ゲシュパンとTP装甲だ、便利なものだろう? 作:QAAM_M1911
結局タッグマッチはお流れとなってしまった。俺の生み出した戦法が無碍にされて不満も良いところ。
「アンタ、最近機嫌悪くない?」
「あぁ。フォビドゥンの戦法をお披露目出来なかったのが不満だ。」
「やっぱかい。そんな事だろうとは思ってたけどさぁ、改造に命賭けすぎじゃない?」
鳳の言う事はご尤も。でも自分がやりたい事を好きにやってるんだから良くね?とは思う。迷惑は……まぁ若干かけてる気はするが。
「……そうだ、今度一組の皆と練習するからアンタも来なさいよ。」
「専用機持ちの奴らか?そうだな……」
ぶっちゃけて言うと行く意味は薄い。織斑君の機体から得られるものはほぼ無いし、オルコットの機体も実の所はデータは十分に取れている。後は……そういや女バレしたデュノアか。あのラファールは拡張領域を多く取っているのがウリだが、フォビドゥンはほぼ必要ない。全部バッテリーに費やすから。ボーデヴィッヒの機体はVTシステムを取り除いて返還されたようだが、実はAICのデータぶっこ抜いた。まんまコピーする訳ではなく、改造するので多分バレない。
「……でも行っておいた方が良さそうだな。」
「なんか今日は素直ね。」
「フォビドゥンの改造も進んでるし、ちょっと息抜きというか、気分転換だな。」
「なら良し。明日だから忘れんじゃないわよ。」
とりあえず今日の内にパワーエクステンダーの最適化はやっておこう。バックパックの方は……臨海学校中にも調整になりそうだな。新規で武器も作るんだし、中々バランスというものが難しい。
「来たわね。」
「おう、来たぜ。こう見ると一年に専用機持ちが多いな。」
「確かに。というか代表候補生も多くないか?」
オルコット、鳳、ボーデヴィッヒとデュノア……あと、時々作業場が一緒になる更識もだな。更識はどうやら自分で専用機を組み上げるつもりのようだが……技術者としてはまだまだって感じだな。マルチロックオンシステムだ……フリーダムに搭載しているアレが使えそうだが、機体を見た感じミサイルカーニバルだからなぁ。
「何考えてんの?」
「フォビドゥンにシステム乗っけられるか考えてた。」
「ご飯食べてるときもずっと考えてない?」
「職業病だな。」
「学生ですわよね、あなた。」
そんなことを言い合っていたが、ボーデヴィッヒがなにやら近づいてくる。
「その……なんだ、先日は世話になった。」
「あ?あぁ……あのシステムか。」
「初期ロックまでしてくれたそうだな。おかげでまたこの機体に乗れる。」
「気にすんな。AICがフォビドゥンの構想になってんだ、その礼として受け取っといてくれ。」
「AICがビームを曲げる着想?」
デュノアが不思議そうに首をかしげる。そういや、俺の機体について多くは語られてないのか。
「じゃあ色々知ってほしいってことで。フォビドゥンについてちょっと話そうか。」
「あーあ……始まったわ。」
「素体はラファールそのもの。勿論フォビドゥンを積まずとも戦える機体には仕上げている……というより、腕部バルカン以外にはほとんど変更はしてないな。」
「じゃあ上に載ってるのが“フォビドゥン”……ってことか?」
「まぁな。」
「質問だ。一夏の零落白夜を受けた試合を見させてもらった。あれはどうやって無傷で防いでいる?」
「フォビドゥンには幾つか特殊兵装が積んである。一つ目、トランスフェイズ装甲。通称TP装甲だな。一定の電圧を装甲に掛けておくことで、何か衝撃が発生した際に相転移現象を起こす。これにより実弾兵装への防御力を飛躍的に高めている。」
「……待って?それだと実弾兵装もビームも効かないってことにならない?」
「まぁ待て。……待てて。二つ目の特殊兵装がビームに対する回答になっているんだからな。そいつが“ゲシュマイディッヒ・パンツァー”。特殊な粒子……所謂電磁フィールドのような性質を持った粒子を制御することでビームを偏光させることが出来る。ま、超至近距離で発射されると偏光が間に合わないがな。」
「となると……ビーム兵装の至近距離の発射、もしくはビーム近接攻撃で突破できる。では零落白夜が効かなかった理由は?」
