スリザリンの継承者と虚飾に満ちた英雄   作:魔法史編纂委員会

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3-12 ホグズミード

3年生になると月に一度、ホグズミード村に遊びに行くことができる。

魔法省から飛んだりする関係で何度か通過しているが、遊びに行ったことはなかった。

前回が初回の開放日だったが、失念していて、上司(ガウェイン)との定例会議と丸かぶりだったので断念し、日程を調整したので今日こそ行ける。

いまさら過度な期待はないものの、ホグワーツに缶詰になっているとそういった娯楽も楽しみではある。寮の友人とぞろぞろと校舎を出た。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

「この間のハッフルパフ・グリフィンドール戦はなかなかアツかったわね」

「ええ、やっぱりグリフィンドールは強いわね、ポッターはなかなかいい腕してる」

なんとなくミリセント・ブルストロードと話しながら校門を出た。割とフィジカル系というか、箒とかも好きな運動大好きっ子である。他のメンツもすぐ近くにいるが、なんとなく会話が分かれるあるあるである。

「同感。ま、でもウチの子(ミスティ)の敵じゃないかな、今年こそ全勝目指すわ。なんせ去年はウチ(スリザリン)対グリフィンドールの開幕戦、あたし()()()()食らって出れなかったから」

クィディッチももう馴染んだというか、もともとシーカーは試合運びとはだいぶ独立している。スニッチを追っている間はブラッジャーがガンガン飛んでくるものの、割と俯瞰で観察しながらスニッチを探しつつ、休憩で全体戦略のアドバイスをするような役回りである。他のメンバーはチームプレイがとにかく重要だが。

「あぁ、そうだったわね。それにしても、ポッターは箒の性能が追いついてないでしょう。乗り換えればいいのに」

「うーんそれね。ニンバス2001でもどうかしらね、それこそ貴方と同じようにミスリルアローにでも乗ったら──」

「だいぶ厄介ねそれは。ただ彼あんまりパワー系じゃないからどうだろう」

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

そんな事を話していたら到着した。

ホグズミードは純粋な魔法使いの村。ダイアゴン横丁のようなごみごみと一等地を取り合うそことは違ってなんというかゆとりがある。

まずはハニーデュークス、お菓子のお店である。ブラックペッパー・インプという、食べると口から魔法の火を噴いてしまう激辛のお菓子を買ってセラフィーナはほくほく顔である。辛いものには目がない。それから干しヒッポカンパス肉の詰め合わせとか。おっさんくさい、と友人に言われた。うっさい!

……甘いものも好きだけど。

というわけで空飛ぶ綿あめや山ほど種類のあるヌガーも大量に買い込んで店を出た。お菓子は三百ガリオンまで!いや、あの。冗談に決まってるでしょ。

 

続いて、ダービシュ・アンド・バングズという魔法用具店、スクリビュルス筆記用具店、バットワーシー雑貨屋……と順番に回って小物をわいわい騒ぎながら買ったり買わなかったりする。

擦ると消えるインクや何度も書き直せる羊皮紙はメモに便利なので消費も激しい。公文書には使えないが、学校生活を送るなかでのちょっとしたメモには便利である。

開けるとピンクのハートが浮かぶレターセットを買いかけてからセラフィーナは我に返った。

(あたし、ラブレター出したい相手とかいないわ)

誰か口説いてくれないかしら。しょぼん。

 

その後は友人たちがゾンコの「いたずら専門店」に行っている間にちょっと一人でドッグウィード・アンド・デスキャップという薬草専門店と、J・ピピン魔法薬店に繰り出す。大抵の材料は通販で済ませるし、どうしても急ぎで必要なら喫茶・蝙蝠(スネイプ教授の研究室)でくださいと言って貰えばいいが、なにぶん二角獣の角と毒ツルヘビの皮はいくらあっても足りない。梟で送れる量にも限界があるので数日おきに届けてもらっているが、ココで直接月イチで仕入れられるなら、と樽で買った。腐るものでもないし。

ちょっと急ぎ足で必要なものをざくざく買い込んだあと、ゾンコに走った。そりゃあたしだってみんなと見たいし。

 

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 

去年は公務があまりにも忙しくてやむなくちょくちょくサボっていたが、今年はクィディッチの練習は欠かさず参加している。

練習開始前にのんびりと箒の柄に巻いた新しいグリップを微調整していると、ドラコが横に座った。

「クリーンスイープの10号が発売されたって噂だね」

いつもの雑談である。

「ああ、あのツアラーねぇ。まあ旅行用には良いと思うけど……」

「箒雑誌では人気だけどな」

「マーシャルさんがおっしゃってたけど、アレ相当な広告料払ってるらしいわよ。あたしも同感」

「そうなのか!?……でも、納得感はあるな」

やたら()()()老年の箒評論家が持ち上げるのもあって、一般的には競技用とされている。確かにトップスピードは高いし乗り心地もかなりいいが、しかし競技用にしては箒自体が重く曲がりづらく止まりづらい。アマチュア大会で突破型のチェイサーが選ぶには決して悪い箒ではないが。

「だってマーシャルさん、去年の試乗会であのシリーズ持ってきすらしなかったでしょ、それが答えよ」

「あぁ……」

ぱんぱん、と手が叩かれた。キャプテンのマーカスが呼んでいる。練習開始だ。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

レギュラーメンバーと補欠・育成選手の合計13人を集め、マーカスは声を張り上げる。

「さあ、最初の試合がもうすぐだ。去年は初戦以外は完勝した。

今年こそは全戦優勝を目指すぞ。ハッフルパフはディゴリーが強いがチーム全体はそこまででもない。レイブンクローはよくまとまってレベルが高い。グリフィンドールは──ポッターが頭一つ抜けているが、()()()()には敵わないだろう」

あの、前から言ってますけど姫っていうの恥ずかしいんでやめてくれません?まあいいけど……。

カシウス、エイドリアン(チェイサーのお前ら)、それからマイルズ(キーパーのお前)も。今日もしごくぞ。

マルフォイとグラハム(ビーター二人組)、お前らは今日こそ一発くらい()に当ててみせろ」

二人が露骨にげっろ、って顔になった。なんでよぉ。飛んできたら避けてるだけなんですけど。

 

「……補欠組もサボるんじゃねえぞ。特にグレゴリー、ビンセント、ぼーっとしてたらブラッジャーの的にするからな。よし、始めるぞ」

サボりといえばところでマーカス先輩は卒業できるんですかね?成績だいぶヤバいって聞いたけど。しらんけど。

「で、あたしは……いつものですね、はい」

「ああ、そうだったな、補欠組(正規メンバーの対抗)にチェイサーの4人目で入るのと、たまに俯瞰で見ての指摘を頼む。スニッチをいじめすぎるなよ」

「じゃもっと性能良いやつ買ってきてくださいよぉ」

「……それより速いのは国際級(ワールドカップ用)しかないって前も話しただろうが。まあよしなに頼む」

「はぁい」

メンバーは三々五々と箒に跨って飛び立った。

 





ちなみに恒例の"伝わるひとには伝わるかもしれない車比喩"だと、
クイーンスイープはZ10〜Z40ソアラのイメージです。
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