どうぞ!
対ホロウ六課との模擬戦が終わり、ゆっくりしていた零斗、小腹が空いたのでアンパンでも食べようと思った矢先
「ね、ねぇ!そこの貴方!?」
「はい?」
後ろから声をかけられ振り向くと長い黒髪のストレートヘアーに白いカチューシャ、エメラルドグリーンの耳飾り、真珠のネックレスや、左太ももの真珠付きの飾りなど、多種多様なアクセサリーをつけており赤と白を基調としたワンピースのような服装で、リボンのついた厚底のハイヒールを履いており、黒いサングラスをかけている女性が立っていた。
「お願い!私を隠して欲しいの!」
「はい!?(あれこの人どっかで…)」
いきなり、隠して欲しいと言われ驚く零斗だが彼女の姿を見てどこか見覚えがあるようなと思いつつ彼女の頼みを聞き入れる。
「何処へ行った!?」
「クソ、目を離した隙にッ!」
黒服の男達が彼女を探しているようだが、零斗は人目のつかない路地裏で彼女を壁ドンするような態勢で隠していた。
「遠くへは行ってない筈だ!何としても見つけろ!」
違う場所へ走り出したのを確認すると零斗は外に出るともう黒服の男達の姿はなかった。
「もう大丈夫ですよ」
「ありがとう!お陰で助かったわ、こういうスリルな体験、1回でもいいからしてみたかったのよ!」
「は、はぁ…そうですか。良かったですね、じゃあ俺はこれで…」
何とも不思議な人だなと思い零斗はその場から去ろうとするが
「ま、待って!」
女性に服を掴まれ呼び止められてしまう。
「あ、まだ何か?」
「お礼をさせてくれないかしら?貴方のお陰でこうしてやり過ごす事ができたの」
「いやそんな、お礼をされるような大したことはしてないですよ」
「そんな風に言わないで、ここ数日ずっとリハーサル&撮影の繰り返しだったから偶には一人になる時間も欲しかったの」
撮影……そう聞いて思ったのはこの人は女優をやっているのだろうか?
「抜け出して大丈夫なんですか?お忙しいんでしょ?」
「うんうん、丁度区切りが着いたから隙を見て逃げてきちゃった」
テヘと誤魔化す笑って舌を出す。
「それでお礼は何がいいかしら?」
「そうですね、じゃあティーミルク奢って貰ってもよろしいでしょうか?」
「え?それでいいの…?」
「いや、特にこれと言ったものはなくてですね」
「他にもあるじゃない…?握手とかツーショットとか、サインとか」
いかにも有名人にして欲しい事ばかりの単語を聞いて零斗は察する。
「もしかして…有名な方だったりします?」
「し、知らない?その…私アストラって言うんだけど」
「(アストラ…?レオの弟が性別逆転した訳じゃないよな?)*1…えっ、足にチェーンとか付けてたりします?」
「えっ?付けてないけど…」
「拳法習ってたりします?」
「いえ習ってないわ…」
「じゃあ俺の知ってるアストラではn「アストラ・ヤオよ!」…えっ?」
黒いサングラスを取り大声で叫ぶ。
「どこからどう見ても誰もが魅了する歌姫よ!?
大体私、拳法?習ってないし足にチェーンなんて付けてないわッ!!」
「ッ!?(この人…もしかしてあの時の子か?)」
黒いサングラスを取ったアストラの素顔を見た途端、零斗は思い出す。
嘗て旧都陥落にてぺドレオンに襲われていた人々を救出した。
その時一人お礼を言いに来た少女と瓜二つだった。
「あ、あの有名歌手の?しかしこんな所にいて平気なんですか?」
「私だって、認知されるのは素敵なことだと思ってるけど…マネージャーと約束したの。"一人で出かける時は、バレないように変装する"って」
「いや、サングラスだけで変装するのは無理があるのでは?」
「兎に角!助けてもらった人にこのまま何も返さずにはいられないの、
私からのお礼受け取ってくれる?」
そう言うとアストラは零斗の片腕に抱きつき。
「えーっと…」
「ふふ♪貴方は今、世界で1番の幸せ者よ。
なんてたって歌姫アストラとのデートができるのだから」
「あ、あはは…まぁ、こんな機会滅多にありませんからね。お言葉に甘えさせていただきます」
「それじゃあ、ポート・エルピスへ向かって出発~!」
零斗はできるだけ人目のつかない道を使いポート・エルピスまでアストラと直行していくのであった。
海風が挨拶代わりに吹き付け、空が一口で飲み込めそうな雲を差し出す…燦々と照りつける太陽のもとで、カモメの鳴き声と波の音が混ざり合い、乳白色の波を生み出している。
「え、えっと……」
「はい零斗、あーん♪」
ポート・エルピスにて零斗とアストラはお互いフライドポテトを食べさせ合いっこしていた。
「あ、あーん…あむっ…もぐ、美味い」
「本当!美味しいわよね。こうして誰かと2人きりで食べるの1度でもいいからしてみたかったの!」
「なんか自分が思ってたイメージと違いますね。こうテレビで見てる時は孤高でクールな女帝っぽさを感じましたけど」
「そんな事ないわ、あれは演じてるだけであって、本当は私だって自由に行き来したいもの」
ポテトをつまみながら零斗は素のアストラがこんなにも明るく天真爛漫なお転婆さんだとは誰が想像できるか
そんな美味しそうに頬張るアストラを見つめていると
「ガオーッ!怪獣だぞーッ!」
「シュワッチッ!出たな!怪獣!」
「ウルトラマンッ!」
近くに楽しそうに遊んでいる子供達、何やらワイワイ騒いでいる様子
「くらえビームッ!」
ヒーローごっこしている子供たちを見てアストラは微笑んでいた。
