スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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3-8 盗聴

その後のルーピン教授の授業は赤帽鬼(レッドキャップ)河童(カッパ)と続いた。

ごく普通の授業で、なんならなかなかいい授業であった。教授は語り方が上手い。セラフィーナは徐々に初回の授業で掘り起こされたトラウマを忘れつつあった。

なお、ドラコはどこから聞いてきたのかルーピン教授がグリフィンドール出身と知ってからそのみすぼらしい見た目をひそひそ声で嘲っていた。セラフィーナはそれを微妙な気持ちで聞いていた。服より授業の中身が大事だと思うが、だからといって初回の授業はセラフィーナにとって良かったとは言えない。擁護する気も貶す気も起きなかった。

 

 

数占い(数秘術)は手強い科目だった。担当のセプティマ・ベクトル教授は理論家でがんがん進めていくタイプだった。

セラフィーナは非常にこの分野を気に入っている。数占いとは言っても、実際のところは"魔法数学"といったほうが実態に合っている。呪文学と組み合わせれば理論の解明につながっていくし、ルーンと組み合わせればたいていの道具が作れる。魔法陣(魔法プログラミング)を描いても良い。様々な分野の基礎となる、いわゆる学術的分野といえる。

セラフィーナは、せっかく学び直すなら、と図書館で本を探して何冊も読んで先進的な掘り下げに熱中した。ハーマイオニーもこの科目はお気に入りで、二人で望みの部屋(必要の部屋)に籠って本を読み耽る。

 

ところで、この賢者の石、79と118っていう数字が解析で出てきたけど、これ陽子数と中性子数よね?錬金術の本に「数秘が」って書いてあったけど、これのこと?ふぅん。なんか錬金機構分かった気がするわ。え、じゃあ92と143だったらあの()()()()()がドバドバ……うん、さすがに嫌だわ。47と60/62(銀(Silver))とかにしておきましょ。

……どうやって答えあわせしよ。次の休暇でどっかのマグルの大学(オックスフォードあたり)すごい機械(ICP-MS)借りようかしら(忍び込んで勝手に)

 

 

それはさておき、

古代ルーン文字学もまた難しい方に分類される科目だった。担当のバスシバ・バブリング教授は厳しすぎず優しすぎずの分かりやすい授業を行った。ルーン文字は魔法を紙やその他の物体に刻み込むのに有用である。つまり魔法道具を作るのに強い味方となってくれる技術だ。

簡単な課題をやっている最中にふと思いつき、セラフィーナは『ルーンの完全辞典:象徴と呪文の解釈』をパラパラと捲った。

(マグルで言う盗聴器、作れるんじゃないかしら。アンスズ 『ᚨ』とラグズ 『ᛚ』を組みあわせて基本機能を作り、補助的にアルジズ『ᛉ』で秘匿性を高めて……)

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

数日後、

(でーきたー!)

完成した。見た目はただのレンガである。闇のグッズ専門店などに行けば似たようなコンセプトのものは置いてなくもないが、今回は特に秘匿に重点を置いて設計している。仕掛ける先はもちろん()()()だ。

(最近(校長)は外出多いみたいだからねぇ〜。どこで何やってるんだか。さっさと取り付けてきましょ)

完璧な目くらまし呪文で姿を隠蔽して校長室に忍び込む。

そして壁のレンガをひとつ抜き取って『反響の石(盗聴器)』と入れ替え、セラフィーナは素早く退散した。

ちなみに、鍵開けは相変わらず大変だった。なんというか、杖と鍵のバトルというか。杖も張り切るし、みょーに鍵は脳筋と性格の悪さを手応えで寄越すし。まあいいや。

(何が聞こえるかしら〜)

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

状況が動いたのはそこからおよそ1ヶ月後だった。

執務室(トランク)は音声が垂れ流しになっていて、誰かが校長室に入ってくる音を捉えたセラフィーナは耳をそばだてた。

飄々とした調子でダンブルドアは喋り出す。

「……おお、ハリー、ロナウド、よう来た。今日は二人に、ちと特別な訓練をしてもらいたくてのう。最近は物騒な話題が絶えぬじゃろう、シリウス・ブラックが脱獄した話は知っておるな? アズカバンから逃げ出すとは、なかなか並みの魔法使いではできん芸当じゃ。

そこでじゃ。わしは二人に、いざという時のための防衛術、いやそこから更に踏み込んで魔法の戦いについて、少しばかり手ほどきをしてやろうと思うのじゃ。闇の魔術への対抗策は、頭で学ぶだけでなく、身で覚えねばならぬからのう」

「あの……ロナルドです……」

(ふぅん……ポッターとウィーズリーを、ねぇ)

「実はじゃな、ホグワーツ内に闇の魔法を扱う()()()いるやもしれぬのじゃ。なにやら危ない企みを持っておる者()()()()しておる」

セラフィーナの顔に青筋が浮かんだ。

 

一方そんなことを知らないダンブルドアは続けた。

「心配せんでよい。わしが言いたいのは用心せよということじゃ。その者が何か企んでいるとして、状況によってはわしが手出しできぬ時があるやもしれぬ。そんな時に君らが自ら身を守り、()を守る術を心得ておれば心強いと思ってのう。

……まずは、呪文の的確さについてじゃ。咄嗟の時に、正確な呪文を繰り出せるかどうかで生死が分かれることもある。シリウス・ブラックや闇の魔法使いの脅威がある今、いつ何時、君らが狙われるかも分からぬ。そういう者が闇の魔法を密かに使うとなれば、教科書通りの防衛では間に合わぬこともあろう。」

「はい!」「……はい」

ウィーズリーが元気よく答え、ポッターは躊躇い気味に答えた。

「さあ、ハリー、ロナウド、杖を構えるのじゃ。わしが合図したら『失神呪文』をマネキンに撃ってみるがよい。素早く、確実にのう。頭で考えるより先に、腕が動くくらいに()()()するのじゃ。闇の使い手と向き合った時に躊躇っておればやられてしまうじゃろう──

さあ、やってみよ。『ステュピファイ(Stupefy)』じゃ。呪文は明瞭にの」

「あの……ろなるど……」

こうして、訓練が始まった。

 

 

セラフィーナは羽根ペンを投げ捨てた。……あ、石壁に刺さった。え、マジ?羽ペンがこんな深々刺さることある!?まあいいや。

(当然、要報告ねこれは。彼らを『正義の尖兵』にでも仕立て上げるつもりかしら。そして私は悪の魔法使い、ふふふ……。

ふざけんな!そんなにスリザリンが嫌いか!そっちがその気ならこっちも黙ってないわ!

しかしもっと情報が欲しいわね……。(校長)の服にも反響のなんちゃら(盗聴器)つけられないかしら……。さすがに無理か)

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

1週間後、再びダンブルドアは二人を呼んで戦闘の訓練を実施した。それを聞きながらセラフィーナは報告書をしたためる。

(個人的にはすぐにでも(校長)は葬って差し上げたいところだけど、それはそれとして結局こいつはどこまで()()()()()なのかしら?斜線が引かれたリストについて奴はどこまで関与してるのかしらね。穢れた血(ヴォルデモート)が言ってた、ポッターの親は既に死んでたってのも気になるわよね。

あーもう、シリウス・ブラックの件といい調べることが多すぎ!誰か代わってよもう!)

 

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