不死は呪いというが、私はそうは思わない!
ああ!壊れないおもちゃって最高!
TT2プロトコル万歳!
はい、不死の煙よ月まで届けということで注意!
この作品には:
1:私のオリキャラ
2:雑な原作キャラクター再現
3:拙い文章
4:ロボトミーコーポレーションストーリーの勝手な解釈
5:自害描写
が含まれます
気をつけてね!
そんなの関係ねぇ!という方は最後まで読んでいただけるとありがたいです。
それではどうか、あなたの本が見つかりますように。
「現在、職員フィンは急激な精神汚染によるパニックを起こしています。さらなる事故の拡散に繋がるので迅速な対処が必要です。」
その報告は、端的に事態の深刻さを表していた。
「精神治療が可能な装備を保有したエージェントは?」
「現在0名です。」
「ああ…グスタフソンは彼方、グリフィンは後悔だったな。」
管理人は冷静さを保とうとしていたが、焦りは隠せていなかった。
…まずいな。
「管理人、落ち着け。フィンは今すぐどうというわけじゃないだろう。」
「ああ、そうだな。そうだ。冷静さを失ったらそこでしまいだ。」
端末を操作し、マイクに管理人が話しかける。
「グスタフソン、グリフィン。フィンがパニックに陥った。現在、情報部門第二廊下にいる。現場に急行してくれ。」
二人の返事は、スピーカーからは聞こえてこなかった。
だが──
グリフィンは悪態をつきながら、グスタフソンは血相を変えながら全速力で走り出す。
その様子が、画面越しに見えた。
「…間に合うといいが。」
「間に合う。いや、間に合わせる。」
こちら側からできることは、もう一つしかない。
「管理人、情報第二廊下に繋いでくれ。」
「言われなくとも。」
数秒後、マイクが情報第二廊下につながり、フィンの声がスピーカーから聞こえてきた。
「職員フィン!聞こえているか?職員フィン、応答してくれ!」
だが、返ってくるのは、意味の取れない譫言ばかり。
「顔っ顔が、顔があの女、壁ばかり見てたのに、顔がっ見えて見えて見えて見えて見えて見えて見えて見えて───」
「職員フィン、どういうことだ?」
だが、その問いに答えは返らない。
酷いパニックに陥っている。
「あいつが顔を見ただけでここまで取り乱すか?」
「幻想体は我々の常識を凌駕した存在だ。」
管理人の額を冷や汗が伝うのが見える。
「職員フィン!一度冷静になれ!だから──」
「死ッ!それは万人に平等に訪れる!顔を見えた。顔が見た!こっちを見た!どうせもう希望なんかないんだ!ここで生き残ったとしても、 一生苦しまされるんだ!」
「…」
管理人が言葉を失う。
もはやパニックという次元ではない。
完全に正気を失っている。
「管理人、代わってくれ。」
「しかし──」
「管理人!」
クソッ…
俺まで熱くなってどうする?
でも今は…
「あいつとの付き合いは俺の方が長い。頼む、任せてくれ。」
「…頼んだ。」
そう言って、管理人が椅子から立つ。
即座に管理人の席に座り、マイクに向かって話しかけ始める。
「おい、フィン!正気に戻れ!お前がおかしくなったらグリフィンを誰が支える!?」
だが、もはやフィンは何かを叫ぶことすらなかった。
理解不能な言葉を、ぶつぶつとつぶやくだけ。
「フィン!頼む、自分を取り戻せ!おい!」
「「フィン!」」
叫ぶと同時に、廊下にグリフィンが入ってくる。
「やっと来たかグリフィン!頼む、あいつを殴ってでも──」
言い終わる前にグリフィンはフィンの元へ辿り着いていた。
「テメェ!何を言ってやがる!」
そう言いながら、フィンの肩を強く揺する様子が画面越しに見える。
だが、フィンは虚ろな目をして虚空を見つめていた。
そのまま、何分かが過ぎてゆく。
何度フィンに呼びかけようと、
何度グリフィンが肩を揺すろうと、
意味などなかった。
「フィン!」
もう一人が廊下に入ってくる。
グスタフソンだ。
「グスタフソン!頼む、こいつをなんとかするのを手伝ってくれ!」
「当然…!」
同じように駆け寄ってくるグスタフソン。
しかし、結果は相変わらず。
誰が何を言おうと、何をしようと意味などなかった。
「おい!フィン!」
「…フィンッ!」
「職員フィン!」
「フィン!」
その時は突然だった。