「ふふふ、楽しそう」
「ウルトラマンごっこですかね?」
子供達は怪獣役、ウルトラマン役それぞれを担って遊ぶ姿はとても和む。
「俺、大きくなったらウルトラマンみたいな治安官になるんだ!」
「じゃあ、俺は防衛軍ッ!いつか大きくなってウルトラマンと一緒に戦ってパパやママを守れる兵士になる!」
「将来が楽しみですね、あんな元気な子達が立派な夢を持ってるのは」
「そうね……
実は私も彼に助けられた事があったの」
「ウルトラマンにですか?」
「えぇ、昔の事なんだけど」
ストローの付いた紙コップに1口飲むとアストラは語り始める。
「旧都陥落の日、私を助けてくれた救助の人は"幸せになって"って自らの命と引き換えにする事を選んだの」
「………」
「けど外に出た時、待っていたのは絶望だった。得体のしれない無数の怪物がそこらじゅうに飛んでてもう駄目かなって思ったその時
"諦めるな"って声が聞こえたの」
「(やっぱり、この人はあの時の女の子だったよな。
てか、俺そんな事言ったっけ?)」
「今でも忘れられないわ。ウルトラマンが私達を助けてくれて、救助隊の人達も全員彼が救ってくれたの。
そしてあんな恐ろしい怪物を相手に臆することなく私達を守ってくれたあの背中は今でも記憶に残ってる。
彼の戦う姿を見て勇気づけられた、だから私も彼のように旧都陥落で苦しい思いをした人々に希望届けたい…それが理由で私は歌手になったの」
「いい話じゃないですか」
ウルトラマンであることを伏せている零斗だが、感謝の言葉を送られているのを感じて思わず笑みを浮かべてしまう。
「でしょでしょ!この話ね、余りに他の人にはしないのよ。貴方で2人目よ」
「2人目…?と言うことは」
「こんな所にいたのか、お嬢様」
第三者の声が聞こえ、後ろを振り向くとそこに居たのは綺麗な紫の目を持つクール系美人のお姉さん。
髪型は金髪を後ろで纏めるアップスタイルで、蛾を模した髪飾りがいくつかつけられている。左目は若干隠れぎみ。袖がなく肩口の開いた襟つきの白いシャツに、レザー製だと思われるタイトなズボン。蛾の装飾付きの、黒と金のハイヒールを履いている。
「あっ、イヴ!もう見つかちゃったのね…」
「全く、お嬢様。出かけるなら私に一声かけてくだされば…あと、ちゃんとした変装をして頂かないと困る」
「むぅ~、我ながら完璧だったのにな~」
「アストラさん…こちらの方は?」
「あ、紹介するわ!私のボディーガード兼マネージャーのイヴよ」
「イヴリン・シェヴァリエだ。この度はお嬢様が迷惑をかけてしまい誠に申し訳ない」
「いえいえ、貴重な体験をさせて頂いて楽しかったですよ。あっ、自分諸星零斗と申しまして」
「諸星…零斗、雲嶽山のか?」
「雲嶽山って…あのスロノス区にある?」
「あぁ、宗主の右腕とも呼ばれて虚狩りに匹敵する程の実力者だとか」
「えぇーー!!凄いのね零斗って!」
「あ、いやいやそんな大層なものではないですよ」
宗主の右腕というのは周りが言っているだけであって零斗自身は思ってない。
「そんな人と一緒にデートできただなんてとても喜ばしいわッ!」
「お嬢様、そろそろリハーサルの時間が迫ってきてますので」
「あ、もうそんな時間?」
いつの間にか時計の針は16時を回っており、お開きの時間になっていた。
「じゃあ!折角だから写真撮らない?」
「写真ですか?えっでもそれは…」
「いいじゃない!虚狩り級である雲嶽山の人と写真撮影だなんて滅多にないわ。ねぇイヴ?」
「……今なら人はそんなにいないので撮るならチャンスだ」
「決まりね!じゃあイヴも寄って寄って!」
「わ、私もですか?」
まさか自分も一緒に撮るなんて予想だにしていなかったイヴリンは絶句していたが、承諾し零斗が真ん中、アストラとイヴリンが両サイドと言う形で写真を撮ることとなり
「それじゃあ取りますよ」
スマホに自撮り棒を付けて写真撮影をして、共有するためアストラにスマホを渡したが、何やらちょいと時間がかかっているようだったが、事なきを得た。
「ありがとう!今日はとても楽しかったわ」
「こちらこそ、歌姫とお出かけできて嬉しかったです。これからも応援しています」
「うん、ありがとう!また会うことがあったらまた遊びましょうね!」
彼女達に別れを告げて零斗はホテルへと戻って行った。
「いやぁ~、いい思い出になったな。師匠達にも自慢しちゃおう~……ってあれ?」
ノックノックの画面から通知のメッセージが来ていた差出人は
──やっほ~!貴方の事が気に入ったから連絡先交換しちゃった!
──すまない、お嬢様がどうしてもと仰っていたもので、万が一何かあった時に私の連絡先を入れておいた。
「ま、まじですかい……」
誰も入手する事はほぼ不可能のアストラ・ヤオの連絡先、その護衛であるイヴリンの連絡先がノックノックに入ってあった。
あまりの出来事に零斗は言葉を失ってしまい暫く口をぽかんと開けていた。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=343960&uid=323354
↑こちらの募集もやっていますので気になる方は是非
もし、難しいければメッセ-ジ送信でもOKです。
皆様の登録・感想お待ちしております!!
因みにこの作品は自分が投稿したなかで過去一の話数を叩きだしました!