「ターゲット、インザスコープ。ショータイムだぜお嬢様方!」
「作戦開始。打合せ通りに行くぞ!ブレイク!」
先ずはフォビドゥンが先行して弾を跳ね返すところから始まる。相手の機体はエネルギー弾を使用しているが……先の戦闘の解析の結果、実弾にエネルギーを纏わせていることが判明している。仕組みで言えばリーパー・ロケットと全く同じだ。故にヴォーテックスシールドで反射出来る。
まずは牽制射を跳ね返すところから。こちらの攻撃手段になると判断し、すぐにエネルギー弾の発射を止めたターゲットは近接戦闘に入る。
「篠ノ之、VS解除後突っ込め!後ろから凰がカバーする!」
「分かった。」
刀による高速の刺突と共に、レーザーが銀の福音へと伸びる……が、そうそう当たるもんじゃない。それにカウンターしようとしたところを凰の龍咆が叩き、その後ろからデュノアのショットガンが追撃する。
「まるでジェットストリームアタックだな。」
しかもそれを追いかけようとすると遠距離からの実弾・レーザーによる狙撃で阻止される。上手く躱しているが、リーパーによりそれを追撃することは許されず、何ならブルーによる飽和攻撃を回避すれば、距離を大きく離される。
「これを繰り返せば順当に削れはする……が、思ったより消耗が激しそうだな?」
「高速戦闘の中でコンマ数秒を連続で決めるってのはキツイわよ!」
「ならプランB。」
「作戦がないとか言わないよね!?」
「ちゃんとある。オルコット、BTを出せ。“
『やるからには外しませんわ。いつでも。』
「データリンクで弾道予測を開始する。デュノア、あんたもやってくれ。」
「本気なの?」
「返事はイエスかノーだ。」
「……分かった。被弾はしないでよ!」
「フォビドゥンの反射による飽和攻撃を始める。篠ノ之と凰も中距離から牽制しまくれ!ボーデヴィッヒ!」
『誘い込んでくれ。スタンバイ。』
遠距離からの狙撃がリーパーに到達。勿論ゲシュマイディッヒ・パンツァーによる反射……だが今回における反射の回数は5回。ほぼBT敵性が最大になった時のフレキシブル・ショットと言っていい軌道を見せる。何なら篠ノ之のレーザーやらビーム刃も反射の対象だ。そんな攻撃が当然読めるわけがないし、読んでも当たるように全てをコントロールしている。
「簪、ブルーはまだやれそうか?」
『やれる。バッテリーはあと4分。』
「オリジンがあと2分だ。90カウント後再度離脱するぞ!」
その最中にもビームのカーテンが銀の福音に命中していき、ボーデヴィッヒのカノン砲も数発命中が確認できている。軍用だから堅いな。打鉄5機くらい吹っ飛ぶダメージを受けてるんだが……
「よし、60カウント。デュノア!」
「被弾しても知らないからね!」
ショットガンのフルバーストと、アサルトカノンの乱射がヴォーテックスシールドを叩く。その間この機体はがら空きになる。そこに攻撃を差し込まないわけがない……が、折り込み済みだ。
「ちょっとくらいは働くわよ!」
唯一反射出来る武器を持っていない凰が俺の護衛機だ。一瞬タイミングをズラしてくれるだけで十分。零落白夜と同じ効果を持つ弾丸が、ショットガンのように銀の福音に殺到し……
迎撃の為に射出されたエネルギー弾によりいくらかは迎撃される。が、落とされたのは6割程度。4割食らえばそれだけで訓練機であればぶっ飛ぶ威力。軍用機とも言えど、手負いになっている状況なのだ。虫の息どころか、装甲に穴が開いたのを視認する。
「装甲の貫徹を確認した。一旦下がって様子を見るぞ!」
『BTを下げます。』
『ブルーに支援指示を出したよ。』
「オリジンのバッテリー回復まで50カウント。戦闘可能まで35カウント。」
『篠ノ之、特に休んでおけ。最悪のとき、貴様がラーベの命を直接握ることになる。』
「分かった。」
「リロードを始めるよ。」
「私がヤツを見てるわ。周辺はラウラが見れるかしら?」
『既に広域レーダーを起動している。ボギーはなし。』
ここまでは順調と言える。こちらに損害らしい損害もない……が、そう油断しているときが一番危ない。
「……撃墜したのに手ごたえがない。」
「こういうものではないのか?」
「その油断が隙になることを日記につけておけ。半年後にはいつ襲われても対応できるようになる。」
「総員、方位3-0-0より不明機接近。だが銀の福音ではないな……」
「オルコット、確認してくれ。来るなら今だぞ。」
「待て!白式の信号だ!」
「重傷って話だったが、元気だな。」
「警告!ブルーがロックオンされてる!」
「なるほど、新郎の到着を待っていたわけだ……ブルーを下げて援護に徹させろ。ここからはシンプルな殴り合いだ。」
「零落白夜でワンパンって作戦に変更?」
「少し待て。白式だが……二次形態移行してやがる。少なくとも織斑君が慣れるまでは待つ。その前に削り切れれば尚良しってところだな。篠ノ之、作戦を伝えに行け。俺から指示が飛ばん。」
「分かった。出来るだけ早く戻る。」
「いや、速度よりも作戦を正確に伝えてくれ。慣れたらすぐに攻撃だ。」
零落白夜があれば大きな切り札にはなる。が、軍用ISの……セカンドシフト機となるとどこまで通用するか。それを不確定要素が大きい時に決行するのは悪手というほかない。
