速すぎたSTONE!!~千空に従兄を投入した結果!! 作:石の上にも3泊
「よしよーし…ご飯の時間だよ~」
石神百夜、40歳半ば永遠の独身。東京都の農村にやって来て1ヶ月以上のサバイバルを経験してきたが、ここに来てようやく癒しらしい癒しを得ることに成功する。
現代人あるあるで、石化現象前は食料に関してはお金さえ有ればスーパーや商店街で手に入れることが出来た。水なんて蛇口を捻れば塩素殺菌された安心安全で美味しい水が飲めた。お風呂はボタンを押せば良いだけだし、シャワーも適温が出てきた。だが!!人類のインフラがぶっ壊れた石化騒動のお陰で、百夜はひーひー!!と毎日大変な労働を実感しながらサバイバル生活だ。朝は早いし、家畜の世話は汚い&キツイそして危険の3kときたし、農業もキツイと汚いの2つだ。インフラがない今、お風呂を沸かすのも一苦労であり、0から文明を再構築出来る甥っ子と息子がハチャメチャ過ぎてツッコミという心労が貯まっていく。
しかし、そんな田舎サバイバルライフにも癒しが出来た。いや、最初から癒しは有ったのが…百夜の先入観のお陰か、彼らを癒しと見れなかったのだ。そんな百夜の最近の癒しは…我らが日本人の衣類の元を作ってくれる共依存生命体 カイコちゃん達である!!
「いや~最初は蛾だ、芋虫だなんて思ってたけど、可愛いな君達!!」
切り分けたシルクメイトを与え、大きくなってぷっくりしてきたカイコの幼虫を指先で軽くつつく百夜。成虫は妖精みたいで可愛いし、なんやかんや芋虫もずんぐりむっくりして可愛い。野生の芋虫達と違って、カイコガの幼虫は握力も弱く、風が吹けば落ちてしまう。我々人類が守ってあげなくてはならないのだ。
「守護らないといけない!!このカイコガちゃん達を!!」
牛、馬、羊、ヤギ、有事の為とはいえハーストイーグルの圧倒的握力で檻から解き放たれて、千郷が保護した家畜達はフルパワーだから中年の百夜じゃ手に負えない。羊は可愛いと思えば愛情表現で頭突きしてくるし、普通に痛い!!牛は毎日お乳を搾らないと乳房炎なんて病気になるからめっちゃ大変!!馬なんて農作業を手伝ってくれるけど、種族的に賢いから舐めてかかったら心を開いてくれない!!家畜の世話は本当に大変だし…鶏なら行けると思えば、卵の回収でボコボコにされる!!
それに比べてカイコちゃん達は安心安全!!人間に危害を加えないし、うんちの世話も楽勝。これほど、飼育しやすい生き物はいないと喜ぶ百夜だったが…
「百夜。悪いけど、蛹のカイコ連れていくぞ。今から繁殖用と絹糸用(つまり死ぬ)に分けるからな」
「そんな…カイコちゃん!!」
そしてカイコガは繁殖サイクルが短く、一生も短い。その為に蛹になれば残酷だが、千郷の手で繁殖用と絹糸用に分けられる。絹糸用に分けられたら最後、繭のまま茹でられて繭は絹糸に加工され、蛹は食用や粉末になって家畜の餌や釣りの餌にされてしまうのだ。
自給自足生活を開始して1ヶ月以上の月日も流れ、宇宙飛行士の皆さんも随分と逞しくなっただろう。
「めー」
「羊の赤ちゃん可愛いですね!!」
「本当だな」
コニーとシャミールは完全に家畜のお世話に順応し、そこまで危険ではない子羊のお世話もなんとかこなしている。まあ、子供はデリケートなので子羊の体調が崩れなかったらの話ではあるが。
「めー!!」
「ぐえ!?」
「シャミールさん!?」
しかし、子羊は構ってちゃんであり愛情表現で頭突きをしてくることがある。子羊に癒されていたシャミールとコニーであったが、シャミールの腹部に子羊ちゃんの構ってちゃん頭突きが炸裂した!!
「卵の回収も大変なんだね…」
「日本の卵は生で食えるなんて言うけど、こうやって管理してたなんてね」
鶏小屋の外のベンチではヤコフとダリヤ夫妻が収穫した鶏の卵をふきふきと拭いて除菌し、綺麗にしていく。海外の卵は生でたべることは出来ない。それは鶏の出産方法にあり、鶏は産卵口と肛門が同じなのだ。つまり、うんこと同じ場所から出ていると言っても過言ではない。サルモネラ菌などの影響もあり、回収したらふきふきと除菌して拭く必要が有るのだ。
「ごめんなさいね、トラクターのガソリンも限られるから」
「いえいえ、好きでやってることですので」
そして絹糸の精製が終わった千郷は、子供達とリリアンを連れて田植えを行っていた。千空の開発した石化復活液のお陰で石神村(仮)の食料自給率とマンパワーも高まったが、農家さんは高齢化が進んでおり、千郷達は近所の農家さんの田植えを手伝っていた。農家さんは子供達の実習以外ではトラクターなどの文明の利器を用いて田植えを行うが、インフラ崩壊した今ではトラクターの燃料は貴重であり、節約できる所は節約である。
「娯楽が少ない!!娯楽が欲しいぞ!!なあ、千郷!!なんとかならない?」
そんな日の昼過ぎ。縁側でお茶を飲んでいた百夜は千郷に嘆いた。様々なインフラが消え去った現在、21世紀人類が愛した娯楽の大半は姿を消してしまった。
YouTube!!そもそもネットが機能不全となり、見ることが出来ない。電気のインフラが回復すれば見れるかも知れないが、世界復興までお預けだ。
テレビ!!テレビ局が機能不全となり、テレビの電波が届かないので此方も残念ながらお預けだ。百夜の好きなバラエティー番組も暫くお預けだぞ!!
