ゲシュパンとTP装甲だ、便利なものだろう? 作:QAAM_M1911
授業と並行してフォビドゥンのフレスベルグ搭載に向けて、色んな案を練り始めていた。
が、やはりエネルギー問題が付きまとう。大容量バッテリーは既に限界まで試しているし、
となると被弾時にのみ発動させるには、というソフト面を考えなきゃならんのだが、これがかなり難しい。やろうとしてる事はISの絶対防御と同じ。ソフト的な干渉もあるためVPS装甲の実現はかなり遠回りになりそうである。
なら他の装備を外すことにはなるのだが……ゲシュパンは外すとフレスベルグの“曲がる”という奇襲性能がおじゃん。そうなると、外すべきはエクツァーンになるのだが……仕方あるまい。
レールガンという若干エネルギー食う兵装がいけない。ゼヒティーニェをエクツァーンの代替兵装として装備するしかない。
「……エネルギー問題マジでキツいな。」
ACとかのアセンブルでもそうだが、何をするにも「エネルギー」は必須。重量よりもずっと装備の幅を決める数値になる。
織斑君の白式も同様だろう。KRSVみたいなエネルギードカ食い兵装をJOSOで積んでるようなもんだ。おかげでそれ以外に避ける武装が無くなった感じかな。
だが、フォビドゥンはそれと同等くらいにエネルギーを食う。拡張領域を食いつぶすのは物理的にデカいからなんだが、稼働中が問題だ。バッテリー容量確保のためにバックパックの容積大きくしたら、TP装甲の面積が増えた。まぁこれはこれでSEとの相互干渉がほぼ無になったので悪くないのだが……
「……ま、とりあえずはこれで行くしかないか。」
2組のクラス代表決定戦およびクラス対抗戦前夜。俺はそう言うとハンガーを後にした。
2組のクラス代表決定戦と聞いて、1組はおろか学園のほとんどのクラスが見物に来ていた……と言うのは冗談で。この代表決定戦直後にクラス対抗戦が開催される。どういうハードスケジュールだよ。
「何でこうなってるのよ……」
「根回しの結果だろ?たかだか1年坊の試合を見るためだけに、先輩方も忙しい勉強の間にある暇を潰してきたんだろうよ。ご足労いただき感謝の極み。」
「遠回りに先輩の事“馬鹿”って言ってない?」
「どちらかと言えば、教職員の方を馬鹿にしてる。」
「度胸があるんだかホントにただの煽りカスなんだか……」
無論後者である。この男、一夏とは別方面で鈍感である。敵意には敏感だがそれで音を上げるほどの共感力はない。ぶっちゃけ相手して嫌な奴である。
「ま、それはともかく。なぜだか知らんが終わったらすぐクラス対抗戦だ。早めに切り上げようぜ。」
「……それは楽勝って意味かしら?それとも降参?」
「さてね!」
実際スケジュール的に速攻で代表を決めないと、体力的にも補給などに必要な時間的にもギリギリ。一応名誉のために言っとくが、担任も織斑先生もそれなりに根回しはしてくれたが、確保できた時間がここしかなかったようだ。説明責任は果たさないと損だぞ、お二人さん。
「さて……両者共に防御に重きを振った機体……だが俺は射撃に重きを置いているのに対してそっちは格闘戦主体。どう来る?」
鳳の
「なら……一発ド派手にブチかましますか!!」
「なっ!?」
以前まで閉じていた砲門のフレスベルグが、赤色のプラズマを吐き出して甲龍を焼く。
「どんだけ改造してきてんのよバカ!!」
「お手製のプラズマ砲だぜ!痛いだろうよ!!アッハハハ!!!」
既に甲龍のエネルギーは6割まで削れている。通常のISなら逆に6割削る威力なんだが……いい防御力だ。と思った瞬間、ラファール部分に“何か”が直撃してこちらのエネルギーを削る。見えない弾丸……つーか弾丸は見えないだろってことで、大方力場か何かを操作して砲身を隠していると考え、とりあえず2枚の大楯から様子を伺う。TP装甲は……一応作用しているので実弾と推測。
「どう!?不可視の“衝撃砲”は!」
マズルフラッシュも見えないあたり、火薬式ではないしレールガン投射時に見えるプラズマやガスも見えない……となると。
「分かった。砲身をシールドエネルギーか何かで形成している圧縮空気砲だな。」
「えっ早」
「なら怖くない。」
大楯の下でニーズヘグを下手に構えながら一気に接近する。それを見た鳳も双大剣を構えて鍔迫り合い。
「接近戦ならこっちが有利って……分からないの!?」
「むしろだから利用するのさ!」
俺が彼女の剣を受け止めていたのは柄の部分だ。つまり、鎌の内側が向いているのは彼女の首。俺が少し下にズレれば横から不意打ちの死神の鎌が襲い掛かってくる。しかも盾が俺と彼女の間に入っているので前からのシールドチャージも持ち合わせている。
「マズった!?」
それを察知して鍔迫り合いから離れる辺りは格闘戦のセンスがいい証だが……
「既に盤面は我が手中にあり!」
「鎌ブン投げて言う台詞じゃないでしょ!?」
ニーズヘグを投擲、対処中にゼヒティーニェの連射でSEを削る。おっと、片方の大剣を落とした。冷静にアルムフォイヤーで拾うのを牽制しながら更に遠くに弾き、手数を減らす。一方のニーズヘグだが……
「は!?何で戻ってきてるの!?」
「何も考えずに投擲に使う訳ねぇだろ!簡易BT兵器だよコイツは!!」
「何でソレにそんなもの積んでる……!?」
いや、デスティニーのビームブーメランってそういや簡易ドラグーン積んでたなって思って。で、DMCやってた時にラウンドトリップが上手く噛み合っちゃって。まぁ……なんだ。
「ノリだ!」
「そんなんで納得出来るか馬鹿!!!」
「おっとツッコミご苦労お返しだ!」
一瞬の動揺を突いてゼヒティーニェの連射をプレゼント。残りSE3割と言ったところだな。向こうは衝撃砲の牽制をしつつもう片方の大剣を拾いに行こうという魂胆らしい。ならば、最後に魅せようではないか、最終傑作を……!
