ゲシュパンとTP装甲だ、便利なものだろう? 作:QAAM_M1911
ISというパワードスーツがある。
女性にしか扱えぬが、既存兵器を凌駕するような性能を誇るとんでもない代物だ。
今ではそれを専門に扱うIS学園なんてところもある。男子禁制の場所であり、エリート様が通うキラキラした場所……だったのだが。
何の因果か、男子が二人。
一人は織斑一夏、受験する高校とIS学園の場所を間違えたというちょっと天然が過ぎる男子。世界最強と名高い姉の織斑千冬が居る。
そしてもう一人は……この俺。ラーベ・フォロカル。世界中で探し出された男性操縦士の中で、唯一適性があった男だ。
何というか、この世界がISの世界だと知った時には絶望もした。何と言うか……乗れれば上等、乗れなきゃ最悪。そういうわけで今回のケースは僥倖も僥倖。ホントに人生詰むところだった。
なんせISのせいで女尊男卑が激しい世界だからな。技術者にも女性が多いと聞くが、ぶっちゃけ本当に一部の有能だけだな。流石にそこまで使えない奴なら昇進は出来ないみたいだ。お偉いさんのお気に入りとかでなければ。
学園生活も退屈退屈。とっととISに乗りたいなーなんて思いつつ日々の学園生活を送っている。無論すぐに実習はあるし、数少ない男ってのも相まって専用機が宛がわれるらしい。
で、俺は要望書を出しまくった。俺の前世で見た、「ガンダム」が欲しい!
俺自身は00が好きなんだが、如何せん太陽炉がな。ISだから近い機動は出来ようにもトランザムとかは使えないわけで。なら次点の機体を何か上げようと思ったのだが……気づいてしまった。
フォビドゥン最強じゃね??
真正面からの攻撃なら、戦艦の主砲以外ではほぼ近接のビーム兵装でしか倒す方法がない。逆に
てなわけで、宛がわれたラファールを改造することにした。と言うより、バックパックだけゴリゴリに改造する。第二世代のISってことで機動性以外はそれなりの機体性能だが、その広い拡張領域をバックパックに全ツッパ。いや、ホントに重い。色んな武器をアンインストールしまくってエネルギーを確保したら積める兵装がマジで少なくなった。
とりあえずフレスベルグはビーム兵器なのでちょっと無理。いや作れないわけじゃないんだが、ゲシュパンとTP装甲を両積みするからエネルギー消費がね……しかも曲げるのってイギリスじゃ一応技術的にもあるもんだし、対応されると厳しいっちゃ厳しい。
なのでアルムフォイヤーとエクツァーン、ニーズヘグだけ装備。特殊兵装でTP装甲とゲシュマイディッヒ・パンツァーを入れた。が、やっぱ長距離の兵装は欲しいなってことで、元から搭載されていたアサルトカノン「ガルム」を改良してDMRに変更してみた。名前は……「ゼヒティーニェ」とかで良いか。ドイツ語で視線って意味。
口径こそエクツァーンより小さいが、それでもエネルギーを気にせず撃てるし、何なら手持ち兵装にも出来るので取り回しは比較的しやすい。
ま、素体は腕部にアルムフォイヤーを入れているだけでほぼラファールから変えてはない。バックパックにゴリゴリ盛ってる感じ。とりあえず最初の機体ってことでバックパック名は「アイン」だ。フレスベルグ積めるようになったら「オリジン」に換装する。
……あぁ、最初の男性操縦者か。クラスは違う、俺は二組だ。あっちは確か一組じゃなかったっけ?そんぐらいには興味が薄い、自分の機体にしか興味がない。いつの間にか二組の代表選手に祀り上げられてた、解せぬ。
最初の実習でいきなり「アイン」を呼び出した時には皆に驚かれた。うん、そりゃそうだ。いくら何でもプラモ感覚で武装乗せ換え出来ちゃ困るわな。しかもやたら高性能だし。
「えっと……君ホントにIS経験者じゃないよね??」
「オトコノコならロボットアニメーションは必修科目さ。こういう機体を自由に操るのは全ての男の夢だ、ロマンだよ。皆欲しいと思うさ、ISというこのオモチャを。」
「あー、うん……そういうものかな……」
引かれてもしゃーないくらいには脳を焼かれているんだよ、俺は。ガンダムと言う存在に。ロボットという存在に。
フィールドが空いていれば毎日のように練習に行き、感覚のずれを直していく。一夏君とイギリスの代表候補生との手合わせも拝見させてもらったが、うーむ……得られる要素が少ない。一夏君がまず最初の動きがトロくて代表候補生……セシリア君と言ったか。彼女のスキルの底を見れず、一夏君のフィッティングが終わったと思えばほぼ捨て身の一撃必殺の剣で幕切れ。あえなく一夏君の負け。
そんな折だった。俺たち二組が一組のクラス代表選出試合の野次馬をしに来たのを煩わしく思ったか。一組の先生、あの織斑千冬が言い放ったのさ。
「二組のクラス代表、見ているだけではつまらないだろう。織斑と試合だ、出来るな?」
「いいですとも。」
俺はいつでも臨戦態勢。ゲームの時間と言われれば喜んで受けるさ。すぐにデッキに走り、スーツに着替える。
「随分と早いな。たった今織斑のシールドエネルギーの補充が終わった。出ろ。」
「
フォビドゥンを展開して、一気にフィールドへと舞い上がる。
「挨拶がまだだったよな。俺は織斑一夏、よろしく。」
「よろしくなタフガイ。ラーベ・フォロカルだ。さっさとやろうぜ、燃え滾って仕方ねぇ。」
俺の機体を前にしてどう攻めるかを考えているようだ。そりゃデカいバックパックから盾が二つと銃口4つ見えてりゃ怖がるわ。