ゲーム!!ボードゲームなら兎も角、今のゲームは電波や電気が必要なのだ。スマホアプリのゲームでさえスマホに内蔵された電気だけでなく、電波が必要。据え置きのゲームは当たり前だが動かす電気が必要なのだ。
「テレビは!?」
「うつらねーよ。テレビ局動いてねーんだから」
「YouTubeは!?」
「電波回復してないし、そもそもYouTubeをやってるGoogle社員とYouTuberが石化してるわ」
「ゲームは!?」
「ボードゲームなら出来んぞ。動物の背骨などを駒にしたボードゲームが中央アジアや北アジアに有るから、それ作ろうか?」
これではしょうがない。千郷はやれやれと言いたげに頭をかいてから、何かを閃いたように告げる。
「無いなら作るか。バドミントンとかは一式作れるな。楽器も弦楽器、オルガンなら今の環境でも作れるな」
「出来るの!?流石は千郷!!頼りになるぜ!!」
そもそもバドミントンやテニスのラケットは昔の素材でいいなら作ることは出来るし、楽器も電気を使わない代物なら作ることが出来るのだ。エレキギターならアンプなどに繋がないとダメだが、クラシックギターなら繋がなくてもOKである。つまり、電気が無くても演奏できるのだ。
「必要な物が有ったら言ってくれ!!オジサン用意するよ!!」
「マジで?それじゃ言うぞ。先ずは木材、そんでラケットのガットと弦楽器の弦は同じ素材から作るんだが、その材料が…ある程度大きな草食動物の腸だ。昔は羊から作られ、今の高級品は牛のを使ってるぞ!!」
ごめんなさい、無理です!!百夜の言葉を受けて、千郷は1人で材料の収集を開始することになった。
「と言うわけで千空。いきなりだが、娯楽道具としてバドミントンのラケットとシャトルを作ることになった。もしかしたら、楽器も作るかも知れないけどな」
「いいじゃねーか、そそるぜ!」
流石の千郷と言えど単独でやれば時間がかかる。なので科学知識がそこら辺の物理学者真っ青の千空の助けを求めた。当然、千空も面白そうだからと協力に賛成。流石は頼れる従弟である。
「ラケットってことは弦はプラスチック樹脂か?」
「いや、昔ながらの偶蹄類の腸繊維を使う。千空に頼みたいのは弦の仕上げのコーティングだな、ここいらで採れる樹脂は松脂か漆だな…それらで弦に加工した腸繊維をコーティングする松脂とかの準備を頼みたい」
「いーぜ!面白そうだ!!」
こうして娯楽の為にラケットとシャトル作りが始まった!!
ガット。それはラケットの弦の事であるが、21世紀のガットは主に最高級品以外はナイロンなどの化学繊維の物が良く使われている。だが、昔は偶蹄類…ウシ、豚、羊、鹿などの腸繊維を用いて作られていたのだ。工場が機能を停止した今、本来ならお手頃な化学繊維は手に入らないので、腸繊維を使うしかない。幸いにも、石神村(仮)の周辺では猪や鹿そして特定外来種であるキョンが沢山暮らしており、ガットの素材である腸繊維には困らない。
素材1 偶蹄類の腸繊維。
『ぐっへへへ!!今日も畑を荒らすぜ野郎共!』
『『『おうよ!!』』』
日本を脅かす特定外来種の1つキョン。1つ勘違いしないで欲しいのは、特定外来種は有る意味ガン細胞とも言える突然変異種ミステリークレイフィッシュ以外は悪くはない。悪いのは外来種を出してしまった、持ち込んでしまった我々人間である。
キョンは繁殖力がずば抜けており、僅か半年で繁殖を可能とする身体に成長できる。その為に急激に数を広げており、関東圏を中心に爆発的に増殖しているのだ。そんなキョンが狙うのは石神村(仮)の農作物。ごく最近、人間が戻ってきて数を増やしたが知ったことではない。厄介な電気柵などの障害は先月から効果を失い、弱々しい柵となった。今が好機!!食べ頃のインゲン、トマト、トウモロコシ!!植えたてで柔らかい稲の茎を喰らうのだ!!