「食らいやがれ、“フレスベルグ”!!」
「素直に食らってやるものですか!!」
「なーんてな!!」
紅いプラズマが嘘みたいに曲がった。いや、俺もびっくりしてるんだが、00のレグナントみたいな曲がり方をした。ちゃんとヒットしたので良いが、俺が想定してたのはもっと緩やかなカーブを描くヤツなんだがなぁ。
『そこまで!勝者ラーベ・フォロカル!』
「素晴らしい戦いをありがとう、お嬢さん。」
「あんた、どんだけ引き出しがあんのよ……ビックリドッキリにも程があるでしょ……」
「ワーオ、これがいわゆるドン引きってやつだな。」
「まぁ手品を暴けただけいいわもう……」
「いや実を言うと最初っから乗せてても使えてないもんが一個ある。」
「だまらっしゃい!!」
また交流ミスったか……?と思いつつ俺はピットへと戻ることにした。
「マジかよ……」
あれだけクラス対抗戦で戦う!と息巻いていた幼馴染がその舞台に立てなくなった、その事実は一夏の心に少なくない動揺を齎した。
しかも、相手は初陣直後だったとは言え、同じラーベ。あの時搭載されていたかどうかは分からないが、プラズマ砲を引っ提げてきた。それどころか……
「び、BT兵器を簡易とは言っても大鎌に搭載……というかあれは確か……」
イギリス代表候補生のセシリアが隣でぶつぶつ何か言っているが、多分ラーベが色々とやらかしたんだろう。いや、あの鎌にBT兵器が積んであるのはさすがに想定外にもほどがあるし、最後のプラズマ砲が曲がったのも驚きではあったのだが。
「っといけない。クラス対抗戦の組み合わせを見なくちゃ……ってえぇ……」
一回戦。1組対2組。つまり一夏VSラーベ。
ラーベはとことん運がないらしい。
「やべーって!!アルムフォイヤーの弾共用じゃねぇから在庫から取ってこねぇと!!」
「場所さえ言ってくれれば持ってくるよ!」
「助かる!倉庫の……あぁクソ、カードキー!7.62ってある箱がそうだ!重いから台車使え!」
「バッテリーって充電どうするのこれ!?」
「ドッグに入れてるから勝手に充電……バックパックの方か!一回バススロットからバックパック引っこ抜いて個別充電するしかねぇ!」
「個別仕様多くない!?」
「言わないでくれ!!本来俺が整備士も担当するはずだったんだ!こんな連戦があってたまるかっての……!」
悲報。ISの規格から逸脱しすぎたせいで整備性が劣悪……というよりはほぼ彼かこれ専属になるであろう整備士にしか触れない代物になっていた。
おかげで30分後の対抗戦に間に合うかどうか怪しいラインになっている。
「……そうだ、さっき弾薬取りに行った子にサブバッテリーも取って来てもらう!誰か追いかけてくれ!」
「フレスベルグの状態は……まぁ2発しか撃ってないから大丈夫だな。」
「ゼヒティーニェは替え大量にあるから無問題。」
「待って今嫌な言葉聞こえたんだけど。」
「学園にあるアサルトカノンの3割をDMR化しといたぜ!」
「何してんの!?」
「やりたかったから!」
「怒られない?」
「もう怒られて始末書書いてる。でも精度は良いから採用だってよ!」
「……あんたたちよくこれにツッコミ入れられるわね。」
とりあえずどうにか2連戦目の準備は整えられた。俺の調子は若干マズいが。
ゲシュマイディッヒ・パンツァーを自慢したい俺としちゃイギリスの代表候補生と当たりたかったが、こういう時もある。まずは目の前のことに集中だ。
40分振りに、再びフォビドゥンが空へ舞う。
ここまでゲシュパン一度も使えていない恐怖。タイトル詐欺もいいとこやろこれ。