止める隙などなかった。
フィンが手を頭に伸ばした。
手を頭にかけた。
そして──
ボキッ
鈍い音が、スピーカーから聞こえてきた。
長い、長い1秒だった。
時が止まったかのように、何も動かなかず。
モニターの映像も、隣にいる管理人も、俺も。
静寂。
静けさだけが広がる管理室。
その沈黙を破ったのは、アンジェラだった。
「『情報チームのフィンの死亡を確認しました。』」
振り向けない。
体が固まったようだ。
「…イェソドからの報告です。」
無情な報告。
そして、止まっていた時が動き出す。
「あ…」
魂の抜けたような、グスタフソンの声。
立ち尽くすグリフィン。
そして、糸が切れた人形のように倒れるフィンの体。
ドサッ
鈍い音。
人の死体など、もう見慣れている。
誰が死んでいて、誰が死んだふりをしているのかも区別がつく。
だからこそ。
「おい…フィン…何してんだよ…?」
グリフィンがフィンの倒れた体に話しかける。
「早く起き上がれよ…な…?」
ああ…
「グリフィン。」
「頼むから…」
…この会社のカメラはよくできてる。
あいつが流した涙すら見えるのだから。
「…グリフィン。」
「なあ…」
グリフィンが、床に膝をつく。
「なんで…」
「…」
フィンの死体は、もう動かない。
二度と動くことはない。
「ああ…」
隣で、管理人が呆然と呟いた。
「何が『悲劇を減らす』だ…」
自責の念に駆られている。
この場の誰もがそうだったろう。
…アンジェラを、除いて。
「管理人。」
「…なんだ。」
俺と管理人が、アンジェラの方を向く。
モニターが映す景色は、相変わらずだった。
「端末に、まだ押したことのないボタンが3つありますよね。」
「何が言いたい?」
アンジェラの目が、わずかに開いた気がした。
「そのボタンのうち、最も上を押してください。」
「…押すと、どうなるのだ?」
「見ればわかります。」
その言葉を聞いた管理人は、ゆっくりと端末に向き直り、端末を少し操作した。
すると、今まで何もなかったはずの場所が開き、3つのボタンが現れた。
赤い、一つ目のボタン。
カバーの掛かった二つ目のボタン。
そして、カバーに錠前がついた三つ目のボタン。
管理人は少し逡巡したのち、一つ目のボタンを押した。
その瞬間。
モニターの映像が異常を示した。
「アンジェラ、これは一体──」
「正常です。」
「…本当に──」
「ご心配なく。」
管理人が異常を疑うのも、無理はない。
俺だって信じられない。
なぜなら、俺の目には画面が…
「巻き戻ってる…?」
間違いない。
ただの逆再生?
それとも…
「アンジェラさん。」
「どうしましたか?」
「これはただの映像の逆再生じゃないだろう?」
「当然そうです。」
だとしたらなんだ?
まさか時の巻き戻し?
だがT社の技術はそこまで大規模ではないはず…
「…TT-2プロトコルか」
「その通りです。管理人。」
管理人が、何かを悟ったように呟く。
「管理人、TT-2プロトコルというのは…?」
「…T社と提携して開発された技術らしい。詳しくは私も知らない。」
「企業秘密ですが、もう少し説明を付け足しても良いでしょう。」
アンジェラがこちらに歩いてくる。
「それって俺も聞いていいやつなのか?」
「ええ、構いません。いずれあなたも体験することになりますから。」
「…はっ、そうか。」
体験したくないものだ。
「TT-2プロトコルとは、T社の特異点と、この会社の膨大なエネルギーを組み合わせて発明された新たな技術です。」
淡々と説明が続く。
その間も、画面は巻き戻り続ける。
「TimeTrack社の技術は、最初は非常に小さな空間の時間を巻き戻すものでした。」
「死刑囚に死の瞬間を延々と繰り返したり、寿命が来た人間に幸せだった時代を繰り返し見せると言った用途。」
「しかし、そんな小規模な技術がこの会社のエネルギーと合わさったことで、不可能を可能にするものになったのです。」
そろそろ、画面が今朝まで戻る。
「…その不可能というのは具体的になんなのだ?」
「まず一つ目に、空間の拡張です。地下にこれほどの施設を建築することは、L社の技術と資金を持ってしても不可能ですから。」
…その言い方だと、二つ目もあるのか?