「まぁ簡単だ。フォビドゥンはSEを利用していない。全て自前の防御力で解決しているのさ。」
「……ん?嫌な言葉が聞こえたが……つまり、フォビドゥンはISに頼らずとも動作するのか?」
「勿論。まぁそれなりに高性能なコンピュータが必要な上に、バッテリー問題もあるからな。現状、ISの拡張領域にバッテリーを全部詰め込んで解決している。」
ボーデヴィッヒは少なからず衝撃を受けているようだ。他の者も言わんとしていることが分かっているのだろうか、口を開くことはない。
「つっても現状戦車にTP装甲を積もうたって無理だぜ。」
「何故だ?」
「確かに頑丈にはなるがな、ただでさえ戦車って狭いだろ?砲弾のスペースも考えりゃ、マウス戦車くらいの大きさにはなっちまう。これだとどうなるか分かるか?」
「ビーム兵器が良く刺さる。」
「そうなるとゲシュマイディッヒ・パンツァーを積むんだが、そうなると更に更にでっかくなる。それに、戦車が突っ込んだって撤退できなきゃ意味がねぇ。電力食いに金食い虫にもなるし、現状利点がないのさ。」
「……そうだな。」
「まぁそれを解決する方法もあるっちゃあるんだがな。」
「アンタまた何か企んでるわけ?」
「憧れは止められねぇんだ!人の夢は!終わらねぇ!!」
「加減はするものですわ!」
閑話休題。
「まぁ、こうしてフォビドゥンはかなり防御に振った機体だ。ゼヒティーニェもフレスベルグも相手が攻めあぐねている間に削り切るのが目的だ。」
「あの鎌は何のために持っているんですの?」
「主に威嚇だな。あんな鎌見りゃ誰でも近づきたくはないだろ?」
「それにBTを載せているんだ……ホントになんで?」
「言っただろ?ノリだよ。」
「そう言われると本国の技術者たちが泣きますわよ!?」
「いやぁさ、俺のインスピレーションって割とゲームから来てるんだよ。ゲームの性能をどう実機に落とし込んでいくのか……腕の見せ所だろ?」
「……何というか、貴様はどうやら天才の部類だな。」
「同時に天災でもあるわよ。シャルロットなら分かるでしょ?」
「そうだね……学園に卸したガルムがなんか改造されまくってたのを見てちょっとショックだったよ……」
「遠距離戦と中距離戦にカスタム出来たほうが面白くないか?」
「シャルル、ステイ。ちょっと怖い。」
「諦めなさい。コイツはナチュラル煽りカスよ。」
「直そうとしても出てくるオマケ付きだぜ!」
「ねぇ、グレー・スケール打ち込んでいいよね?」
「やってみ!」
「何で歓迎してんだコイツ!?」
一夏がため息をつきながらデュノアを制止する。良いね、こういうのが青春だ。
「というか貴方機能隠しすぎでは?」
「そうだな。あの時分身と光学迷彩までしていたようだが。」
「今作ってるバックパックにはあと3つくらい積む予定だがな。」
「馬鹿も休み休み言えよ!多分マジなんだろうけどさぁ!」
因みに搭載予定なのはVPS装甲、デュートリオンエンジン。後は……ガンダム外の作品ではあるのだが、前言った通り実弾を反射する兵装だ。なぜVPS装甲にするのか……TP装甲は二重装甲なんで、重量が重いのだ。その代わり防御力は下がるのだが……もうバックパックの被弾を想定しない仕様になるので問題ない。
……つまりだ。
本格的に俺のパイロットとしての判断力、反射神経が試される仕様になる。
ハイパーセンサーでどれだけの情報を処理できるかも問題になってくる。故に今日パイロットとしての腕を皆から吸収してやろうと赴いたってわけだ。
「まぁ説明はここまででいいだろ?で、いつもは何をやろうってんだ?」
「基本的に一夏を鍛えるってのをやってるわ。最近だとラウラが来たから、そこと模擬戦して私たちも鍛えてもらってるんだけど……」
「どうだ、一戦改めて交えてみるか?」
「前は3対1でアンフェアだったしな。それに……」
「何だ?」
「この機体に唯一傷をつけられる。」
「……フン、確かにな。」
シュヴァルツェア・レーゲンに搭載されているプラズマブレード。アレが現状唯一の有効打。フォビドゥンの二枚盾による防御を搔い潜ればレールガンだって勿論有効打足りうる。
……なんだって?アサルトライフルの乱射でもSEは削れるんじゃないかって?
