スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄 作:魔法史編纂委員会
初回の変身術の授業ではマクゴナガル教授自身がトラ猫に変身してみせた。
拍手が起こり、教授は満足そうに頷いてから
(確かマンドレイクの葉を1ヶ月口に含んでから月光に当てて、瓶の中で髪の毛と日光に当たらない夜露とドクロメンガタスズメの繭を加えて雷雨になるまで毎日呪文を唱えて、最後に完成した魔法薬を飲むと
◆ ◇ ◆
「占い学って、とってもいい加減だと思うわ!」
その日の放課後、
「そういう学問だからねぇ〜」
セラフィーナはいつものようにティーセットを用意しながら返した。
「占い学で優秀ってことが、お茶の葉の塊に死の予兆を読み取るふりをすることなら私、いつまであの学科とお付き合いできるか自信ないわ!あんなの数占いの授業と比べたら全くのクズよ!」
荒れている。授業をこきおろすなんて初めて見るかもしれない。
「私はマグル学の方がクソだと思うけどね」
「あれは斬新な見解だったわね。……じゃなくて占い学!なによあれ。もっと心を広げて〜内なる目で未来を見て〜俗世を見透かすのです〜!」
ハーマイオニーは独特な芝居がかった声をバカにして言った。
「あら、占い学そんな嫌い?」
「教授もだけど、不正確だし当てずっぽうが多すぎ。あんなの学問じゃないわ」
「ハーミィ、なんか言われた?」
「言われたも何も!私にはオーラがなくて未来の響きとやらの感受性が全くないんですって!」
ぷんぷん丸であった。
「セラもクズだって思わない?占い学」
セラフィーナは慎重に言葉を選んで言った。
「私は嫌いじゃないわよ、占い割と好きだし」
「えー、全然論理的じゃないでしょ」
「だってそういう学問でしょ……。ね、ハーミィもしかして箒乗るの苦手でしょ」
セラフィーナはハーマイオニーが飛ぶ姿を見たことなかったが何となく想像できた。
「ええ!そうですけど!?」
「やっぱりねぇ〜」
セラフィーナはうんうん、と頷いた。
そして沈黙が流れる。
「……え、おしまい?」
「いやぁそうだろうなって」
「何一人で納得してるのよ!」
(荒れてんねぇ〜)
「えー、じゃ言っちゃうけどハーミィ、感覚で物事を理解するの苦手でしょ」
図星であった。
黙ってしまったのでセラフィーナは続ける。
「箒って感覚が全てじゃない?占い学も一緒。適当にぼーっとしてると見えてくるものがあるわよ、たぶん。理詰めで解釈考えてもおもんないから、あんなん。
あと結果信じてないでしょ。手放しでぼーっと『そうなんだなぁ』って受け止めてるとぼんやり未来が浮かんできたりするのよ」
ハーマイオニーは急に弱気な顔になった。
「私向いてないわ……」
セラフィーナは元気づけるように言った。
「や、今言った通りその感覚覚えれば占いはできるようになるわよ、論理を全部一旦捨てるの。バカになった方がいいわよ」
「それが出来たら苦労しないのよ!」
「知 っ て た」
「もう!」
「あ、じゃあちょっとこれ試してみてよ」
セラフィーナは懐から明るいピンク色の液体が詰まった小瓶を取りだした。
「なにこれ?」
「『愚者の煎じ薬』。飲むと一時的に知能が低下するの」
「なんでそんな物が都合よく出てくるのかしら……」
「いやぁ、校長の食事に盛ろうかなって」
「!?」
「まあまあ飲んでみて、それでタロット占いでもしてみましょ」
ハーマイオニーは躊躇いながら瓶を受け取り、そして飲んだ。
すると途端にとろんとした目付きになった。
「なんかふわふわするー」
セラフィーナはカードを取りだした。とりあえず一枚引いてみる。
──あ、愚者だ。ウケる。マジウケる。成功かな。それじゃまあ、
「はいカード混ぜて」
「えへへー、世界が綺麗ー」
「はいはい、そうね。じゃあ向きを決めて三つに分けて、一枚引いて頂戴」
引かれたカードはワンドの10の正位置だった。
「何が見える?」
「えー、なんか疲れてる自分が見えるー」
「そうね、他にはどう?」
「課題がたくさん、本が積み上がってるわねー」
◆ ◇ ◆
しばらくしてセラフィーナは解毒薬をハーマイオニーの口に突っ込んだ。
はっ、とハーマイオニーの目に光が再び宿った。
「今私……」
「未来、見えたでしょ?」
「ええ、見えたわ」
ハーマイオニーは戸惑っている。
「その感覚で占いやるといいわよ」
「なんか、心が曇ってるって言われたのちょっと分かったかも……」
ハーマイオニーは再び落ち込んだ様子を見せた。
「ハーミィ頭いいからね、考えすぎなのよ。論理で片付かないことの方が世の中多いわよ〜」
「そうね……セラはすごいわ」
「え私?」
「だってセラも頭いいし。でも見えるんでしょ?」
「んー、ぼーっとしてる時とか大したこと考えてないし」
「そういえばセラたまにポンコツだものね」
「ポンコツゆーな!」
「あ、そういえばね、レイブンクローの後輩に面白い子がいて」
「ふぅん、どんな?」
「なんかこう、変なメガネかけてたり蕪をイヤリングにしてたりするんだけど……」
は?ウケる。
「ぶっは、なにそれ。ちょっと会ってみたいわ」
「うん、そんな気した。私ちょっと苦手だったけど、もしかしたら──いや、セラなら気が合いそう。
だし、私もちょっとその子の見方変わったかも。なんていうか、本当に不思議な感性持ってる子なのよ……」
「へーぇ。なんて子?」
「ルーナ。ルーナ・ラブグッドちゃんよ」
「へえ、覚えとく。今度どっかで──どこがいいかなぁ。
ここはちょっとアレだし……
……あ、じゃあ喫茶店で集合しましょ」
「喫茶店?どこの?ホグズミード?あそこ2年生は行けないでしょ、ルーナは後輩って言ったじゃない」
「あ、違う違う、地下教室にあるのよ」
「え?」
うん、あそこがいいでしょ。ハーミィも意外と
「え、どこ?そんなの無いでしょ??」
「あーいいからいいから。こんど連れてってあげるから。あそこのマスター、すっごい面白い方なのよ。詳細は当日まで内緒」
面白いっていうか、弄ったら面白いっていうか、ねっとりした蝙蝠みたいな方だけど。
「でもあそこ紅茶めっちゃ美味しいから期待していいわよ」
それはガチ。1年生の頃から通ってるし。
「う、うん……」