「この野郎ッ!!離せってんだッ!!」
「離すわけねぇだろッ!!誰かその人を頼むッ!」
『感謝する!諸星零斗!』
ビック・シードが気絶しているロレンツ少将を回収し、離れたもののトリガーダークは怒り狂い
「てめぇ、さっきも邪魔したのにまだ足りねぇのか!?」
「その人は防衛軍の少将だぞ!?何故殺そうとする!?」
「知らねぇんだな?あいつはな、自分が上の地位に上がるために他人を蹴落とし、果てはルクローの野郎と手を組んで賄賂を受け取ったクソ野郎だ!あんな奴を野放ししちゃあ危険過ぎるんだよ!」
「たとえそうだったとしてもお前にその人達を裁く権利はない!彼等を裁くのは法だ!」
「ッッッッッッ!!!!その言葉を聞くだけでイライラする!!"あの野郎"と同じ事言いやがってぇ!!」
トリガーダークは力づくで拘束する零斗の腕を振りほどき、零斗に襲いかかる。
「その人は殺させはしない!!」
「お前に構ってる暇はねぇんだよ!!俺があいつらという悪を裁くんだッ!!」
両手で引っ掻くように攻撃を仕掛けるトリガーダーク
「邪魔する奴はッ!!誰であろうとッ!!叩き潰すッ!!」
怒号と共に容赦ない連続引っ掻きを繰り出したトリガーダークに対して零斗は変身していないのにも関わらず冷静に対処していく。
「(なんでこんなにも殺意が高いんだ?お陰でパターンが分かりやすい)」
暫くの間、トリガーダークの攻撃を捌き続ける零斗だったか、攻撃が一向に当たらないトリガーダークは更にイラつき、
「どいつもこいつも邪魔しやがってッ!!
ウザイったらありゃしねぇんだよッ!!!」
「(ッ!?まずいッ!!)
リンッ!!」
怒りに身を任せたトリガーダークは、全身から漆黒に染まる電撃を迸らせ、その稲妻のような光は遠く離れた仲間やリンにまで迫り、空気を焦がすかのようだった。零斗は瞬時に状況を察し、疾風のごとくリンの元へ駆け寄り、全身で抱きしめて守り抜いた。
「ぐぅっ!?」
「師範ッ!!」
リンには被害が及ばなかったが、零斗は背中でその衝撃を受け、灼熱のような痛みに耐えながらも、リンを守ろうと懸命に身を張った。
他の皆も何とか防ぎ、被害は出なかった。電撃が収まると、トリガーダークは焦げた匂いと煙に包まれ、荒れた現場に立っていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…
クックックックックッ……まぁ、いい
ロレンツ少将も殺したかったが、目的は達成した」
「なんだとッ?」
「既にラマニアンホロウにあるミアズマを収束させる装置は全て破壊した。
これであの女の思い通りにはならない、今頃泣き喚いて罵詈雑言を撒き散らしている頃だろうな
ハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!」
不気味な笑い声と共にトリガーダークは黒い霧に包まれ、その場から消えた。
事の騒動は一段落し、幸い死傷者は出なかったため、事態の収拾に取り掛かることができたが
「零斗ッ!無事か!?」
「おっ、師匠!そっちは片付いたのか!」
衛非地区に出現したサクリファイスの掃討を行なっていた儀玄、藩、福福の3人が合流してきた。
「し、師範ッ!だ、大丈夫ですかッ!?」
「おう、この通りリンには傷一つつけさせなかったぜ」
「ッッッ…お前さんが怪我をしてるじゃないか!?」
儀玄は、零斗の背中の包帯に目を留め、心の中で強い衝撃を受けつつも、弟子の前では動揺を見せまいと必死に表情を引き締めた。
「ごめんなさい、私が迂闊していたばっかりで」
「何でお前が謝るんだよリン、可愛い弟子を守れたんだ。これくらい安いもんさ」
自分のせいで零斗が怪我をしてしまったことに落ち込むリンだったが、零斗は優しく微笑みながらそっと頭を撫で、温かく安心させ続けた。
「零斗の言う通りだ。リン、お前さんが謝る事はない」
「そうですよ!悪いのはお弟子ちゃんを攻撃したあの黒いウルトラマンですよ!」
「福姉の言う通りだぜ!あの感じ悪いウルトラマンの野郎ッ!関係もないお弟子君に手を出しやがって」
「零斗…お前さんを傷つけた愚か者は何処へ行った?」
「笑いながら、どっか消えてったけど……何で師匠怒ってんだ?」
普段はムッとしている儀玄がこれ程までにもない怒りを露わにしていた。
「決まっているだろう?私の1番弟子をこんな目に遭わせたんだ。それ相応の報いは受けさせる」
