俺は万津 獏。仮面ライダーゼッツ エクスドリームに変身する普通の好青年だ。
「千束さんの容態ですが……非常に厳しいです」
「どういう事ですか?」
「彼女に移植された人工心臓が徐々にまるで、そう崩壊しているような現象が起きているんです。医者になって30年、この症状は初めて見ました」
俺は病院で医者の先生の話を聞く。やはりカタストロフゴアナイトメアにやられた一撃が原因だろう。千束ちゃんはいつまで持つ?
「崩壊現象のスピードからもって4時間です」
「代わりの人工心臓を用意することはできないんですか?」
「あの人工心臓は我々が現在生み出せる人工心臓のはるか先を行く技術で作られています。せめて設計図があれば良かったのですが……」
「くそっ!」
俺はたまらず声を荒げる。その様子に隣にいたたきなちゃんが驚く。俺はごめんと一言だけ謝り部屋を出た。
「千束ちゃん……」
「千束……」
俺は集中治療室に隔離された千束ちゃんの様子を壁越しに見る。彼女は苦しそうに呼吸をしていた。彼女が無意識に手を伸ばす。その手をミカさんがしっかりと握りしめる。俺はそれを黙って見ていた。
「あの化け物を倒せば千束は元に戻るんですか?」
「……たきなちゃん」
「私、探してきます」
「何処にいるかわからない敵を探すのは無理だよ。今は奴が現れるのを待つしかない」
「そんな事をしている間に千束の命は?!」
「俺だって今すぐにでも助けたいよ!」
「……すみません」
俺たちの間に重い空気が流れる。誰もが千束ちゃんの無事を祈っていた。
「万津さんはゼッツなんですよね?どうして今まで黙っていたんですか?」
「エージェントの任務は極秘なんだ。リコリスの君なら分かるだろ?」
「……そうでしたね。ゼッツの力ではどうにもならないんですか?」
「リカバリー……復元の力でも崩壊の力を止められなかったんだ。カタストロフと戦って奴を倒すしか方法はない」
だが、問題は奴を倒せるかどうかだ。前回戦った時、奴は本気すら出していなかった。身体能力ではエクスドリームの上をいくだろう。小細工は通用しない。正面から奴を打倒しなければならない。俺にそれができるか?
「ゼッツ……万津さんが苦戦した相手ですよ?勝ち目はあるんですか?」
「やって見なきゃ分からないさ。それに、千束ちゃんとはどっちが大きい雪だるまを作れるか勝負するって約束したんだ。俺は絶対に負けない」
俺は集中治療室の中に入り、千束ちゃんのベットの横に立つ。そして、千束ちゃんの右手をそっと握る。
「I will definitely save you(君を必ず助ける)。それが俺のミッションだ」
「はぁ、はぁ……獏さん。こわいよ。私死んじゃうの?」
千束ちゃんが目を覚まして俺を不安げに見つめる。その目には涙が流れていた。
「君は死なない。ゼッツが……いや、無敵のエージェントの万津 獏が救ってみせる」
「……獏さん。無茶はしちゃだめだよ?」
「あぁ。俺に全部任せろ」
俺の言葉に千束ちゃんは力強くうなづき、再び瞼を閉じた。俺は後をミカさんに任せて集中治療室から出る。
「きゃあああ!爆発よ!?」
「うわっ?!何だ?!」
突然、爆発音が響き病院自体が大きく揺れる。急いで病院の窓から外を見るとそこにはカタストロフゴアナイトメアが暴れていた。
「ゼッツゥウウウ!ここにいるのは分かってる!早く出てこねえと病院ごと壊しちまうぞ?!」
「あいつ!」
俺はエクスドリームドライバーとカプセムを手に病院から出ようとする。
「待ってください万津さん!私も!」
「危険だから君は千束ちゃんを守るんだ!」
「っ!?分かりました。絶対勝ってください!」
俺は呼び止めるたきなちゃんに千束ちゃんの命を守るように伝える。たきなちゃんは一瞬だけ迷うような表情を見せるもすぐさま切り替えて千束ちゃんのいる集中治療室に向かった。
「カタストロフ!俺はここだ!」
「ゼッツ。ようやくお出ましか。待ってたぜこの時をよぉ!」
「お前の狙いは俺だろ!他人を巻き込むな!」
「俺はお前以外なんて眼中にねぇよ。他の人間は餌だ。さぁ、早速戦おうぜ?」
俺は意を決してエクスドリームドライバーを巻き、カプセムを装填する。
【フルライズ!メツァメロ! メツァメロ!メツァメロ! メツァメロォ!!】
「I'm on It(さぁ、やろうか)。変身!」
【アブソリュート! ライダー!ゼッツ・ゼッツ・ゼッツ! ゼーッツ!エクスドリーム!】
俺は変身と同時にカタストロフに向かって走り出す。カタストロフも真っ直ぐこちらに走ってくる。
「うぉおおおおおおおおお!!」
「ウォオオオオオオオオオ!!」
互いの拳が衝突し、激しい爆発が起こる。今、千束ちゃんの命運を握った戦いが始まった。