ようこそぬくぬく至上主義の教室へ   作:棚木 千波

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よう実二次はハーメルンでたくさん読んできました! やらせてください!

駄目そうなら特別棟の裏に埋めてもらっても構わないよ!


#1 冬野氷華と高度育成高等学校

 

 突然だがオレは人混みが嫌いだ。

 通学用のバスなんてまさにそうで、到着した目的地で降りたオレが最初にしたのが溜息をつく事だった。

 

「だるかった……」

 

 何故朝からこんな思いをする羽目になっているかと問われたら、その理由は明快だ。

 

 身長175cm。付けているブラのサイズはFカップ。

 皆と同じ赤い制服を着ているにも関わらず、今も微妙に衆目を集めているこの身体が、オレの悩みの種だった。

 

「なぁ、あの子色々デカいってか凄くね?」

「あれで同い年ってマジかよ! 同じクラスだったりしねぇかなー!」

 

 うん、今聞こえた男子どもの声が大体全てだ。

 別に乗ってる間に話しかけられた訳じゃない。けどずっと視線は感じるわ、色々デカい所為で気を遣うわで割と疲れるのだ。だから人混みは嫌いです。

 

「もっと小さければなぁ……」

 

 足元がやや見えない位には主張の激しい胸に片手を置いて、小さく呟く。

 今の身体が嫌いなわけじゃないが、こうしてデメリットを感じる場面が増えてくるとやや辟易してしまう。贅沢な悩みなのかもしれないけど、大きいからいい事ばかりじゃないのだと思っていただきたい。

 

「まぁ仕方ないか。行こうっと」

 

 気を取り直して校門をくぐった先で、オレたち新入生の配属先が張り出してあった。

 当然それを確認する新入生でごった返していたので、オレはそのやや手前で遠目に紙を精査する。こういう時、背が高いおかげで掲示板の前まで行かなくていいのは助かるな。

 

「ワタシは……Aクラスか」

 

 つまりオレは今日から1年Aクラスの『冬野(とうの)氷華(ひょうか)』という事になるようだ。

 因みにAからB,C,Dと続くアルファベット順でクラスが分かれているようなので、実は一番優秀なクラスなのかもしれない。知らんけど。

 

 では自分の所属を確認し終えたので、さっさと教室へと向かう事にしよう。

 

 

 

 

 

 オレがこの高度育成高等学校を選んだ理由は、学生に厳格な全寮制を敷いているからだ。

 入学した生徒たちは学校敷地内で生活する事になり、卒業まで外部との接触を禁じられた状態で三年間を過ごす。まぁ何ともぶっ飛んだ学校だ。

 

 家族や中学までの友達と交流出来ない事になるけど、裏を返せばこの三年間で主に関わるのが生徒と先生だけになると言う事だ。その方がまだ気が楽だと思ったので応募した、というわけである。

 

 卒業後の進学・就職率が100%であるのも魅力的だけど、そちら方面は生憎そこまで困ってない。なのでよりよい高校生活をと思い、入学したわけなのだが。

 

「気になる所、多すぎ……」

 

 ホームルーム、とあるクラスメイトが自主的に始めた自己紹介タイム、そして入学式が終わった後。晴れて自由の身となったオレは、貰った端末を片手にそう呟いていた。

 

 この学校の特徴の一つである『Sシステム』。

 要はこの学校内でのみ使えるポイントでモノを買う事が出来るシステムなのだけど、不明点があまりにも多すぎたのだ。多分ワザと説明省いてる。

 

 しかしオレは気になる点はとことん追及すると決めている。未知は既知へと変えるべきだというのが、より良く生きる為のオレのポリシーなのだ。無知は弱み。

 

 そんな訳で職員室に行って担任の真嶋先生から情報奪取してこようと立ち上がる。

 

「冬野さん。私たちこれからケヤキモールに行くのだけど、良かったら一緒に来ませんか?」

 

