ゲシュパンとTP装甲だ、便利なものだろう? 作:QAAM_M1911
あの無人機騒動の後、俺はまたフォビドゥンを弄ることにした。
何をしようたって、フォビドゥンがより強くできれば俺はそれでいい。となると、フォビドゥンブルー系列の技術を取り入れたいわけなのだが……ブルーって海中戦なんだよねぇ……
「水中戦とか出来ねぇかな。」
「また何言ってんのコイツ。」
「フォビドゥンの改修。」
「まだやるの!?」
隣の席になった鳳にツッコまれるが、良いだろ。今は俺の機体なんだし、IS学園に返納しろと言われても素体のラファールはほぼ無改修だから半日くらいですぐ元に戻せるし。
「ISの水中戦パッケージとかどう思うよ。」
「そう言われてもね……一応海の中にISも潜れるでしょ?」
「ノンノン!それ以上に適応させるのさ!でも改修するメリットがねぇ。」
「馬鹿なの?」
「親バカってやつ?」
「……好きにして。」
となるとフォビドゥンブルーの技術で取り入れられそうなのは……フォノンメーザー砲くらいか?超音波で機体を攻撃する、レーザーとはまた違う技術だ。メリットは海中でも効果が見込めること、デメリットはぶっちゃけ要らない事。
ただでさえエネルギーカツカツなんだ、これ入れるとフレスベルグ入れらんない。それはそれでフォビドゥンブルーの系譜にはなるんだが……
あ、そうじゃん。
マジで水中戦パッケージ作るか。
いや、使うってわけじゃないのよ。とりあえず試験的に作ってみて、技術的に出来らぁ!!ってなりゃいいのよ。習作ってやつだな。
となるとフレスベルグ外していい。ゼヒティーニェは……使えないな。水中戦だと使えはするが弾速やらが非常に厳しい。同じ理由でエクツァーンもだめだな。
「……完全新規で作るか!!」
「……うるさい。」
作業場に居る生徒に毒づかれながらもバックパックの新規設計を決意。今からだと……うーん、タッグマッチあたりにロールアウトってか?
「まーずはー、フォノンメーザー砲……あ、ニーズヘグそういえば装甲内に入れてたな……パイルバンカーにすっか?」
名前は……そうだな、ニーズヘグにフレスベルグと来たら、ラタトスクだ。ユグドラシルでニーズヘッグとフレスベルグの仲介をしていたリスだ。悪口まで中継するので両者の仲が悪い一因になっていたようだが。
で、だ。射撃武器がもう少し欲しい。そして水中戦となると魚雷が欲しい。
じゃあ魚雷も詰めるミサイルコンテナ積めばよくね?
「習作だしな、色々試そう。」
まぁミサイルコンテナはそこまで難しくはないし、フォノンメーザー砲も作るだけ作って放り出してたやつがある。
問題がラタトスクだな。装甲内蔵式なのは良いが、パイルバンカーとなれば勿論衝撃を吸収する機構が必要になるので……
「……いや、要らなくね?」
どうせ習作だし、パイルバンカーの杭なんてラファールの装備から分捕って来れば補充もたやすい。じゃあリロード式にしておこう。
てな訳で完成だ。新しいバックパックの試運転をしよう。アリーナに出て動作確認だ。とりあえずミサイルユニットである「ルフター」にはVLSを積んでおいた。使わないだろうが……
と思えば、アリーナには鳳と……イギリスの代表候補生の……えっと……
「ごめん、名前何だっけ?」
「馬鹿にしてますの!?」
「コイツ素よ。素で人を馬鹿にするわよ。」
「イギリスの代表候補生ってのは分かるんだが……すまんな。」
「セシリア!セシリア・オルコットですわ!イギリスの技術を盗んでおいて……!」
「え、技術って盗んじゃダメなのか?というか個人に追い抜かれるご祖国様、どんな気持ちだった?」
「この……ッ!」
「セシリア、ダメ。お嬢様とは思えない形相になってるわ。」
試運転がてら二人にも手伝ってもらおうと思ったが……どうやらもう一人、遊びに来たのが居るらしい。
「あの上に居るのはおたくらの友達か?」
「え?」
「あれは……ボーデヴィッヒさんですわね。」
「ボーデヴィッヒ……あぁ、俺んとこの代表候補生!」
「ドイツ出身でしたわねそういえば。」
流石にうちのところは分かる。と言うか俺の機体で参考にしてたのがあのレーゲンだ。故に手の内もよーく知っている。何せPICという技術はゲシュマイディッヒ・パンツァーの雛形だ。俺の機体はそれをよりビームに特化させて、止める事なく曲げる事で汎用性を飛躍的に高めた代物である。
やろうと思えば実弾でさえも反射させられる……あっ。
「次の機体設計が決まった。」
「喧嘩売られてるのに何呑気に言ってんのよ!?」
