「リン、大丈夫かな~?」
皆が寝静まる夜の中、零斗は夜風に当たり弟子であるリンを心配していた。
密かに連絡を取り合っていたアキラからの情報によると行動が制限されており、自由に動けないとの事。
また非人道的な拷問を受けていると言う噂になり益々心配になってきた。
「ま、いざとなったら……あれ?
お客さんかな?」
夜風にあたるのも程々にし、適当観へ戻っていくと
適当観の正門にて門をドンドン叩く龍頭とそれを必死に抑えるツインテールの赤髪とエルフ耳大きく機械的な角を持つ少女、それを見守る薄着で小柄な体格をしたミント色の髪の毛が特徴的な女性と非常に厳つい重装備ロボットが見えた。
「(あの人達…ラマニアンホロウで怪獣と戦っていたオボルス小隊だよな。なんでここに?)」
何故適当観に来ているのか零斗は声をかける。
「オブシディアン大隊が適当観に何か用か?」
『むっ?お前は…』
「鬼火隊長!この方は確か…!」
『雲嶽山宗主の右腕と呼ばれる諸星零斗だ。宗主に引けを取らない実力を兼ね備えている』
「そうなんだ~」
『ほほう、単刀直入に聞くがプロキシ君を攫ったのはお前達の差し金か?』
はてなんの事やらと頭を傾げた零斗は答える。
「悪りぃ、そのプロキシって言うのは俺達の可愛い弟子の事だよな?今は防衛軍の方にいるんじゃないか?」
「そのプロキシ殿が今この適当観の中にいるのであります!」
『まさかとは思うが軍の機密を聞き出す為にプロキシ君を連れ去ったんじゃあないだろうな?』
「一体なんの話をしているのか分からないが、アイツここへ帰ってきたのか?」
『プロキシ君には安全の為、GPSがついている。そしてその発信源がここ適当観をさしている訳だ』
「GPS?あぁ、そういう事か」
アキラとの会話を思い出し零斗は両腕を組みながら、オボルス小隊にゆっくり近づきこう答える。
「言っとくが、雲嶽山は軍の機密なんて興味ない」
『連れ去ったお前達の言葉を信用しろと?』
「理由は愛しい弟子が危険な目にあってないか心配でここに連れてきたんだろう。
あと、話を聞いたんだが弟子の自由を制限させたってのは本当か?」
『プロキシ君の行動を一時的に制限するのは、軍の機密を何よりプロキシ君自身の安全を守るためでもある。』
「なるほどな。けど、安全面だけって言うならここにいた方が一番だと思うが」
『なんだと…?』
鬼火隊長は挑発に乗ってしまったのかカチャリと銃口を向けような仕草を出そうとするがそれより速く零斗は近づき、
「仮にだ。もしあの子が怪我でもしたらどうするんだ?」
「そ、それは…!」
「俺は許さねぇぞ?」
『『「「ッ!?」」』』
冷徹な表情で静かなる怒号がオボルス小隊を戦慄させる。
───しかし
「ふっ、ハハハッ……
なんてな。冗談だよ」
「ふぇ?」
先程の冷酷さが無くなり健やかな微笑みを見せる零斗は深く頭を下げ
「ビビらしてすまなかった。アンタ達が弟子の面倒を…そして必死に何より守ってくれたいい人っ
て言うのは知ってる。
ちょっと待ってろ。呼んでくるから」
『あ、あぁ』
適当観の門を開けて中にいる儀玄達に話をしに行く零斗
「こ、怖かったでありますゥ~!」
「し、心臓バクバクしちゃったよ~、ビック・シード」
『情けないぞ…と言いたいが流石の私も震えた』
『あぁ、覇気が凄まじかった』
軍人であるのにも関わらず、零斗の凄まじい怒気に思わず肝を冷やしたオボルス小隊。
その後、儀玄達と顔合わせして事情を説明した。
軍令に背いてまで抜け出した理由は今回の一件は防衛軍だけでは手に負えないとリンが判断したからだ。
真の本拠地らしき場所を特定した事により作戦は朝一で決行されることになった。
翌朝、オボルス小隊が本拠地らしき場所へ向かう為準備していたその一方、
讃頌会の本拠地にて事態は起きていた。