『試合開始!』
「来いよ、インファイター!」
「挑発に乗るかよ!」
4門の銃砲が彼のISである白式を狙うが、その機動性で回避していく。敢えて弾幕の薄い場所を作れば、そこ目掛けて突っ込んでいく。そこへアームフォイヤーも加えて、回避できないように弾幕の壁を作り出す。弾幕の中に囚われた一夏だが、すぐに俺に突進してくる。
弾幕を閉じ、ニーズヘグを構え……
「えっ……」
「残念だったなぁ!」
ニーズヘグの一撃と追撃のフルバースト。それだけで試合が終わった。呆気ない幕切れに、何とも言えない空気が漂っていた。
私はある意味見誤っていたのかもしれない。ラーベ・フォロカルと言う男を。放課後にはいつも格納庫へ行き、ある時ではISの慣熟訓練をやっていた。その時の機体はラファール・リヴァイヴそのものだったはずだが……今日になってみると何だ、あれは。ラファールの取り柄は機動力。勿論それは担保しているがあの防御力が異常だ。
自身のSEと引き換えに相手のSEを大きく削る、“零落白夜”が全く効かない。
あの盾が頑丈なのか、それともまた別のからくりがあるのか……興味がないと言えば噓になるが、それ以上にロールアウトが早すぎる。まだ入学して2週間だぞ……その間にあんなものを作り上げてしまうとは。そして既にその機体を十全に動かせるほどの吸収力。
「撃ちすぎたか……?まぁいい、立てるだろ?」
「あぁっ……ッー!」
「絶対防御が発動するとこうなるのか……まぁ保健室行ってきな、なんかあったら困る。」
弟もあんな見え透いた罠に引っかかったのは後で修正するとして……彼も分かっていたはずだ。零落白夜の攻撃力を。それを分かっていながらあの手を打った、度胸、自信、そして技術。
「……二組も散々だな。」
これからやってくるであろう転校生のこともあるし、いろいろとありそうだ。
「凄いよラーベ君!初めての対人戦であんな的確に動けるなんて!」
「そうでもないし、実を言うとあの時全く動いてないんだ。」
「あー、位置的にはそうだけどさ、視野が広いっていうのかな……」
「相手がブレオンだから近づかせないのと、誘い込んで防ぐってのも一個の手段だよ。特にああまで集中砲火を食らうと一瞬で判断しなきゃなんない。相手が初心者だったから出来た芸当ではあるな……」
寮の建屋が同じだった子と話しつつ、自販機でお茶でも買おうかと思ったその時。入口から何者かが入ってきた。服装を見る限り生徒ではあるが、この時間に登校はあり得ないはずだが……
「何なのよここー!広いし迷うんだけど!!?」
「放課後だぞ、どこ歩いてたんだ?」
「いまきたばっか!!って男!?」
「ニュース見てないのか。」
「一夏だけじゃなかったんだ……」
「あ、これアレに惚れてて飛んできたやつだ。」
「何から何まで読むな馬鹿ッ!!」
「図星かい。」
寮の紹介と手続きについてのもろもろの質問を受けた後、
「うーん……クラス、あんたと一緒か……」
「アイツと一緒の方が良かったか?」
「ちがーう!!じゃなくて、一緒なら一緒の方が良かったけど!今アンタクラス代表じゃない!」
「それが?」
「私が代表になってあげる。一応中国の代表候補生だし!」
「強いものは弱い者を守る。イギリスじゃノブレス・オブリージュって言うらしいが、まさかアジアのアンタがやるとは。」
「バカにしてる??」
「いや、悪い。ナチュラルに煽るから気にしないでくれ。」
「……自分で分かってるなら直しなさいよ。」
「治んねぇ。」
「最悪じゃない。」
そんな話をしながら、俺は自分の部屋に戻る。ふと、俺は思いついたことを言った。
「ノブレス・オブリージュってもんは強い奴が弱い奴を守るって言ったよな。」
「はぁ?さっきアンタが言ったでしょ。」
「ならどっちが上か、ハッキリさせてみるか?」
「……上等じゃない。やってやるわよ!!」
「そこ、うるさいぞ。」
そろそろ消灯時間だからか、巡回の織斑先生にぶち当たった。
「げ、千冬さん……」
「げ、とは何だげ、とは。それと……織斑先生だ馬鹿者。」
手に持っている出席簿で脳天をひっ叩かれるのを見て、少しだけふ、と笑う。
「で、今の聞いてたんでしょう?手続き諸々、担任にしてもらえばいいと思いますが……」
「根回しか?」
「言ってしまうなら。」
「中々、どうして貴様は面倒なことを提案する。」
「これが彼女を納得させて、俺を納得させるのに手っ取り早いから。ただそれだけです。一度も抗うこともせずに、戦いもせずに身を引くなど考えられません。ま、実力差が明らかならそれもいいのでしょうがね。」
「……ふーん、随分と舐め腐った口きいてくれるじゃない。」
「歴は比較的浅いとはいえ、鈴音も代表候補生だぞ。」
「イギリスの代表候補生様をあと一歩まで追い詰めたヤツを完封しましたが。」
「あれはただのマグレだ。」
「マグレでも一分の勝ち筋があるなら十分力はありますよ。あとはそれを引き寄せるだけ。」
「……いいだろう、根回しはしておいてやる。ただし観客は多いぞ。」
「一組の野次馬したツケですか?それはうちの担任にお願いしますよ。」
「当事者なら別だ。良いな。」
とは言え、根回ししてくれるというのだから上々だ。フォビドゥンをもっと改修……いや、次はフレスベルグ。二組のクラス代表決定戦までに仕上げなくては。
続くかも。