「インスピレーションと言うものは常に受けるものなのだよ!」
「真面目に戦え!」
「ならマイクロ秒も考えられないくらい熾烈な攻撃をしてみろよ、我が祖国の代表候補生サマ!」
いや、1対3でそれをやれと言うのは流石に無理な話ではある。しかも中距離のヘイトタンクに遠距離特化、近距離特化の組み合わせ。流石の軍人でも厳しいと思う……と言うか練度ならこの一年生の中でもブッチ抜けだ。
「この……!」
「しまっ」
「おっと、お嬢様はやらせんぞ。」
特にセシリアのBT兵器が非常に危険。それを分かっているから俺が前に出て攻撃を受け止め、その後隙を鳳が狩る。それを追おうとすればセシリアの放火、セシリアを俺が庇うか放火が横から割り込む。この布陣は中々崩せないぞ。
「何をしている貴様ら!」
「おっと、織斑教官のお出ましだ。」
「……随分と肝が据わっているな、貴様。」
「ラウラ、コイツは肝が据わっているのではない。馬鹿な天才だから自信があるだけだ。」
「……その装備を見れば分かります。」
「しかしいい感じの試運転が出来た。貴重なデータになる。次の機体を楽しみにしておいてくれ。」
「あんた……疲れ知らずなの?」
「興奮でアドレナリンがドバドバ出てるだけだ。」
「庇いに庇われて……それでもこうまで……」
織斑先生の説教中、鳳とセシリアの2人は倒れ込んで床と仲良しこよし。ラウラは流石軍人と言うべきか。説教中も直立不動で、疲れも見せない。
「……お前は何を言っても聞かんだろう。試運転前にはレポートを提出、許可を取れ。対人戦は禁止だ。」
「イエスマム。」
その言葉だけを聞いて、再び整備室へと戻る。良い案が浮かんできやがったぜ。全く、たまには他人と親交を深めるってのもアリなのかもな。
「教官!よろしいのですか!?あんな者を説教一つで終わらせるなど!」
説教が終わって解散した後。ラウラは千冬へ直訴する。どうもこうも、あの男が気に食わない。
「そこまで嫌か?」
「どうあろうとも、あの者は同じドイツ出身です。あんな傍若無人な態度、我が国の恥であります。」
「……もう私はドイツ軍という組織からは抜けている。お前はかつての教え子だから良いとして、既にドイツへの義理は果たしている。」
「ならば、IS学園の生徒として指導すべきです!」
「そうかもしれんがな、暖簾に腕押しと言うものだ。」
「は……?」
既に千冬はラーベへの説教を諦めている。ラファールの備品の4割を勝手に改造したり、2組のクラス代表を当日に決めたり……まぁそれは千冬がラーベと鳳に意趣返ししたというのもあるが。まだ夏にならないというのに始末書は2桁に突入しようという勢い。
にも拘わらず、なぜここまで千冬が何も言わないか。ちょっと変人ではあるが、生徒たちが避けないか。簡単な話である。それ以外が全て模範的であるから。
座学、実習、ISの改造以外での素行……その全てにおいて文句を付けられる箇所がない。
クラスメイトでさえ、分からないことがあれば担任よりラーベに聞いた方が良いと評判なのだ。先生としての役割が本当に、未成年であるから、希少な男性操縦士であるから保護をするという点しか出来ない。故に千冬は怒れない。怒れるほど何かをしてやれたわけでもない。
まぁ……それに加えて本人が飄々としすぎていて説教の効果がないというのもあるが。
「アイツは結果を残している。故に私が口出しできるほど縛られていない。そういう事だ。」
「……結果こそが全てであるのなら。」
「全てとは言わんぞ。だが過程に比べて結果が莫大であるのなら、その過程はある程度まで許容できる。その結果を求める姿勢は評価できる……が、求めるあまり過程を全て無視するな。ラーベはそこまで計算ずくだ。」
「……なら、私もそれに倣うまで。」
悪い方向にラウラが暴走している……が、彼女がラーベに勝てるビジョンがどうしても浮かばない。あいつのことだ、また何か機体に隠しているだろう。
次はタッグマッチ。確か、一夏はシャルル……フランスで発見された男性操縦士……と見せかけたデュノア社の差し金だ。彼女と組むはず。ラーベは一体誰と組むのだろうか……順当に行けば、鳳になると思われるが……嫌な予感がする。
扉がノックされ、私はカギを開けた。先ほど彼から打診が来た時、何を考えているのか身構えた。また何か技術を盗もうとしているのではないか……と不安になった。
が、優雅に紅茶を嗜んだ彼の口から出てきた言葉は。とても予想がつかないものだった。
「……さて