「二つ目は?」
「それは…」
画面が突如、停止する。
「大規模な、時間の巻き戻しです。」
そこには、今朝、俺が見送った直後の三人が映っていた。
────────────────────────────────────────────
どうなってるの?
何が起こった?
今、確かに…
「ヨンキーさん、ばいばーい…って、もう聞こえないか!」
「あったりめえだ、あの分厚い扉を…」
「…?兄ちゃん?どうし──」
「悪い、ちょっと先に行っててくれ。」
「わかった。早くしてね!」
フィン。
フィンだ。
どうして?
どうなってるの?
一体何が──
「おい、グフ。」
「あ…グリフィン。」
そうだ。冷静にならないと。
「なあ…俺の気のせいならいいんだけどよ…ああ、クソ。説明が難しいな。」
「…うまく説明できなくてもいいから。教えてくれる?」
「ああ、こうなんつーか。悪い夢を見てた気がするんだ。」
悪い夢?
「こう、昨日みてえに働いてたらフィンが死んで、お前が立ち尽くしてる夢。ああ、あんまり細かいところまでは覚えてねえ。」
「夢…?」
なら…これは私の幻覚?
いや、それにしては夢の内容と私の記憶が合致しすぎている。
幻想体が何かしたの?
「…歩きながら続けましょう。」
「おう、いいぞ。」
そして、すでにフィンが歩き去った後の廊下を二人で歩き始める。
見覚えのある光景。
もうこの会社に勤務し始めて1週間。
7回しか歩いていないはずの廊下に、8回目のような既視感がある。
「グリフィン、あなたはその夢の内容をどこまで覚えてるの?」
「あー、フィンが死んで…お前が立ち尽くしてる…くらいか?全く、歩きながら寝るだなんて、俺は、思ってたよりバカなのかもな。」
そう言って笑う彼とは対照的に、私の心の中は暗かった。
確実に夢ではない。
私は…全て覚えている。
全部。
さっきまでは記憶があやふやだったけど、今は思い出せる。
確かに、フィンは正気を失って、自ら死んだ。
間違いなく、この廊下を歩くのは今日二度目だ。
絶対。
「…グリフィン。変なこと言っていい?」
「なんだ、急に。」
前を歩いていた彼が、こちらを少し振り向く。
「あなたのその夢が、夢じゃなかったって言ったらどうする?」
「…確かにそりゃ変なことだな。」
少し、歩みが遅くなる。
「なんでそう思うんだ?」
「…あなたの夢と、全く同じことを私も覚えてるの」
「たまたまじゃないって確信はあるのか?」
「少なくとも、私が覚えてる限りはほとんど全部、一致してる。」
沈黙が続く。
もうすぐ、メインルームだ。
「…じゃあなんだ。もしそれが本当だったとして、何が起こったんだ?」
ありえない、思う。
でも、この会社ならあり得るのかもしれない。
「時が、巻き戻ったのかも。」
────────────────────────────────────────────
「さて、そろそろグスタフソンさんとグリフィンさんがメインルームにたどり着く頃合いです。」
管理室では誰も口を開いていなかった。
そして、その沈黙を破ったのはまたもやアンジェラだった。
「二人にTT-2プロトコルについて説明するのも、しないのも管理人の自由です。」
アンジェラがこちらを見る。
「もっとも、ここで説明しなかったとしてもヨンキーさんが説明すると思いますが。」
管理人は少し考えたのち、結論に辿り着いたようだ。
「…説明しよう。彼らには知る権利がある。」
「そうですか。」
アンジェラはそれだけ言って、また黙り込んだ。
そして、モニターに、メインルームへ入ってくる二人が映る。
先に待っていたフィンと合流したようだ。
しかし…
「少し、様子が変じゃないか?」
二人とも、少し挙動不審だ。
グスタフソンに至っては、フィンをずっと見つめているようだった。
「…なるほど。」
アンジェラが、何かに納得したように呟いた。
「だから二人を…」
「何か言ったか、アンジェラ?」
「いいえ、なんでもございません。」
いや、何か言ったな。
…それについて考えるのは後でいい。
今は──
「おはよう、諸君。」
管理人がマイクに向かって話しかける。
「あー、まず説明しなければならないことがある。」
3人の様子が変わる。
フィンはなんのことだか、といった顔をしているが、それに対しグリフィンは、信じられないという表情だった。
そして、グスタフソンは…
「時が巻き戻ってる、ですよね?」
信じられないという顔をするのはこちらの番だった。
そして、何より信じられなかったのは、アンジェラまでもが少し驚いた顔をしていたことだ。
あのアンジェラが?想定外?