ザイゴーグキーを起動させ、赤く輝かせながら腕に「ゴーグレグジス」のような棘を生やしそのまま地面に叩きつけると赤い棘柱を発生させ迎え撃つ礼賛者及び先導者を片っ端から殲滅していった。
「くそっ!ウルトラマンめっ!」
「あと少しで始まりの主への道が開けるというのにッ!!」
「何としてもここだけは死守しろ…ぐわぁッ!?」
讃頌会は命懸けになっていた。
トリガーダークに何度も邪魔された上で計画に大いに支障をきたしてしまったのだ。
どれだけの犠牲を払おうと何としても儀式は成功させなければならないと奮闘しているが、
「誰1人生きては帰さねぇぞ!カルト集団共!」
前世では散々引っ掻き回された敵をどうしても許せなかったトリガーダーク。思いどおりにはさせまいと讃頌会の崇拝者を1人1人ずつ潰していく。
「ウルトラマンッ!何故ここが分かって…!忠実なる下僕達よ!何としてもウルトラマンの進行を食い止めなさい!」
勿論、
しかし──どんなに手を尽くそうが讃頌会はトリガーダークの進撃を止める事は出来なかった。
「くそ!ミアズマ侵蝕怪獣はどうなっている!?」
「先の戦いで囮として使ってしまった!もうストックはない!」
「こうなれば我々だけでも食い止めるッ!」
「サラ様!何としても始まりの主の謁見への道を!!」
礼賛者と先導者達とアヴァルス・ラヴェンジャーの群れがサラのいるミアズマの装置へ近づかせまいと行く手を阻む。
「始まりの主を冒涜する愚かな者に制裁を!」
「グオォォォオォオオーーーーッ!!!」
これだけの大群があろうにもトリガーダークの前では全くの無意味。
両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜めトリガーダークは腕をL字に組み「ダークゼペリオン光線」が繰り出され、全ての敵が光線に巻き込まれ全滅した。
「そ、そんな…!?」
残る敵はサラのみ、しかし今回トリガーダークの目的は彼女ではなく、このミアズマ装置だった。
サークルアームズで装置を斬り掛かろうとするが、銃声が鳴り響き銃弾が彼の顔に命中するが、痛くも痒くもない様子
引き金を弾いて来たのは怒りを顕にしたサラだった。
「なんだ?負け惜しみか?」
「ウルトラマン!貴方はどこまで私達の邪魔をすれば気が済むの!?それは始まりの主が謁見できる唯一の手段…それを破壊しようとしている!始まりの主を殺したように私達の希望を奪うのもウルトラマンの特権だとでも言いたいのかしら!?」
「おいおい、テロリストが希望を語るのか?これまで散々いいように引っ掻き回しやがった奴が良くもそんな口を叩けるもんだな。
存在するかも分からない架空の神なんかの為に多くの人々を犠牲にしようとしやがって……まぁ、でもその目的も終わりだ」
「ッ!…やめなさいッ!や、やめ…ッ!」
サークルアームズ・マルチソードにザイゴーグキーを装填させ、赤いトゲを生やし、鞭のように伸びていきミアズマ装置に狙いを定め振り下ろし真っ二つにすると爆発した。
「あ…あぁぁぁぁぁあああーーーッ!?
よくも!よくもよくもよくもぉぉぉ!!!」
「アッハッハッハッハッハッハッーーーーッ!!!
そうだよ!その顔だよ!その顔が見たかったんだよ!お前が絶望するその瞬間をよぉ!!」
讃頌会にとって「始まりの主」を謁見できる手段を破壊され、サラは正気を保てる事が出来ずただ怒りをトリガーダークにぶつける。
対してトリガーダークはこれまで引っ掻き回してきた悪党の絶望した顔を見てゲラゲラと笑っていた。
「いやぁ~最高だぜ。やっぱり気持ちいいな。ただ逃げるだけの奴がこんなにも面白い顔するとは…
本来お前も殺してやりたいところだが、急遽順番が変わった、後で殺してやるから覚悟してけよ」
彼女の罵詈雑言に耳を傾けることなく静かに笑いながらラマニアンホロウから去っていくのであった。
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