──リン──
「これって……」
讃頌会の本拠地に着いた私達は絶句する
辺り一帯には血塗れで礼賛者や先導者達が倒れていた。
「敵は既に全滅であります!」
『我々より一足先に誰かが来ていたようだな』
「うーん、駄目だね。もう息してる人々は殆どいない」
『建物も破壊されている……む?鬼火隊長。この先に生体反応あり、近いぞ』
『生存者か?』
ビック・シードが生体反応を検知して先へ進むとそこにいたのは
「ッ!あれは…サラ?」
嘗てブリンガーが起こした事件に関わっていた元凶の1人が這いつくばりひたすら地面を殴り続けていた。
「クソ…!クソ!クソ!…ウルトラマン
あのウルトラマンさえ邪魔しなければ
こんな事には…ッ!!」
普段は冷静で常に不気味な表情をしていた彼女があんなにも怒り狂う姿を見て私は声をかけると
「…ッ!パエトーン…愚かな私を笑いにでも来たのかしら?」
「そうしたいんだけど、サラ、随分機嫌が悪いみたいね?その口ぶりから見ると襲撃にあったように見えるけど」
「…ッ!だったら何?今更貴方達がここへ来た所で意味はないわ」
「そうだね。私達にとっては寧ろありがたい方だよ。お陰で貴方達の企みは阻止できる流れになっている」
「…何もかもあの黒いウルトラマンのせいよッ!!漸く始まりの主が謁見できると言うのにあいつが全て壊してくれたわ!」
地面を叩きつけたサラは痛々しい手を抑えながらゆっくり立ち上がり、怒りを撒き散らし始める。
『黒いウルトラマン?前にヤヌス区を騒がせていた奴の事か』
「えぇッ!!そうよ!
やはり、主の仰っていた通りウルトラマンは憎むべき敵よ!」
「まぁ、そこは否定しないよ。けど私達の知ってるウルトラマンは酷い事はしない」
「何を言ってるのかしら?ウルトラマンは皆敵よ!あの強大な力で主をその手にかけ自分がこの世界の神だと慢心している…!
逆らう者は力で見せつけ、痛めつけている…!」
サラの言葉を聞いて私は少し怒りを覚えた。それは私だけでなく鬼火隊長やビック・シードも同じだった。
「ねぇ、本当にそう思ってるの?」
「なんですって?」
「私達の知ってるウルトラマンはこれまで何度も助けてくれた。
どれだけ自分が傷付いても私達を優先して守ってくれた。」
『プロキシ君の言う通りだ。黒いウルトラマンは違うが、彼は私達の為に命をかけて全力で戦ってくれる』
『それは人間だけではない。知能構造体いや…この世界で生きとし生ける者の為に彼は戦い続けている』
「…貴方達を騙す為の行動じゃないのかしら?
助け続ける事で信頼を置き油断していた所であの黒いウルトラマンと同様に逆らう者には容赦n「私はあのウルトラマンを信じている。彼はそんな酷い事、絶対しないって」っ!?」
ウルトラマンの事を貶し続けるサラに対し、リンは迷いのない真っ直ぐな瞳で言い切った。それに続くようにオルペウスとシードも
「プロキシ殿の言う通りであります!鬼火隊長が彼を信じているように自分達もウルトラマンを信じているであります」
「ビック・シードを助けてくれた恩人だから、僕も信じてるよ」
「ッ!?そんな綺麗事で…!!」
これからどうしようかと思いきやお兄ちゃんからの連絡が入った。
『リン、緊急事態だ!讃頌会の導師が衛非地区に現れて、サクリファイスが続々とオブスキュラから出てきている!これは相当な数だ』
何と導師がサクリファイスを衛非地区に解き放っている事が判明、それを聞いた鬼火隊長は
『こいつの脳天に銃弾をぶち込みたいが、今はそんな場合では無さそうだ』
「うん…しかもお兄ちゃんの話だと都市部は師匠達が食い止めてるみたい。山道には師範一人で食い止めてるから私達はそこへ急ごう!」
そう言うと私達は即刻、衛非地区に戻っていった。
「あぁ…主よ。私を見守ってくださるのですね」
喪失している彼女はぽつりと虚空へ話しかけていた。
「師匠、山道は任せておけ」
『頼むぞ』
スマホの通話ボタンを切ると目の前にはサクリファイスの群れを前にして
「さて、やりますか」
首を軽く曲げ、準備体操をしてから地面を蹴り上げサクリファイス達に向けてストレートパンチを繰り出す
「ウラァッ!!」
「「「グオオォォォォォォーーーーッ!?」」」」
ただのパンチだが、威力が高すぎるのか一気に複数のサクリファイスを吹っ飛ばしてしまう。
「ありゃ、加減が難しいな」
そんなに力は入れてないと右拳を見つめる零斗。その隙にサクリファイスが飛びかかってきたが
「グオォォッ!?」
相手を見ずに零斗は見つめていた右手で襲いかかるサクリファイスを止め
「よっ!」
上に投げつけ飛ばされたサクリファイスは地面に落下した衝撃で消滅する。
「ここを片付けて遭難している人の方へ向かわないとな」
片っ端からサクリファイスを倒しつつ先へ進む零斗であった。
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