鷹稀朧様
ありがとうございます!
H.A.N.D本部 対ホロウ六課 オフィスにて
「諸星…零斗」
ディスクにて雅は事務処理を行なっていた。しかし書いているのは全く違うものであり、ずっと「諸星零斗」の名前を書いているだけであった。
「ねぇねぇハルマサ、なぎねぇ、ボスずっと紙に零斗の名前書いてるよ」
「多分零斗さんの事気に入ったのでしょうね。課長、模擬戦の時凄く楽しそうな顔してましたから」
「入ってくれるならこっちとしても嬉しいんですけどね。そうすれば仕事の負担も減るし上手くさb「浅羽隊員?」…なんてことは無く戦力として頼もしい限りですけどね」
蒼角、柳、悠真がヒソヒソと話し合っている最中、雅は諸星零斗との出会いを思い返していた。
数ヶ月前
「雲嶽山第13代目宗主"儀玄"だ。気軽に儀玄と呼んでくれ、そしてこいつは」
「同じく雲嶽山から派遣されました"諸星零斗"と言います。よろしくお願いします」
初めて会ったのは零号ホロウでの活性化したエーテリアスの掃討作戦、一目見た時から只者では無いと私の直感がづけた。
「対ホロウ六課副課長の「月城柳」です。今作戦にご協力頂いてありがとうございます」
「よろしくね!私は蒼角!」
「浅羽悠真です、どうもよろしく~」
「対ホロウ六課課長、星見雅だ、よろしく頼む。儀玄殿、零斗殿」
軽く自己紹介すると本作戦の内容を移動しながら柳が説明してくれる。
各々の役割を伝え終え、作戦が開始された。
「散れ!」
私は一振りで無尾による複数の斬撃でエーテリアスを全滅させていく。
しかし儀玄殿も中々の実力者だった
「邪崇滅殺!」
術法と呼ばれる雲嶽山特有の技で玄墨で構成された陣や鳥を使役させる事で無数に等しいエーテリアス達を一瞬で殲滅させた。
虚狩りに匹敵と評しているが本人はそんな称号いらないと言っていた。
いつか手合わせしたいと思ったが儀玄殿よりも零斗の方がそれは大きかった。
「シェッ!!」
零斗の戦闘は儀玄殿とは全く異なるモノだった。
無駄な動き排し、相手の攻撃を受け流し、隙を見て的確に打撃を叩き込む。その姿は、まるで練達の武道家を彷彿とさせるものだった。
戦闘スタイルは驚く程シンプルだったが、それに見合わない圧倒的な強さに私は魅了されていた。
「どうだ?うちの師範は中々の実力者だろう?」
「儀玄殿」
「武術だけという項目なら私よりあいつの方が遥かに上だ」
「なんと…」
それを聞いた私は驚いていたり彼女程の実力者よりも更に上がいるとは
「おっと、無駄話をしている間にもう終わってしまったようだな」
零斗が相手をしていたエーテリアスの群れが殲滅されたことにより零号ホロウのゼンレス値は安定し本作戦は終了となる筈だった。
しかし、私はどうしても零斗と手合わせしたかった、あの身のこなしといい圧倒的な戦闘力、そして何より躍動感溢れる肉体。
その全てをこの目で見てみたいと思い
「零斗殿、私と手合わせして貰えないだろうか?」
「へ?」
「先程の戦闘、実に見事なものだった」
「あ、ありがとうございます。でも星見さんや師匠に比べたら全然」
「謙遜するな。零斗殿の武術は儀玄殿を上回っていると聞いた…その上で貴方と手合わせしたい」
「師匠…」
「あぁ、私は構わんぞ。だが…派手にやり過ぎるなよ?」
零斗殿は儀玄殿から許可を貰い、私と零斗殿は所定の位置に着く。
「では、参るぞ零斗殿!」
「お願いします!星見さん!」
そこから戦いの火蓋が切られた。
これまで培ってきた経験を元に私の全力を彼にぶつけた。
油断すれば頬の皮1枚切れてしまう程の斬撃を叩き込む。
最小限の動きだけで躱しつつ、彼は接近戦に持ち込んできた。
彼の攻撃方法は単純で手刀や蹴りといった技が主流だった。
だが、その一撃が重く、しかも早かった。油断してしまえばこちらがやられてしまう。
少し距離を取り私は無尾を一度鞘に収め、全身を集中させる事で一気に間合いを詰め斬撃を放とうしたその時
「ッ!?」
零斗の方から接近し、なんと抜刀した私の腕を正確に掴み取ったのだ。そこから投げに繋げて地面に叩きつけられてしまった。
我ながら神速に等しい抜刀術を正確に掴み取られ上投げられたあの感覚は今でも忘れられない。
「(あぁ…こんなにも楽しいのは初めてだ。)」
出来れば終わって欲しくないそんな気持ちだった。
「課長!そろそろ時間です!」
漸くこの戦闘が佳境に入った所で奇しくも終わりを告げられてしまった。
結局の所勝負はつかず、引き分けとなってしまった。
そして模擬戦後、私は"彼"が欲しいと言う気持ちが強くなり
「──零斗殿、いや、零斗と呼ばせてもらう。単刀直入に言わせてもらうぞ。
お前が欲しい」
「は、はい?」
零斗は唖然とした表情でこちらを見ていたが、それを遮るように儀玄殿は零斗に近寄り
「それは見逃せんな星見雅。こいつは私の
一番弟子だ。そう易易と渡すつもりはない」
私の物だと言わんばかり、零斗を胸元まで引き寄せて見せつけられたのは今でも悔しい
「そうか…だが、お前を諦めるつもりはないぞ」
「零斗が欲しければ私を倒してみろ。無論、その気になれば容赦はしないぞ」
「望むところだ儀玄殿」
「あ、あのお二人共?」
零斗を差し置いて暫く私と儀玄殿は火花を散らしていた。
「次は必ず……!!その為にも修行だ」
諸星零斗を自分の手元に置きたいその一心で雅は鍛錬場へ走っていった。
「うわぁぁ~、あれ絶対諦めてない顔だ~」
「やる気満々だね!なぎねぇ!」
「そのやる気を会議にも出して欲しいのですけどね……」