「お師匠様の言う通りです!零斗師範をこんな酷い目に遭わして……見つけたらこの猛虎が許しませんッ!」
零斗を傷つけられたことを知った儀玄と福福は、怒りで体が震えるほどだったが、
「ハハッ、心配してくれてありがとな。でも俺は大丈夫だ」
儀玄と福福の頭を優しく撫でながら、落ち着かせるように微笑む。
「ッ!…零斗」
「ゴロゴロ♪にゃぁーん」
零斗の励ましを受け、怒りに震えていた儀玄はようやく落ち着きを取り戻し、福福も零斗の優しい手に触れられて心が和らぎ、まるで虎から猫へと変わったかのようだった。
「コホン…それで何があった?」
「実は」
リンがここで起きた事全て説明する。
「なるほどな、つまりあのロレンツとかいう少将は嘗て兵士を捨て駒にしようとした、それを知っていたあの黒いウルトラマンが制裁にきたという訳か」
「しかし、気になるのは彼が持っていたボイスレコーダーです。どこで手に入れたのやら」
「もし、あれが本物だとすれば確実にロレンツは解雇できる。けどあいつが持ってた証拠は何か信じ難いんだよね
とは言ってもロレンツ少将の青ざめた顔、本当のように見えるし」
鬼火隊長は嘗て自分達を危険な目に遭わせた指揮官に銃口を向けようとした。
だが、兵士である故に撃つ事はしなかった、対してイゾルデ大佐は迷わず引き金を弾こうとしたが、トリガーダークの乱入により失敗に終わってしまった。
過去にあれだけの騒動を起こした相手の証拠など信頼できる訳がないのだろう。
「あー、ちょっといいか」
「どうしたの?師範」
「いや、ここに来る前に山道付近にいたルクローの事なんだけど」
「そういえば私達が来た時には気を失ってた様子だったね」
「実は、あの黒いウルトラマン。ロレンツ少将を襲撃する前にルクローにも手をかけようとしてたんだ」
「そうだったんですか!?」
「あぁ、けど俺が助けに入って何とか止めて撃退したんだ。
その時に怯えていたルクローからこれ渡されて」
「これ?」
零斗は懐からあるものを取り出した。それはボイスレコーダーとUSBメモリだった。
「師範これは?」
「中身はまだ見てないんだが、ルクローの奴凄い気が気でない状態で"これを差し上げますので命だけは助けてください"って渡されちゃって……確認できるか?」
「調べてみるフェアリー!」
リンは即座に零斗から受け取ったボイスレコーダーとUSBメモリを高性能AIであるフェアリーに分析させた。
するとすぐに結果が出て、中に入っていたのはこれまでルクローとロレンツ少将が行なっていた違法な取引に関するデータと賄賂に関するデータ。
そしてボイスレコーダーにはトリガーダークが持っていたものと同じ記録が再生された。
「これって…じゃあ、本当だったって事!?」
『おい!今の音声はなんだ!?』
再生された記録が鬼火やオルペウスにまで聞こえており、オボルス小隊の皆が駆けつけてきた。リンはすぐに状況を説明すると
『これは決定的な証拠だ。あの黒いウルトラマンが言っていた事は信じ難かったが、諸星零斗、君がルクローから頂戴したもののお陰で奴を訴える事ができる』
「ありがとうございます!零斗殿!」
「えっ?いや、俺はただ貰っただけなんだが…」
『鬼火隊長、喜ぶのもいいがまだ片付けてない問題がある』
『分かっている。イゾルデだ。何としても奴を止めねばならない』
「でも、さっきラマニアンホロウ行ってミアズマを収束させる為の装置が壊れてたからもう何も出来ないんじゃあ」
『いや、イゾルデの事だ。何か策を持っているに違いない。頭もきれる』
「警告――!ラマニアンホロウ、その全域におけるエーテル活性が、過去に観測されたピーク値に近づいています。
特異高活性エーテル――「ミアズマ」の異常な活性化を確認!」
「噂をすれば何とやらだな。急いで止めるぞ」
fairyの報告を受け、すぐにホロウへ向かう準備に入る。
零斗も行こうと考えたが、
「師匠、俺も行くよ」
「駄目だ、お前さんは怪我をしているだろう。雲嶽山からは私と釈淵が行く。」
「そうです!師範ゆっくり身体を休めてください!」
「……わかった、気をつけてな」
大事をとってここに残り待機する事に
『よし、では準備が出来次第、出発するぞ。』
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