有効打なんてねぇよ 効かねえよ   作:QAAM_M1911

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その装甲 装甲 その装甲
その装甲 装甲 その装甲

……タイトル変えました。


青天の天災

「よーし。いい子だ。背部アタッチメントにしちゃ出来がいい。」

「それが追加武装……?それ以外はあんまり変わってないような……」

「そりゃオリジンをブラッシュアップしただけだからな。言っちまえばフォビドゥン改の位置づけにはなるな?」

 

バックパックとして新しく作成したヴォーテクス。海戦用のだった元機体とはまるっきり別物になっている。

 

「元々想定していたヴォーテクスとは違うからな……別の名前にしちまうか。“イオン”でどうだ。」

「……ショッピングモールを連想しない?」

「ゲシュマイディッヒ・パンツァーが電磁力でビームを曲げるからな。より強力になったならこの名前がぴったりだと思うんだが。」

 

機体の上部と二枚の盾は殆ど形状変更がない。しかし、背部スラスターが大型化している。

 

「……ツインテール?盾も併せてクアッドテールとでも言った方がいい?」

「クアッドテール、良い名前だがもうコイツの名前は決めてある。“複合SE変換ユニット『エントワッフェン』”。」

「SE変換ユニット……どういうこと?」

「フォビドゥンは基本SEを使用しない。全部TP装甲かゲシュマイディッヒ・パンツァーで受け流すのが基本だな。だが、今回の改修でTP装甲は取り外した。その代わりVPS装甲を導入してある。」

「VPS……ヴァリアブルフェイズシフト、だっけ?」

「そう。TP装甲は通常装甲の内側にフェイズシフトを行う層を持つ二重装甲だ。衝撃を検知した瞬間にのみ通電する仕組みだからエネルギー消費は少なく済むが、重い。俺は今回思い切って通常装甲を取り外した。」

「それを補うのがそのユニットってこと?」

「そう。スラスターのほかにもいくつか機能がある。」

「……というかちょっと待って?SE変換ってことは常にSEを消費するってこと?」

「勿論。だが前説明した通り核融合バッテリーによって少しずつ回復する。勿論ユニットを使用し続ければ消費に追いつかなくはなる。」

「……で、スラスターのほかにどんな機能があるの?」

 

俺はパソコンを弄りつつ更識の質問に答える。ガシャンという稼働音がしてから一秒もなく武装が展開する。コイツは内部に複数の機構を搭載しているトンデモ機構。SEが無ければまず完成しなかった代物だ。

 

「まず通常形態がこの“フリューゲル”。所謂ブースターで、推力もいいしイグニッションブーストを容易に使用可能だ。」

「高等技術をプログラムで使えるようにしたの?」

「そうだな。その代わりSEの消費もある。んで、次が突撃形態の“ビューツェル”。突撃の速度はマッハ7に相当する。」

「馬鹿なの??」

「あくまで最高速度だ。いつもはもっと抑えるし、消費もデカいからな。特に“ランツェ”を起動するとSEが一気に減る。」

「クリンゲンの薙刀形態だっけ。名前変えたんだ。」

「いやほぼドイツ語読みまんまだな。剣が“ツヴァイハンダー”、鎌が“ゼンゼ”。クリンゲン・ランツェとビューツェルを連動させると“ニヒト・アンファーセン(触れてはならない)”が発動する。SEを矛先に纏わせた突撃だな。原理としちゃ零落白夜と全く同じだぜ。」

「単一能力(ワンオフアビリティー)まで再現するなんて、やるねぇ君。」

「だろ?織斑姉弟の十八番を奪っといてアレだが、プログラムして出来るなら楽なことこの上ない。そう思うだろ、篠ノ之博士さんよ。」

「え……」

 

篠ノ之博士が岩礁の上で座りながら俺の講座を聞いていた……というか最初っから居た。やっぱ俺のことが気になるか。更識のことは眼中にすらないようだ。

 

「続けるか?」

「いいよ。中々興味深いもん。」

「なら自慢大会は続けさせてもらうぜ。次は射撃形態だ。」

「ちょ───」

「射撃形態“クラーニヒ(鶴)”。SEをパルスキャノンとして投射する。通常時は単発それなりのレートだが、砲身を展開すると3発出る“スプリッター”が付いている。原理としてはレーザーにSEを付与している形になるな。」

「へー、レーザーに揺らぎを持たせてより効率的にシールドエネルギーを削るってこと。」

「理解が早い、と言うよりは既に研究済みか。」

「勿論。ISに関しては誰も私の先を行かないもんね!」

「なら次の形態はどうだ?防御形態“プファオ(孔雀)”。武装は“ヴォーテックスシールド”。実弾を受け止め、跳ね返す。基幹システムはAIC。ベクトル反転後に形成したSEの膜を通過させる事で、対SE特攻を付与している。」

「……へー。そんな考えもあるんだ。」

 

この技術に関しては博士もまだの分野だったらしい。ヴォーテックスシールドは俺のもんだな!

