超かぐや姫R! ~彩葉が二周目チートで超ハッピーエンドに至る話~ 作:そうすけVR
これは、「そうなっていたかもしれない」IFルート。
こんな夢を見た。
彩葉さんは消えた。
私に次を託して。
技術。
戦略。
チート。
全部引き継いで、私は挑んだ。
でも届かなかった。
羽衣を着せられて、記憶を封印されるかぐやを、地上に這いつくばって、絶望的な気持ちで見上げた。
奥歯が、ギリギリと鳴った。
足りなかった。届かなかった。
だから、今度は、私の番だ。私が、バトンを渡す番。
――その言葉を、私は以前にも聞いたような気がした。
未来から来たヤチヨも、私の再挑戦に付き合ってくれるって言ってくれた。
『次も行くよ』
携帯ゲーム機の中で、ヤチヨは笑った。
私が、時間跳躍技術を完成させる。
もう一度、10年前に挑む。
工学系に進むことに決めた。
進路希望調査を書き直した。
彩葉さんの記憶を頼りに、あの恩師の研究室を目指す。
神経情報工学、認知システム工学、精神情報の保存と転写。
彩葉さんが十年かけて積み上げたものを、今度は私が引き継いで、その先へ進む。
今度こそ、上手くやる。
学生証を首から下げて、研究室に通った。
白衣を着た。
論文を書いた。落とされた。書き直した。
精神情報の定着実験を、何度も失敗した。
学生証は、いつしか研究所の入館証に変わった。
でも、腰の携帯ゲーム機だけは、ずっと同じだった。
ケースの角は擦れ、細かな傷が増えていった。
それでも、そこから聞こえるヤチヨの声だけは、ずっと変わらなかった。
季節は何度も巡った。
私は研究に没頭した。
研究の目的は、ヤチヨ以外には明かしていない。
何に挑んでいるのかも、何を取り戻そうとしているのかも、誰も知らない。
それでも、いつしか私は、周囲からこう呼ばれていた。
今度こそ。
今度こそ。
今度こそ。
今度こそ。
――今度、こそ。
彩葉もまた、輪廻を巡る一人になる。
ただ、その輪に組み込まれ、10年を跳躍する彩葉は、常に二周目だ。
今の彩葉には、自分より前に何人の彩葉が同じ道を歩いたのか分からない。
輪廻を外れる方法も、まだ分からない。
ただ愚直に、バトンを受け取り、次へ渡す。
ただ一人。
ヤチヨだけが、そのすべてを覚えていた。
九月十二日。
ツクヨミの空が月人で埋まった。
私は、息を呑んだ。
携帯ゲーム機の中で、ヤチヨが小さく呟いた。
『……また』
その声が何を意味しているのか、その時の私には分からなかった。
羽衣を着せられ、記憶を封印されていくかぐやを見上げる。
奥歯が、ギリギリと鳴った。
今度こそ。
私はそう決意した。
ヤチヨが、その言葉を何度聞いたのかも知らずに。
何度、彩葉を見送っていったのかも知らずに。
『……うん。次、行こ』
輪廻の分岐は、未だ――