「あー、ごめん。ワタシちょっと別の用事があるんだ。でも嬉しいお誘いだったから、また今度ワタシから声掛けてもいいかな、白石(しらいし)さん」

 

「分かりました、ならまた今度で」

 

 その途中で有り難い事にお誘いを受けたが、今日は情報集めの方を優先させて貰った。クラスメイト達の事も気になってはいるけど、流石に優先順位がね。

 

 なのでこんなオレを気にかけてくれた彼女たちに手を振ってから、オレは行動を開始した。

 

 

 

 

 

 次から次へと真嶋先生を質問攻めにしていたら、いつの間にか一時間が経過していた。想定外。

 

「この学校、普通じゃなさすぎる……」

 

 職員室から廊下に出て歩きながら考えるのは、真嶋先生から引き出した情報の諸々だ。

 

 ・毎月貰えるポイントは変動する可能性が高い。

 ・ポイントで買えるモノに限りはほぼない。

 

 回答をぼかされた事も多かったけど、ひとまずこの辺りは確実だと思っていい気がする。中でもポイントの有用性が分かったのは割と収穫だろう。

 なんせ『ポイントで買えないものはない』のだ。少なくとも今日貰った10万ポイントを外でも買えるようなモノに注ぎ込むのは控える事にした。

 

「そして監視カメラもクロの可能性が高い、と」

 

 そうして歩を進めながら天井を見ると、また一つ監視カメラがこちらを覗いているのが分かった。

 最近の学校ならこういうものかなと最初は思ってたけど、数えてみると流石に多すぎる。カメラ越しの視線にもやや敏感なオレじゃなくても、違和感を覚える生徒は全然いると思うレベルだ。

 

 それで何を見てるのかまでは真嶋先生も教えてくれなかったけれど、ひとまず大体の行動は学校側に把握されている、位には思っておいた方がいいと見た。

 

「なら監視カメラがない場所を探すのも追加かな」

 

 そしてこれだけ監視カメラがあるのなら、監視カメラがない場所の方が恐らく少数派(マイノリティ)になっている筈だ。そんな場所を知ってどうすると言われても困るが、知らないよりかはマシなのでやる、というスタンスで調べる事にしよう。

 

「まぁ、流石に今日はいっか」

 

 ただしこの学校敷地内となるとかなりの広さになるので、一日二日ではまず終わらない。なので追々やっていけばいいと思い直し、ひとまずは今日の夕飯をどうするかを考えながらに歩く速度を早める。

 

「やっぱりスカートは寒いな……よし、蕎麦にしよう」

 

 早くも肌寒くなってきたという理由で候補を決めてしまったが、初日位はいいだろう。

 質問攻めのついでにそちらの確認も出来たから、明日からはこの悩みともおさらばなのだしと、そんな気分でケヤキモールへと向かった。

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

「——さっきの子、真嶋くんのクラスだよね? いやぁ凄かったね!」

 

「……まぁ、そうだな。毎年クラスに一人か二人は早くに気付く生徒がいるものだが、初日からここまで掘り下げようとしてくるとは思わなかった。嬉しくはあるが、少し疲れたな……」

 

「いいじゃん、自分のクラスに聡明な子がいるって分かったんだからさ〜。何が不満だっていうの?」

 

「別にそういう意味で言ったつもりはない。ないんだが……気になってな」

 

「気になったって、何が?」

 

「『Sシステム』についての話が終わった後に、女子生徒が男子の制服(ズボン)を着用してもいいかと訊かれたんだ。制服としてきちんと着るなら問題ないと答えたが、まさかな……?」

 

 




 ☆毎月貰えるポイントは変動する可能性が高い。
 ☆ポイントで買えるモノに限りはほぼない。


なるべくシリアスとか原作展開とかなしでゆるゆる書こうと思う所存。

あと制服の規定に関する設定は勿論捏造です。もし原作で言及されてたら次話は地中からお送りする事にします。
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