超かぐや姫R! ~彩葉が二周目チートで超ハッピーエンドに至る話~ 作:そうすけVR
こんな夢を見た。
私、彩葉27才は、YC型義体へのヤチヨの精神情報の定着に成功した。ヤチヨが、現実世界に顕現した。
そして、月人と戦争することにした。
「なんで!?」
と、ヤチヨは悲鳴じみた声をあげた。
それは、月技研で開催した、『熱烈歓迎ようこそヤチヨおめでとう大宴会パーティ』の場でのことだった。
「月人を殴りに行こうか」
「あのー、彩葉、少し飲みすぎじゃないカナー?」
「酔ってない! 任せて!」
私は、ヤチヨを安心させるべく、構想を語った。
戦争と言っても、物理で殴り合う類のものではない。電脳対戦だ。
月人世界は、月と重なる並行電子世界にアンカーを打って存在している。その所在は、すでに捕捉できている。
そもそも力ずくでかぐやを奪ったのは向こうだ。反撃の時だ。
かぐや本人の意思による亡命者として地球側で受け入れ、こっちで普通に暮らせる法的な身分を与える根回しも済ませている。
私は、マントのように羽織った白衣をひるがえし、今後のロードマップを滔々と述べる。
「まずは月に電撃作戦で一撃を加える。それから停戦交渉だ。条件は、月のかぐやの引き渡し。終戦後に、三人で復帰ライブ開催!!」
「所長のリアルアイドル活動見たい!」と、月技研所員たちも大盛り上がりだった。
ヤチヨが必死の形相で、私にだけ聞こえる小声で引き留めてくる。
「あのね、輪廻の話はしたよね? かぐやを今、月から連れ戻したら、私の存在が消えちゃうから」
「消えない! 大丈夫!!」
「根拠のない自信~~」
ヤチヨは一旦ふらついたが、気を取り直したのか私の両肩をつかんで踏みとどまった。
「あと、あの小型宇宙船『もと光る竹』の衝突事故で、隕石の軌道が変わるんだよ。あの事故が無いと、地球に直撃するの」
「それは知らなかった。でも何とかする! 大丈夫!!」
「根拠のない自信その2~~」
ヤチヨはしなしなと崩れ落ちる。
今、月で激務をこなしている偉々(えらえら)かぐやは、そもそも自分が未来のヤチヨだってことも知らない筈。
ここでパーティしてるけど、かぐやだけが、蚊帳の外に置かれている。許さない。
「許さない!」
力強く握ったこぶしを振り上げる。
半分諦めたような表情のヤチヨが弱々しく、
「いくら月技研が、月の技術を取得しているとは言っても、無茶だよ。地球サイドに被害出るよ」
「ヤチヨとかぐやが最優先!! 被害はなんとかする!」
「やだ男前――じゃなくて!」
「月技研とツクヨミの連合軍が、月の軍勢を打ち砕く」
「え? ツクヨミも参戦が前提なの……?」
「打ち砕く!」
◇ ◇ ◇
私が酔っぱらってぶち上げた宣言は、界隈に重く受け止められてしまいました。
しかも、ヤチヨは「彩葉がそこまで言うなら……」と、即座に動き出してしまったのです。
10年前、月人から一方的な侵攻を受けたことに、地球側も思うところがあったのでしょう。国際機関や政府、企業まで思いのほか協力的で、私の「
結局、開戦前夜に、月人から和睦が申し入れられました。
停戦条件には、かぐやの引き渡しだけでなく、月人受肉のノウハウ供与もねじ込んだので、YC型義体の完成度向上に期待が持てます。
私は帰ってきたかぐやから「月人側も、どうして彩葉がいきなり攻めてくるのか論理的に理解できず、戸惑っていた」と聞きました。仕事を終わらせたら、地球に戻ってもいいよ、と言われていたらしいです。帰還途中での事故については、月と地球との連携で回避されました。
ヤチヨからは禁酒を言い渡されました。
かぐやお帰りライブは大成功でした。
めでたし!!
【実録! 隕石 vs 酒寄彩葉
――愛、おぼえていますか】
は、また別のお話。
もう、これで良いのではないか?