。

わしも古い仲間に声を掛けておくか。本格的に動いた方がよいかもしれぬ。ヴォルデモートといいゴーントといい闇の魔法使いが暗躍しておるからの。()()()()で道を照らすのがわしの使命じゃ。ゴーントは復学してしもうたが、徹底的に監視せねばなるまい。スリザリン内で着実に信奉者を増やしておるようだしの)

大いなる善のために。昔掲げていたそんな言葉が脳裏を過った。

(最悪、アレを動かすとするか。劇薬には劇薬を。最後に拳を突き上げるのはわしじゃ)

 

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

それから日が経ち、休暇を迎えたセラフィーナはキングズクロス駅から直接マルフォイ家に向かった。

人払いをして耳塞ぎ呪文を掛けたあと、彼女は怒鳴っ(ブチギレ)た。

「この()馬鹿!!!」

 

それは2時間続いた。

ルシウスがげっそりとした顔で夕食に姿を現すと、息子のドラコと妻ナルシッサは首を傾げることになる。

 

セラフィーナはこの日のディナーを固辞した。さすがに気まずいというか。また今度ゆっくり。まったくもう。

動機はガウェインから聞いた通りで、当局をクビになったウィーズリー家にトドメを刺したくて魔が差したらしい。そして日記の正体はもちろん知らず、厄介払いも兼ねていた、とのこと。

色々と説教はしたが、特に「嫌いな相手になにか仕込むのは咎めませんが、ひとつ間違えたらドラコ君が死んでいたかもしれませんのよ?あなた耐えられますの!?」と詰めたのが一番効いていた。

それと、

「おじ様のことは好きですし、この件でなにか関係を変えようとは全く思いませんから今後も変わらず仲良くしていただきたいとは思いますけれども、このようなやらかしをなさる以上、魔法大臣をお任せすることはできません。まずは慎重さと冷静さを身につけてくださいまし」

と、これで顔面崩壊していた。まぁ、だって、そうだもん。

いちおう、孔雀の焼き鳥は勘弁してあげた。珍味は気になったが。

なんで大臣候補だった親戚にこんなこと言わなきゃいけないのよ。まったくもう。

 

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