「あ、ああ。そうだ。なぜそれを…?」
「…やっぱり。」
グスタフソンが、カメラを睨みつける。
「そこにいるんでしょう、アンジェラ?」
アンジェラは何も言わない。
「答えて。なんでこれを、もっと早く使わなかったの?」
もっと早く、というと…
ああ…
「これを使えばロンドンも、スーザンも死なずに済んだんじゃないの?」
その声の裏に、隠しきれない怒りが滲んでいた。
メインルームにいるオフィサーも、グリフィンも、フィンも、全員が、何一つ言葉を発せなかった。
「アンジェラ。答えてよ。」
「…端的に言います。」
アンジェラは気を取り直したようだ。
「それは不可能です。」
「どういうこと?説明して。」
「死者を甦らせるのは、翼であるL社をもってしても、高コストで技術的に困難です。」
モニター越しに、見えない火花が散る。
「…何が言いたいの?」
「この会社では、あなた方エージェントの生体データを、事前に記録しています。」
「おい、俺たちはそんなこと──」
「それを元に、1日をやり直した際に死亡していた職員、または身体に欠損がある職員の肉体をその日の開始時点まで巻き戻しているのです。」
待て。
一つ。
たった一つだけ気になることがある。
「…アンジェラ、蘇生は頭が潰された場合も可能なのか?」
「それを聞いてどうするつもりですか?ヨンキーさん。」
「とぼけるな。言わなくてもわかるだろ。」
「…可能です。」
言葉を失う。
隣の管理人も椅子から立ち上がった。
当然だろう。
頭を潰されたものを蘇生するのは頭の禁忌なのだから。
「アンジェラ、それは本気で言っているのかね?」
「ええ。」
…翼といえども、頭の禁忌から逃れることはできない。
なのにどうやって?
はったり?
いや、ここで嘘をつく理由がない。
「それは一体、どうやって──」
「管理人。」
これまでにないほどに冷たい声。
「それは、企業秘密です。どうしても聞きたいというならば、それが、あなたが人生で聞く最後の言葉になります。」
「…」
…クソッタレ。
こんな会社に来るんじゃなかった。
「お、おい!俺はそんなこと聞いてないぞ!」
スピーカーから聞こえてくるオフィサーの声で我に返る。
「知らせていませんから。」
「ふざけるな!そんなことが許されるのか!?」
「翼ですよ。」
「ッ…!」
その一言に黙ってしまうオフィサー。
間違いない。
翼を咎められる個人など、この世に数えるほどしかいないだろう。
「俺はこんなところで働けない!今日限りでやめさせてもらう!」
「ええ、ご自由に。」
アンジェラの声は相変わらず無情で、非情だった。
「その場合、『退社』していただくことになります。」
「あ?退社ってなんだよ!?」
「それはですね!」
いつの間にか、マルクトがメインルームに来ていた。
「あなたのような職員に与えられる罰則の一つです!」
快活な話し方と、その内容には大きな落差があった
「…端的にいうと、あなたのような軟弱な職員は私の部門にいらないの。」
「あ…そんな…」
そのオフィサーは、『退社』の意味を察したようだ。
…背筋が凍りつく。
「例えばお芝居では、役者が自分の役に徹することで舞台全体を盛り上げていますよね。」
アンジェラが話し始める。
「決められた時期、決められた役割を終わらせてから退場するべきなのに。」
淡々と続く例え話。
だが…
「その役が嫌だから、という理由で役を降りることは許されません。」
まるで自分のことを話しているようだ。
「途中で舞台を降りるということは、その役の命が終わることなんです。」
そして、最後に一言。
「それが、『退社』です。」
静まり返る。
メインルームも。
管理室も。
「アンジェラ様の話も終わったところで!」
マルクトの声が沈黙を破る。
「今日の業務を始めましょう!これ以上おしゃべりしているのは効率的じゃないですよ!」
2度目の、長い1日が始まった。
ここまで読んでくれている人がいるなら、できれば文章に対する感想を教えてください。
基本ストーリーを変える予定はないのですが、文章とかでここが読みにくい、ここをこうしたらいいみたいなのがあったら教えて欲しいです。
物語を書き残すなら文章はわかりやすい方がいいからね。
ここまで読んでくれた君にGracias!また次回も読んでね!それじゃ!