 

「更に、ヴォーテックスシールドはもう一つのフォビドゥンの弱点さえもケアーする。更識、フォビドゥンの弱点は?」

「ビーム兵器による近接。」

「そう。近接振りに行くと噴き出すSEの渦で超絶スリップダメージってわけ。しかもさっき基幹システムはAICって言ったよな?」

「……あれ?近接振りに行くと死ぬ?」

「うん。」

 

近寄っても引き撃ちしても無理ゲーである。弱点としては燃費が悪いところだが、白式ほどでもないしペースは遅くとも回復するしで逃げ回っているだけでは勝てないのがこの機体のいやらしいところ。

 

「ははっ!ここまで綺麗に弱点消せるなんて中々凄いじゃん!ISの操縦士はともかく、技術者としちゃ私に次ぐくらいになら凄いんじゃない?学園の方でも色々作ってるらしーじゃん?」

「あれはオモチャみたいなもんだけどな。」

「それでもねー?1人で戦争出来るのって中々居ないよ。少なくとも、今この世界ではこの2人だけ。」

「それなら何だ?たった二人だけの戦争でも引き起こそうってか?」

「それも面白そうだけどね?まだ色々とラー君を観察中だからね!」

「ラー君ねぇ……気に入られたついでにカミサマの名前に変えるか!俺の名前はア〇ラーに変更する!」

「ちょっとあまりにも喧嘩売りすぎだね!」

「宗教というか神話の最高神が二例居るのが悪い。」

「いやそういう問題じゃないと思う……」

「ねー?ラー君っていつもこう?」

「えっと、まぁ……いや不謹慎はあまりない?煽りカスですけど……」

「煽りカス……ねぇ?束さんにはあんましない感じかなー?」

「煽るには人となりが分からないと。篠ノ之の姉さんってのとIS作って雲隠れした自由人ってことしか知らないぞ?煽る材料がまだ少ない。」

「材料があれば煽るんだ……」

 

しかし……珍しいもんだ。篠ノ之博士がこうして人の目に触れるような場所に来るのはそうそうない。

 

「織斑先生か、織斑君絡みか?もしくはその両方……博士の妹さんもそうだな。むしろそっちが本命か。大方新型をプレゼントってところか。」

「よく分かるね?」

「開発中の俺に似てるからな。浮かれに浮かれて、失敗を恐れないところがな。」

「まーね?私、天才だから!」

「だが鼻っ柱が折れたような感じだ。技術が被ったとかそんなところか。エントワッフェンと同じ発想の機構がプレゼントに組み込まれている……」

 

篠ノ之博士の表情がほんの僅かに凍る。つってもほぼ気にしていないに等しいくらいだな。

 

「まー今のプレゼン聞いて第四世代ISに近しい発想が君にあるってのは分かったし?ちょっと焦ってはいるかな?」

「ちょっと待って第四──」

「複合兵装はロマンと合理性を併せ持つ。故に研究すべき点であるのは当たり前だろ?それを難しくしているのが機構の複雑性なんだが……そんな理由で研究しないなんざ、それこそ“ロマンに欠ける”。」

「……やっぱ君、束さんによーく似てるよ。」

「社交性は俺の方が上だと篠ノ之君からお墨付きだぞ?」

「言ってくれるねー?煽る情報与えすぎたかなー?」

「不謹慎度も俺の方が上だと言われたぞ。」

「いやそれ褒めてない……」

「じゃあ今度ロンドン橋を墜としに行こうかなー?歌のようにさ。」

「いいや、スターリングラードに火をつけるってのが不謹慎度なら上だ。」

「不謹慎度で争うの酷いし本当に醜いからやめない??」

「まーさ、私の方が上だってことこの後見せてあげるよ。じゃあねー?」

「披露宴にお呼ばれするとは感激だな。俺としては二度目も呼ばれたいところだが。」

「曲がりなりにも女の子にそれを言うのどうかしてるよ??」

 

しかしまぁ……この後は荒れそうだな。嫌な予感がするというか、まぁあの博士なんだから荒れない方がおかしいんだよなぁ……

 

「更識、この後荒れそうだぜ。」

「私の心は大時化だけど??」

「いや何、手伝ってほしいってことだよ。姉さんいるだろ?連絡して俺の荷物送ってほしい。」

「デリカシーないよね?意識してぶち抜いてるよね??」

「……更識。あの博士だぞ。下手をすると誰かが死ぬ可能性すらもある。それを分かっていながら手を打たないのならあの姉貴には逆立ちしようが勝てんぞ。」

「分かったから、急に真面目になるのやめて??」

「ならオーケー。あとやるのは……つーかリーパー二機そっちに預けるか。何かあったときの被害を減らせる。打鉄弐式にコントロールシステム乗っけるぞ。プログラム4時間で終わらせられるよな?」

「出来ると思う。誘導方式はどうなってるの?」

「FCS的には山嵐と同じだ。ただ二機がそれぞれAIを持って細かい判断が出来る。今積んでるFCSならフォーマット後に微調整すればイオンよりも精度が良くなるぞ。」

「なら微調整も含めて3時間で終わらせる。」

「オーケー。披露宴はドタキャンさせていただくか。」

「多分行った方が良いと思う……博士だから、ね?」

「ご機嫌取りも俺の役目ってか?まぁ野次飛ばした方がまだマシか。その代わりその他諸々全部頼むぞ更識。」

「……簪でいい。お姉ちゃんとこんがらがる。」

「へいへい。思春期の女の子は気難しくて困るな。」

「誰のせいだと思ってるの??」

「俺しかいないだろうがよ。俺の奢りだ、熱中症には気を付けろよ。」

 

差し入れにクーラーボックスを蹴飛ばして中身のサイダーをプレゼントしておく。あー、炭酸が噴出してヤバいか?まぁもう知らん。とにかく不思議の国のウサギさんの機嫌取りだ。ついでにフォビドゥンのお披露目もやってやろう。乱入した男が披露宴を混乱させるってのも、昔っからある話だ。その程度の衝撃で主役を持ってかれるんなら俺の勝ちだろう。な?

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