だが、その時…風を斬る音が微かに聞こえ、1頭のキョンが悲鳴をあげることなく倒れた。そのキョンの胸には「て」文字を模した投擲狩猟具が突き刺さっている。
ブーメラン。オーストラリアの先住民 アボリジニが愛用する世界的知名度を誇る道具。アボリジニは知らなくても投げて返ってくるブーメランは有名だ。だが、アボリジニが狩猟として使うブーメランは返ってこない。返ってくるで有名なブーメランは儀礼用…そして儀礼用を商品とした代物だけだ。武器としてのブーメランは投げた時の回転と回転が生む遠心力で、直撃した時のインパクトが増大し、木製の質量兵器となり確実に獲物を仕留める。
『『へ…?』』
何が起きたのか分からないキョン2頭。と、その時だった。突如として1頭のキョンの側頭部から血が吹き出し、遠方から銃声が響く。
『ブラザー達が殺られた!?バカな…バカな!!日本政府はハーフライフルの制限、クロスボウの禁止などの制限をしてくれたはず!!動物愛護団体が黙ってないぞ!!』
だが、最後の1頭も突如として倒れ、銃声が響いた。
「しかし、キョン増えすぎだろ。というかコイツら、特定外来種の癖に法律に護られた存在だからめんどくさいんだよな」
そこに三八式歩兵小銃(合法的所有カスタム)を持った千郷が歩いて現れた。キョンは特定外来種でありながら、鳥獣保護法で手厚く護られた矛盾の存在なのだ。逃がせば特定外来種の法律で怒られ、許可なく狩猟すれば鳥獣保護管理法違反で国から怒られる。法律の矛盾に護られた存在なのだ。
「まあ、今は日本に潜伏しているスパイども、自分の利益しか考えないお偉いさんもいない。気楽に復興作業をさせてもらいましょうかね」
テレリン!!千郷はキョンを3頭ゲッチュした!!とりあえず、その場で血の処理もしちゃう。
ゲッチュしたキョンは野焼きが出来そうな所まで運び、本来はバーナーで毛を焼くのだが、生憎と燃料は節約したいので長い松明を用意。それでキョンの毛皮を焼いて毛とマダニを処理していく。
「野生動物ってマダニとかついてるからね。マダニってマジで恐いよ?」
マダニと毛の処理が終わると、足の間接の皮に切れ込みをいれて…そこから思いっきり息を吹き込む。すると、皮と膜の間に空気が入って膨らみ…皮を剥ぎやすくなるのだ。中央アジアの民族から教わった知恵である。
「脂肪は今日の夕飯に使う。このレバーは寄生虫がついてるからダメ。お肉はOK」
腸以外の部位は食べれるOr食べれないで素早く選別する。お肉だけなら兎も角、内臓を見てしまったら精神年齢6歳の未来ちゃんが卒倒してしまう!!
続いて取り出した腸を綺麗に洗う。このとき、うんこも入ってるので綺麗に洗う。綺麗に洗って洗って不純物を洗い流すと、余分な油を捨てて水に浸す。その後は鋭いナイフを使って粘膜層を削ぎ落とす。その後は細い紐状に加工して、複数に束ねてよりを重ねていく。そして乾燥させた完成なのだが…
「長持ちの為に灰汁で処置して…と」
長持ちさせるために灰汁に潜らせて、そして…
「チサ兄!松脂のコーティング剤出来たぜ!」
「グッドタイミングだ千空!!」
樹脂でコーティングすれば長持ちする動物繊維の弦が完成だ!!化学繊維が普及する前は、この腸で作った繊維が弦楽器の弦だったり、ラケットのガットだったのだ。
そして木製のラケットにこの弦を張れば、バドミントンのラケットの完成だ!!材料費 木材 木材置き場から拾ってきた…タダ!!キョンの腸繊維 ハンティングしたからタダ!! 松脂のコーティング剤 タダ!!頑張ればタダで手に入るぞ!!
「ガット余ったな」
「弦楽器も作れるな。ピアノの弦じゃ足りないが、ギターとかなら余裕だな」
余ったガットは保管されて、後々に弦楽器に使われる!!
「バドミントンの羽…シャトルだっけか?それはどうするんだよ」
「それも作るんだよ。簡単だ」
シャトルの作り方!!本来はコルクから作るんだけど、コルクはあんまり日本に生えていないから、別の木から皮を拝借!!それを小さな丸に加工!!その木製玉に動物の皮…キョンの皮を鞣した物を使ってカバー!!そして鶏の抜け落ちた羽を装備して縫い付け、羽の付け根と玉をテープで固定すれば…あら不思議!!バドミントンのシャトル 最初期モデル(19世紀)の完成だ!!
「でけた!!まあ、重さ計ってないから絶対公式戦で使えないけどな!!」
バドミントンはごく最近(人類史から考えると)出来たスポーツである。
因みに、みーんな薄々気付いてますが…千郷は普通の民俗学者ではなく、別の顔も持ってます。知ってるのは館長、防衛長官(千郷が唯一尊敬する政治家)、別班だけ
北東西南ちゃん「どれだけ調べても経歴が普通過ぎるでしょ!!なのにテロリスト組織を壊滅させた!?」
千郷「別班は存在しない。国会でも証言された事だ。い・い・な?」
世界開拓…進める?
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日本が終わってから
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日本→アメリカ終わってから
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原発のないオセアニア編!!