「ジェットストリームアタックを篠ノ之抜きで仕掛ける。学習されているはずだ、狙撃班はインターセプトしてくれ。」
『了解。』
「そっちに向かった場合は篠ノ之と織斑、ボーデヴィッヒの3名で足止めだ。やるぞ!」
水面から出てきて、一回り大きくなったバンディットに向かう。再度エネルギー弾の弾幕が襲ってくるが……数が恐ろしく多い。そして何よりの問題点。
「曲射による飽和攻撃か!VSで反射しきれん、離脱速度を上げるぞ!」
「何これ!?馬鹿みたいな弾幕してるわよ!」
「突っ込め!ミサイル程誘導性能が高いわけじゃない!」
銀の福音から外れたコースを通るには腹を見せすぎる。先ほどですらやらなかった至近距離への飛び込みを行う。
「デュノア、カバー!」
「誤射する!」
「構わん!」
マシンガンが背後を掠めるが、フォビドゥンのVPS装甲があるから安心だ。銀の福音に向けてクラーニヒを乱射。SEの揺らぎにマシンガンの被弾が重なるので普段よりダメージは高い。しかも俺の後ろからは凰の龍咆が待ち構えている。勿論不可視ではあるが、軍用機だから認識済みだろう。
そして挟み撃ちのように再度レーザーが到来する。良い援護射撃、ゲシュマイディッヒ・パンツァーでの反射も可能なタイミングだ。
その瞬間、下方へのイグニッションブーストを行う銀の福音。ブルーを狙うにしては高度が高すぎる……なるほど。
「注意!そっちに向かう予兆がある!迎撃用意!オルコット!」
『撃てます!』
「凰、コイツで牽制しろ!当たらなくてもいい!」
「
「突っ込んでないですぐに追撃行くよ!」
現状で一番マズいのは下方からブルーを操作している簪が墜とされること。俺が管制を引き継ぐことは可能ではあるが、ISによる情報処理を前提とした4機管制システムだったために、EOSの状態だと2機が限界なのだ。それ以上だとリーパーのAI判断量が多くなるため、精度が落ちてしまう。
「とにかく到着まで時間を稼げ!クソ、目茶苦茶早いな!」
「セカンドシフトして速度倍近くになってるわね!」
「そちらの接敵までカウント、3……2…………到達!エンゲージ!こちらの到着までカウント20!オリジンの到着は30!」
『こちらセシリア、簪さんも一緒に後方に下がりましたわ。BTによる援護を開始します。』
「頼む、こうなりゃ皆が生命線だ!BTの管制を10カウントだけ、2機寄越せ!飽和攻撃行くぞ!」
『やれますのね!?権限移譲しますわ!』
ビット二機の管制を行い、とにかく銀の福音が織斑君と篠ノ之に接近しないように攻撃を加え続ける。が、エネルギー弾のバラマキにより紅椿のインターセプターが落とされた。
「到着まで10カウント!悪い、一基やられた!」
『構いません!今はそちらを!』
「カウント、3……2……1……現着!畳みかけるぞ!行けるな、織斑君。」
「慣れてきた!いつでも行ける!」
新しい機体には複合兵装システムが追加されている。バリアーにも射撃にもヨシ……だが普通に燃費悪いな。一瞬で決めてやる!
「王手をかける!飽和攻撃開始だ!」
ブルーのミサイルと砲撃がまず銀の福音に回避軌道を強制させ、オルコットのフルバーストが次の回避行動を制限。オリジンのフレスベルグがそこに着弾。その間にもデュノアが弾幕を張り、その隙間から接近を行う。
「
『外しはせん!』
曳航弾が接近したことで、そちらの対処も行うようにロールを行いながら接近する銀の福音。周囲からはエネルギー弾も殺到しているが……
「来い!!」
そのまま突っ込んでヴォーテックスシールドを起動する。SEの奔流が銀の福音に届くと共に、AICによる拘束だ。EOSの装甲がエネルギー弾に焼かれるが……残念だったな。コイツもTP装甲なんだぜ?多少の攻撃くらい折り込み済みだ!
「織斑君!」
「届け!!!」
エネルギーブレードが薄くなったSEを切り裂き、新しくなった装甲を溶断する。大きく袈裟切りされた銀の福音は、誰の目からしても完全に破壊が確認できるようなものだが……念のため入念に駆動系をぶっ壊しておく。
「……これでよし、ターゲットの沈黙を確認。絶対防御によるガードモードに移行。作戦終了。」
「やった……のか?私たちは……」
「あぁ。今度は喜んでいい。これで復活してきたらもう私たちの手に余るものだ。」
「流石に基幹システムが壊れてるから……動き出したらゾンビだね。」
「ゾンビと言えば、良く動けるわね。ヴァンパイアだったりする?」
「誰が夜型人間だよ。でも、確かになんで動けるんだ?」
「ISには搭乗者保護機能がある。その延長線として考えるのが筋ではあるが……そうだな、その機体があの博士の手によって作られたものだからとしか理由付け出来ん。紅椿にも搭載されてたりしてな。その前に色んな保護機能が張られてるだろうけど。」
「怪我しないのが最優先になりそうですものね。」
リーパーにより機体が海中から引き上げられる。ワイヤーにより雁字搦めになっているので、ISでもそう解けたりするもんではない。
「……よし、RTB。帰還後の残りは全て先生方に任せる。ボンクラした米軍様はどんなツラ下げてくるのか、拝ませてもらおう。」