勿論その通り。でも、乱射の反動を完璧に制御できる人材が居るんならとっくに防御は抜かれている。山田先生あたりなら出来そうではあるが、それでも足りない。何せこっちも機動力があるんだしな。
「前よりも臆病になったな!」
「引き際をわきまえるようになったと言ってもらおうか!」
俺が引き撃ちに徹すれば、向こうは確かに追ってくる。が、フレスベルグの発射の兆候があればすぐに回避に徹する。なるほど確かに堅実だ。だからこそ、こちらが主導権を握っているというものだ。俺は向こうの発射してくるレールガンと時々振りに来るブレードを注視し、AICの起動を避けるために引き撃ちに徹する。射撃武装もこちらの方が有利……というか、こちらが効かなすぎるってだけではあるが。
とは言え、こちらの牽制射をよく避ける。フレスベルグの偏向にも直ぐに対応してくる。腕自体は向こうの方が上ではある……が、やはり防御は堅い。どちらも中々崩せない試合が十数分ほど続く。
「……千日手だな。」
「そうだな……と言いたいが!ここいらで仕掛けさせてもらおう!」
現在使用しているバックパックはオリジン……つまりミラージュコロイドによる光学迷彩や残像が使えない。その分自前のパワーがある。一気に攻勢に出るが、ゼヒティーニェによる牽制はやはり当たらない。ついでにニーズヘグを投擲して簡易的な飽和攻撃を実施する。
とは言え、向こうには奥の手の……本人の反射神経やら動体視力を底上げする強化がある。それを使われちゃ簡単に突破できる……というか。
「本体ががら空きだぞ!」
「そりゃそうなるよな!」
ニーズヘグが戻るまでに本体を落とせばいいのだ。しかも近接武器がないのでより近接武器を通しやすくなる。ただ、AICを展開してブレードまでの時間でニーズヘグが戻ってくる。AICを展開せずにブレードで傷を負わせるつもりだな。
「その手しかないよな!」
「だが、押し通る!!」
アルムフォイヤーの弾幕をワイヤーブレードで弾き、目と鼻の先というところまで迫られる。
「ハァーッ!」
「やはりそう来る!」
フレスベルグの至近距離の射撃を読んで下方向に回避するボーデヴィッヒ。だが……
忘れてはいないだろうか。本体だってISなんだぜ?
「そりゃ、ブレードの一本くらい耐えられるよなぁ!?」
「しまっ―」
パージからのイグニッション・ブーストによる
「……私の負けだな。」
「最後までやらないのか?」
「訓練だからな。実戦ならまだ嚙みつくが……教官に教えられたからな。」
「そうかい。ま、ボーデヴィッヒとの練習はかなり良いインスピレーションになる。また機会があれば頼む。」
「次は一体どのような機体になるか楽しみにしているぞ。何か浮かんでいるのがよーくわかる。」
……そう、俺は気づいてしまった。
俺の機体はSEを基本消費しないのだ。
なら俺が零落白夜みたいなの使っても大丈夫なんじゃね?と。
バカの発想なのは分かっている。だが、フォビドゥンなら問題ない。臨海学校までに仕上げようか。大方あちらさんの天災はアクションを起こすだろうしな……妹さんが燻っているのであれば。
「へぇー……ゲシュマイディッヒ・パンツァーねぇ。結構面白いことするじゃん。」
「赤椿に乗せよっかなー。乗せてもいっか!乗せるか!」
「あと何だっけ……トランスフェイズ装甲。ISには要らないかな!やろうとすると第一世代みたいな全身装甲になっちゃうし!」
「あと残像に光学迷彩に……“特殊な粒子”っての、応用の幅効きすぎじゃない??」
「うーん……“特殊な粒子”の作り方は分かるんだけど、赤椿の性能を損なわずにあそこまで安定供給するの難しいね。全部のせは無理か!赤椿だって第四世代なんだから、行ける行ける!楽しみにしてろー!」
「……そして見せてもらおーじゃん。新しい“フォビドゥン”ってのをさ。」